メディアの力でアジアにおける「情報格差」を解消 36Kr Global 馬成CEOが語るグローバル戦略

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2019年11月26日〜27日、スタートアップやIT業界に特化した中国の最大級メディア「36Kr」は、北京国際会議中心(China National Convention Center)において「2019WISE 新商業大会」を開催した。

同イベントでは36Krの海外事業グループ会社「36Kr Global」の馬成CEOがオープニングゲストとして、36Krのグローバル化と計画、および使命についてスピーチを行った。以下は馬成CEOのスピーチを整理した内容である。

グローバル化とアジア経済の急速な成長

2018年の名目GDP世界ランキングをみると、2位中国、3位日本、5位ASEAN、8位インドとなっている。これら4つの国と地域のGDP総額は世界経済全体の中で非常に高い割合を占めている。

さらにGDPの成長率を見ても、中国のGDPは急成長を続けており、アジアの他の地域も同様だ。

ここからわかるように、アジアの経済はめざましく発展しており、東南アジアとインドを主とする地域が発展をけん引している。海外進出において東南アジアとインド市場に注目する理由はここにある。

2019年上半期、中国ベンチャーキャピタルの東南アジアテクノロジー企業に対する投資額は6億6700万ドル(約720億円)にのぼり、前年同期の1億4800万ドル(約160億円)の約4.5倍となった。投資件数から見ても、過去3年間に中国本土の資本はすでに東南アジアのテクノロジーおよびニューエコノミーの発展を強力に主導している。

東南アジアのユニコーン企業として良く知られる配車サービス企業「Grab」 「Gojek」、ネット通販「ラザダ(Lazada)」、これらの企業はIT大手のアリババやテンセント(騰訊)、ショート動画アプリ「TikTok」を運営する「バイトダンス(字節跳動)」など多くの中国資本のサポートを受けている。

このようなグローバル化の背景のもと、36Krは今年10月に海外事業グループ会社「36Kr Global」を香港に設立。我々は将来的に、海外におけるプロモーションや展開をすべて同社の管轄とし、真の意味でのグローバル・グループ化を目指す。

アジアにおける「情報格差」をなくす

我々はメディアから始まった会社だ。その使命はごくシンプルで、アジアの「情報格差」をなくすことだ。

36Krが成功したのはそこに情報格差、つまり情報の非対称性があったからだ。多くの投資家は36Krの報道を通じてプロジェクトを見つけ、理解する。中国はここ数年の発展を経て、特に大都市においては情報格差はますます小さくなっている。

しかしアジアでは国境を越えるとやはり情報の非対称性が存在する。アジアには多くの国、宗教、民族、政治、言語が存在しており、中国で成功している企業がインドネシアや日本をよく理解しているとは限らない。日本のような先進国でも、インターネットの発展においては中国より一歩遅れており、これは言語など各方面にわたる情報の非対称性がもたらしたものといえるかもしれない。

我々は3つのメディアにより、この問題の解決に取り組んでいる。

一つ目は「36氪出海」だ。これは我々の中国語メディアコンテンツである。コンテンツの他に、海外進出に注目している企業や投資家のためのコミュニティも運営しており、現時点で数千人が参加している。

他にも、我々は中国人が注目している海外のテクノロジーやスタートアップ企業について中国語で紹介している。中国ユーザーにとっては中国語メディアが一番読みやすい。同時に「情報の非対称性」があるため、中国ユーザーの海外情報の理解には「ギャップ」が生まれている。このギャップのために、一部の投資チャンスが失われてもいる。そのため、36氪出海の使命は海外の価値ある情報を国内に紹介することだ。

二つ目は2017年に設立したシンガポールの英字サイト「KrASIA」だ。中国のテクノロジーニュースを主に紹介するアジアの英字ニュースメディアとしてスタートし、同時に東南アジアとインド市場もカバーしている。

我々は言語面の問題から、世界の中国に対する理解が不十分であることを発見した。我々は36Krの中国における影響力とリソースに基づいて、中国のテクノロジーニュースおよびトップ企業の動きを海外市場に伝えたいと考えている。

KrASIAは現在、アジアで最大規模の各英字メディア、例えばシンガポールのアジアテック系メディア「Tech in Asia」、アジアマーケットに特化した日本の「Nikkei Asian Review」、香港の「南華早報(South China Morning Post)」などと提携している。グローバル化に関心のある起業家や投資家は、KrASIAに注目すれば多くの価値ある情報を得られるだろう。

三つ目は日本語サイト「36Kr Japan」だ。インターネット業界への投資が盛んになる前、東南アジアにおける投資の70%は日本によるものであり、シンガポールには6000社もの日本企業が存在する。日本はテクノロジーイノベーションや経済力の面で常に世界のトップレベルにあるが、日本語と日本文化が多くのギャップをもたらしている可能性もある。

我々は36Kr Japanの力で、中国と日本のスタートアップ投資やスタートアップエコシステムを結びつけ、両国の資本力でアジアのイノベーションを後押ししたい。

36Kr Japanは日本経済新聞と戦略提携を結んでおり、同紙は毎週36Kr Japanの記事を転載している。また36Krは日本経済新聞からの投資も受けている。同紙の影響力を通して、ますます多くの日本企業が36Krにたどり着き、中国のスタートアップ企業と提携するようになればいいと考えている。これがつまり、メディアを通して情報格差をなくすということだ。

我々は今後、東南アジア・インド市場のコンテンツとニュースについても36Kr Japanを通してスピーディーに日本の投資家・投資機構に伝えていきたい。我々の提供するニュースを通してより多くの日本企業が東南アジアやインドに参入すること、これが次の狙いだ。
(翻訳・山口幸子)

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