「革新は米国、量産と普及は中国」——a16z創業者が直言した米中AI競争の現実
米著名ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が開催したイベント「Runtime」の閉幕基調講演で、同社共同創業者のMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、中米間の人工知能(AI)競争について体系的な見解を示した。現時点では米国が先行しているものの、その優位性は急速に縮小しているという。
同氏は、重大な概念を覆すようなイノベーションは依然として米国を中心とする西側諸国が主導していると指摘した。一方で中国は、革新的なアイデアを素早く吸収し、迅速に量産させ、規模を拡大し、そしてコストを引き下げてプロダクト化する能力に極めて優れていると評価した。「中国は製造業で長年そうしてきた。いまAI分野でも同じ道筋を再現しつつある」と述べた。
さらに同氏は、米ワシントンの政策立案者に対し、これは本格的な短距離走の競争であり、米国が先行している期間は最大でも6カ月にすぎないと直言した。中国政府が自国企業に課していないような過剰な規制を米国企業に強いるべきではないと警告し、「さもなければ、我々は敗北する」とも述べた。もっとも、ソフトウエア分野での米国の優位性については、慎重ながらも楽観的な見方を維持している。
ロボットについて:中国の産業エコシステムが構造的優位に
アンドリーセン氏は、AI競争の真の変数はエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)とロボットにあると指摘した。過去40年で米国と西側諸国は全体として脱工業化へ向かった一方、中国は機械、電気、半導体、ソフトウエアから、最終的な製品の製造までを網羅する総合的な産業エコシステムを築いてきたという。その対象はスマートフォン、ドローン、自動車に及んでおり、今後はロボットにも広がるとした。
同氏は「ロボットは1社だけで作れるものではなく、必要なのは完成されたサプライチェーン・エコシステムだ」と強調した。現在の産業構造を見る限り、その供給網は中国を中心に形成される可能性が高いとし、中国がソフトウエア面で完全に追いつかなくても、ハードウエアと製造面で逆転する可能性はあると述べた。
米国では民主・共和両党とも製造業再建の必要性を認識しているものの、この構造的格差を埋めるには「やるべきことは山積みだ」と締めくくった。
(36Kr Japan編集部)