「直交軸」減速機でヒューマノイドへ 中国・Talls Gear、30億円調達

中国の精密減速機メーカー「陶世智能(Talls Gear )」はこのほど、海川聚義などから1億4000万元(約30億円)を調達した。資金は主に製品開発や生産能力の拡張、ロボット市場の開拓に充てられる。

陶世智能は2016年に深圳市で設立され、小型の直交軸減速機とロボット用関節モジュールの開発に注力している。業界で主流のハーモニックドライブやロータリーベクトル(RV)、遊星歯車方式ではなく、比較的ニッチな直交軸タイプを採用。減速機構と動力の方向を90度変える機構を一体化し、省スペース化と高精度化を図っている。

この技術は、産業自動化設備の小型化ニーズに対応して開発した。動力の伝達方向を変える場合、これまでは方向転換ユニットを追加する必要があり、装置の大型化や精度の低下、コスト増大を招いていた。陶世智能は独自の鼓形ウォームギアを採用し、複数の歯を同時にかみ合わせる構造にしたことで、高い負荷能力と安定した動力伝達を実現した。

直交軸減速機は専用の生産設備や検査体制が十分に整っていなかったことから、同社は設計や加工、検査、熱処理、潤滑材料などの技術を自社で開発してきた。同時5軸加工による研削技術や検査設備も開発し、一連の製造工程を内製化している。

同社によると、小型減速機は従来方式に比べて約40%小型化し、精度は±0.5分、引張強度は1300メガパスカル、1万時間以上の耐久性を備える。

これまでは産業自動化分野を中心に事業を展開し、電子機器受託製造サービス(EMS)大手の富士康科技集団(フォックスコン)や藍思科技(レンズ・テクノロジー)、立訊精密工業(ラックスシェア)などのサプライチェーンに製品を供給してきた。足元ではヒューマノイド(人型ロボット)市場の拡大を受け、ロボット向け関節モジュールの事業を強化している。

業界データによると、ヒューマノイド全体のコストのうち、モーターや減速機、ボールねじなどのアクチュエーターシステムが45%を占めている。なかでも減速機は、関節の出力や精度、応答速度を左右する重要な部品であり、国産品による置き換えが進められている分野でもある。

産業用ロボットアームに比べ、ロボットハンドにはより小型で高精度のアクチュエーターが必要になる。陶世智能が開発した高集積型の関節モジュールは、直接駆動式、リンク機構式、ワイヤ駆動式といった複数の駆動方式に対応している。すでに100社近いロボット開発企業と協業を進めており、霊心巧手(Linkerbot )や超維動力(Kinetix AI)、中科硅紀(Casiahand Robotics)などと計10万台以上の供給契約を結んでいる。

約2万平方メートルの生産拠点では、主要モジュールを年間50万~70万個生産でき、年間生産額は約5億元(約120億円)に相当するという。新工場が稼働を始めれば、年間生産能力は100万~150万個に拡大する見通しだという。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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