【中国版Figure】ヒューマノイド新星・Astribot、3カ月で240億円超調達 評価額2400億円に
「中国版Figure」とも称される、深圳発の人型ロボット(ヒューマノイド)スタートアップ企業「星塵智能(Astribot)」はこのほど、シリーズBで資金調達を完了した。過去3カ月で3回の調達を相次いで実施し、調達額が累計で10億元(約240億円)を超えた。梁溪科創産業二期母基金や揚州龍投芯粒半導体産業投資基金、中博聚力(ZBJL Capital)、中科創達(サンダーソフト)、科徳教育などが参加した。これによりAstribotの評価額は100億元(約2400億円)を突破し、ユニコーン企業入りを果たした。過去の株主には、中国IT大手のテンセントやアリババグループ、バイトダンス系の投資機関も名を連ねている。
Astribotは2022年に設立された。創業者兼最高経営責任者(CEO)の来傑氏は、テンセントのロボット研究所「RobticsX」の立ち上げメンバーだった。Astribotは設立当初から「Design for AI(AIに合わせた設計)」という理念を掲げており、まずAIの学習と進化に適したロボット本体を設計した後、それに合わせたAIモデルやオペレーションシステム(OS)を構築する手法を採用。これにより、ロボットにいっそう高度な作業能力と環境への適応力を持たせている。
Astribotは「AIモデル+OS+ケーブル(ワイヤ)駆動型本体」というソフトからハードまでフルスタックのシステム開発を手がけている。独自のエンドツーエンドの基盤モデル「Lumo」が複雑なタスクの理解、計画、推論を担い、フレームワーク「DuoCore」がロボットの知能を「素早い反応」と「深い思考」の2つのシステムに分け、リアルタイムの動作制御と工程の多いタスク実行計画を同時に機能させる。この仕組みは、米Figure AI(フィギュアAI)が発表した「Helix」モデルAIと類似性が高く、投資家からは「中国版Figure」として注目を集めている。

長く複雑なタスクを実行する「Lumo-1」
AIモデル以上にAstribotの大きな特徴となっているのがケーブル駆動技術だ。人間の腱を模したこの方式では、ケーブルを介して関節を動かすことで、力強さと柔軟性を両立できる。より大きな負荷に耐え、高い安全性を備えるほか、力加減に関するデータを豊富に収集することができるため、AIが現実世界との関わりを学習する基盤にもなる。

製品化の段階に入り、Astribotは独自のケーブル構造をベースにしたモジュール化設計を採用した。ロボットの腕、胴体、脚部などを独立したモジュールにしたことで、ある部品が破損しても、モジュールを交換するだけで迅速に復旧できる。ロボットを丸ごとメーカーに送り返す必要がなく、ロボットの稼働停止によるユーザーのコスト負担を抑えて導入ハードルを下げた。このケーブル駆動型のロボットは2025年末までに、すでに約1000台が納入されている。
Astribotは現在、幅広いラインナップで製品展開を進めている。このほどリリースしたロボット「T1」は、料理や衣類の片付け、カクテル調合、化学実験、自動車部品の仕分け、自動車への充電といった、細かな作業を連続で実行することができる。販売価格は8万9900元(約200万円)からとなっている。

新製品「T1」
また、複数の産業案件も獲得している。サンダーソフトと産業用ロボットおよび商用サービスロボットについて1000台規模のプロジェクトで合意し、共同で海外市場の開拓も進める。さらに江蘇省揚州市の江都経済開発区とは、1億元(約24億円)規模の応用イノベーションセンターを共同で設立し、観光やホテルなどの現場でロボットの活用を推進する。
*1元=約24円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)