ミニプログラムは6億を取り込む鍵 初期加入企業の共通性とは?
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11月末日、アラジン統計プラット―フォームが開催した小程序フォーラムで、招待席の前方を占めていたのは、すべて小程序で1000万人を超えるユーザーを獲得している多士済々の仲間たちという印象だった。そこには、ファッションECモールの「蘑菇街(モグジェ)」、画像保存、共有アプリの「忆年(イーニェン)」、アプリを使ったレンタサイクルの「摩拜单车(Mobike)」、親しい人の誕生日を登録するとプレゼントやケーキのデリバリーをしてくれる「生日管家(ションリーグアンジアー)」などの姿が見られた。
これらの企業は、ここ半年の間に爆発的に売り上げを伸ばした。半年前、アラジンの創業者の史文禄氏が小程序のビジネスモデルについて話しを持ちかけた時、先方の担当者たちは今一つ納得できない様子だった。しかし現在、小程序にはこれらの企業の2000人を超えるアプリ開発者が押し寄せ、人気アプリを生み出す方法について互いに聞き合っている状況である。
小程序の運営が始まって11カ月が過ぎた。皆、今こそがアクセス数増加の絶好のタイミングだということを理解している。
業界関係者の試算によれば、1月9日に運用が始まってから半年間の小程序アプリ開発者数は約20万人だった。更に6カ月後、アラジンデータ統計プラットホームが試算したところ、ウィチャット小程序エコシステム内の開発者はすでに約70万人に激増している。この数値は、小程序が6月以降に爆発的成長を始めたことを意味し、それは1000万ユーザークラスのアプリが、6月以降頻繁に出現し始めた事からもわかる。
それと同時に、5月から11月までの小程序の1日当たり顧客転換率は33.4%に昇り、訪問者数(UV)は1億人を超えた。ユーザーは毎日平均3回ないし4回小程序を開き、67%のユーザーは5分以上使用したことがわかった。
現在、小程序には、企業公式アカウントからの誘導、検索、履歴、近くの店舗機能を含め、50のアクセスエントランスがある。
創業者と投資家の目に映る小程序は、ウィチャットエコシステムのサービスプラットホームという単純な位置づけに止まらない。携帯電話電池消費量の70%をウィチャットアプリで消費するという開発者たちは、自分たちが追い求めているのは、従来のモバイルネットワークを超越した存在としてのウィチャット・ネットワークだとの思いがある。
あらゆるネット環境でアクセスが枯渇している状況下で、小程序はどこから利益を得ようとしているのか?また、その意味するところとは?
あらゆる関係者が感じている、後半戦を迎えるモバイルネットワークのアクセス数減少に対する焦燥感こそが、小程序が大きな注目を集める根本的要因である。
では、小程序のビジネスチャンスとは結局のところ何なのだろう?
AIやビッグデータビジネスを手がける、創新工場(SINOVATION VENTURES)の共同創業者の汪華氏の解説によると、モバイルネットワークは今までに二度ボーナス期の波を迎えている。一度目は、大都市に住む3億人のコアネットユーザーが、パソコンインターネットや電子決済のアリペイ、チャットソフトのQQを使いこなすことで、「小米・シャオミー」(スマホ)、「美图・Meitu」(写真加工)、「今日头条・Toutiao」(ニュース配信)、「知乎・チーフー」(ユーザーコミュニティQ&Aサイト)といった企業を育て上げた。二度目は2013年で、インターネットの中小都市への普及に伴い、新たに生まれたネットユーザー達によって、「OPPO・オッポ」(スマホ)、「VIVO・ビーボ」(スマホ)、「快手・Kuaishou」(写真共有)、「映客・Inke」(動画配信)、「斗鱼・Douyu」(動画配信)は成長してきたのである。
その後三度目の波として、2015年、2016年に人口ボーナスが発生した。この時生まれたユーザー達は、おそらく1台のスマホを持っているだけで、モバイル決済機能を使いこなすことなく、チャット、情報交流、サイトの閲覧ができるだけでありがたいと感じていると思われるが、このグループのモバイルネットワーク利用時間は、当初一日数分だったのが数時間に伸びているのである。
