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今年2月、vivoから主にゲーマーなどの若いユーザーに向けたiQOOシリーズが中国で発表された。この半年間に、旗艦モデルのiQOO、ハイエンド版のiQOO Pro、また購買力のやや弱い若者向け旗艦モデルともいえるiQOO Neoと、同シリーズの製品ラインナップがほぼ出そろった。
10月下旬にはさらに第2世代のiQOO Neoが発表された。SoCはクアルコムのSnapdragon 855を採用し、最低販売価格は初代モデルから200元(約3100円)値上げされ1998元(約3万1000円)となったものの、2000元(約3万1000円)以下を維持している。
注目すべきは、初代iQOO Neoの発表からわずか3カ月で今回の新モデルが発表された点だ。ゲーミング機能に特化したスマートフォンでは通常、クアルコムのSoC更新に合わせて新機種が発表される。Snapdragon 845を搭載した初代iQOO Neoは7月上旬に発表されたが、2000元以下のモデルでは最新SoCの採用が難しく、Snapdragon 855の採用に至らなかった。
とはいえ、第2世代iQOO Neoは、やはり最新SoCから一歩遅れを取っているのが事実だ。クアルコムは今年7月中旬、ゲームパフォーマンスが向上したSnapdragon 855 Plusを発表した。このSoCは、ゲームに特化したハイエンド旗艦モデルiQOO Pro 5G版、「黒鯊科技(Black Shark)」が発売した「Black Shark 2 Pro」、および「ASUS(華碩)」が発売した「ROG Phone II」などで採用されている。
第2世代iQOO Neoでは、SoCのほか、電波送信レベルの向上にも重きが置かれた。Wi-Fiデュアルバンド中継機能をサポートし、二つのWi-Fiに同時接続することで突然の電波中断によるゲームへの影響を抑えている。vivoによれば、従来のシングルバンドに比べダウンロード速度は2倍に向上したという。電波が不安定な環境におけるPUBGなどのゲームでの高遅延回数は、最大で90%大幅に引き下げられた。
このほか、ゲーミングスマホはバッテリーと放熱面でも比較的優れている。第2世代iQOO Neoは4500mAhバッテリー搭載のほか33W超急速充電に対応しているため、連続使用にも強い。
ゲーミングスマホは通常、カメラ撮影を得意としない。ゲーマーは男性の割合が高く、カメラ機能に対する要求も相対的に低いからだ。だがメインカメラが1200万画素、フロントカメラが1600万画素の同モデルでは、男性向けの美顔機能を搭載した。iQOO Neo製品ラインの丁雯総監によると、vivoのリサーチの結果、男性にも美顔機能に対するニーズがあることが分かったという。とはいえ、女性が肌の白さや透明感にこだわるのとは違い、男性向け美顔機能では肌のきめやディテールを残しつつも、立体感やリアリティを重視した仕上がりとなっている。
iQOOシリーズは誕生から8カ月が経過したにすぎないが、ゲーマーの間ではすでに評判が確立されている。ゲーミングスマホというコンセプトははっきりうたわれていないものの、事実上ゲーミングスマホとしての地位を固めてきた。Black SharkやROGのクールで派手なデザインとは異なり、iQOOでは通常の旗艦モデルに近いデザインを採用したことで、ユーザー層の拡大にもプラスとなった。
大手携帯メーカー傘下のブランドであるiQOOの研究開発力や販売力は、Black SharkやROGを上回っており、上述のとおり新作発表ペースも相当なものだ。ゲーミングスマホという概念は「雷蛇(Razer)」、Black Shark、ROGといったブランドにより樹立されたものだが、大手メーカーの参入により彼らの市場は脅かされている。
iQOOシリーズはvivo陣営の中でもやや異色な製品だ。vivoのユーザーには女性が多いため、大多数の旗艦モデルでは女性のニーズが重点的に考慮されている一方で、iQOOは主に男性向け製品であり、vivoが新たなユーザー層を開拓する上で一役買っている。これは、男性ユーザーが多いシャオミ(小米科技)が女性市場開拓を目指しCCシリーズを発表したのとちょうど真逆の現象だ。スマホ業界の競争が白熱化したことで、一線に立つ携帯メーカーはユーザー層の開拓を続けるため、自身の「コンフォートゾーン」を抜け出し競合先の地盤を攻めざるを得なくなっている。
(翻訳・神部明果)
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