中国新興、自動操船AIで数十億円調達 清掃船からレジャー船へ展開
フィジカルAIを活用した自動操船技術を開発する中国「欧卡智舶(Orcauboat)」はこのほど、シリーズCで数億元(数十億円)を調達した。西安高新技術産業風険投資が出資を主導し、元禾璞華(Oriza Hua)と三元資本(SANYUAN Capital)が参加した。資金は水上フィジカルAIの高度化、自動操船支援システム「ORCA-APAS」の用途拡大、レジャー船向け事業の推進などに充てられる。同社は半年前のシリーズB追加ラウンドでも約2億元(約48億円)を調達した。
Orcauboatは2017年1月に設立され、自動操船技術の開発と水上AIロボットの実用化に注力してきた。「AI for Boats(船舶向けAI)」を戦略の中心に据え、船舶向け汎用AIと船舶搭載用デバイスを組み合わせた製品アーキテクチャを構築している。目共通のアルゴリズム基盤を用い、全水域、全船種、全シーンに対応可能なレベル2〜4の自動操船を実現を目指すという。

自動操船支援システムを搭載したOrcauboatの無人水上艇
同社の水上フィジカルAIを最下層で支えるのが水上サンプルデータで、すでに水域や日照、風や波の強さ、季節などの条件が異なる5000万件規模のデータを蓄積している。中間層は自社開発したドメインコントローラーやミリ波レーダーなどのデバイスだ。そして最上層に位置する自動操船支援システム「ORCA-APAS」が、環境認識、自律航行、能動的障害物回避、自動離着岸などの機能を提供する。
同社によると、中国船級社(CCS)の4項目の認可を取得した中国唯一の企業で、完全無人運航に必要な高水準の適合性を備えているという。これまでに世界13カ国で同社の無人艇1000隻以上が導入され、完全自動操船による航行距離は累計200万キロメートルを超えている。
ORCA-APASは、用途や求められる自動化の水準に応じて3つのサブシステムを用意している。
Aシステムは、洋上風力発電や海上警備、漁業管理、海事業務などに使う特殊用途の無人船向けで、遠隔操縦から完全自律運航までに対応する。Bシステムは、レジャー用や公務用の中・小型船舶を対象とし、高度操船支援の提供に特化している。Cシステムは、大型商船向けで、航行支援と航路の最適化に重点を置く。
現在の主な収益源は法人向け事業で、無人清掃船、無人草刈り船から、水利巡回・点検船、海洋無人艇まで、現場のニーズに沿って製品ラインを段階的に拡大している。同社の清掃船を導入した顧客の実地調査では、作業効率が人手による作業の3〜5倍に向上し、総合的な運営コストは40%以上低減した。創業者の朱健楠CEOによると、清掃船の再購入率が着実に上昇しており、売上高はすでに前年の2倍に拡大したという。

Orcauboatのスマート電動プレジャーボート
消費者向けの水上レジャー事業にも進出している。仏カンヌ・ヨッティング・フェスティバル2026では、スマート電動プレジャーボートを初披露した。さらに、北米の大手パドルボードブランドと提携し、ORCA-APAS搭載製品を発表した。一定の針路と速度を保つ機能や自動停泊機能などを備え、初心者でも扱いやすい設計としている。

ORCA-APASを搭載したパドルボード
海外展開も加速しており、東南アジアやオランダなどの企業と提携し、現地の船舶向けに自動操船ソリューションを提供しているという。
*1元=約24円で計算しています。
(翻訳・田村広子)