この5億から6億人のグループは、ネット通販、SNS、動画配信、メディア、娯楽、教育、医療関連事業者にとって新規顧客開拓の処女地であり、これら手つかずのユーザーを小程序のようなプラットホームでキャッチできるチャンスがあるということだ。
現在、小程序のアクセス数と言われている数値は実際、小程序+ウイチャットチャットグループ+モーメンツ+公式アカウントというエコシステム全体を動員した数値だ。
eコマースの専門家、場景実験室(CONTEXT LAB)の創業者の呉声氏は、小程序はリンク、信用供与、アクセスを組み合わせた新しいシステムだと考えている。
その新しい試みは、顧客転換できずに浪費されたアクセスを拾い上げることに成功した。グループ内での金券共有システムや共同購入システムといった顧客転換率アップのための主流として投入された仕掛けはまだ始まったばかりだが、今年の独身の日の総売り上げの30%以上に貢献していることがわかった。我々は、かつて無人地帯と思われていたエリアから利益を生み出すために、コンテンツ、SNS、物品と販売チャネルの関係を探求しているのである。
小程序はアクセス数と無縁の存在と言われることがあるが、それは小程序がオフラインアクセスを取り込む能力を持っていることを意味している。かつてはモバイルアプリケーションがオフラインからユーザーを取り込む際、一般的な手法はQRコードを使って誘導し、アプリをダウンロードしてもらうことだった。しかし、ダウンロードには時間がかかるため、短時間に多くのアプリにアクセスしてもらうための障壁となる。このため、オフラインアクセスの取り込みがうまく行かないため、オフラインユーザーの行動もデータ化するのが困難だった。
そこで小程序は、ダウンロード不要の特徴を生かし、オフラインアクセスのリンクの掘り起こしを成し遂げた。お出かけに関するアプリを例にとると、今年2月,「摩拜单(Mobike)」が小程序での運用を始めた。QRコードを主要なエントランスにして、デポジットフリーキャンペーンで小程序への移行を促したところ、現在ではユーザーの50%が小程序を利用するようになった。
アプリ開発者たちは、今こそが小程序はアクセス確保のボーナス期だと認識している。だから、あの手この手でアクセスをキャッチしようと必死になっているのである。
「美篇・Meipian」は100枚もの大容量画像に文書を添付してやりとりできるユーザー作成コンテンツプラットフォームだが、小程序に参加するにあたりブレークスルーとなったのは、ウィチャットモーメンツ機能の画像容量制限がわずか9枚しかないという壁を解決できたことにある。運営開始40日前、美篇は小程序用アプリを迅速にリリースし、ユーザーを獲得するために開発者を会社にカンヅメにして完成を急がせた。この絶好の機会に少しでも出遅れれば、市場で生き残ることはできない。創業者の張全氏によれば現在、美篇小程序のユーザー数は1000万人を超えたということである。
美篇が小程序で運営を始めたばかりの頃、美篇ホームページの最大閲覧数は3000万PVで、従来のアプリと小程序は同期している。最初、美篇は全てのアクセスが小程序に集中し、従来アプリのアクセス数に悪影響を及ぼすのではと心配していた。しかし、後に、ダウンロード数の80%が従来のアプリ以外のエントランスからであることが分かり、小程序のことを心配するのは必要なかったことが分かった。
小程序運用初期にアクセス数を獲得した者が、そのまま最後の勝者になれるのか?それは、まだ何とも言えない問題だ。
ウィチャットシステムには、モバイル決済機能を持った9億人のユーザーから利益がもたらされる。ゲーム、ノベルといった時の流れと共にボトルネックに陥った業種も、小程序を通じてもう一花咲かせることは可能だ。しかし、間違っても目先の状況だけに目を向けてはならない。かつて、モバイルネットワークの草創期にブームを巻き起こしたのはツールやゲームを作成する企業だったが、後に本当に大きな仕事を成したのは、たとえば「滴滴・ディディ」(タクシー配車アプリ)のような新しいチャンスを発見した企業だ。小程序は様々な新しい業態の新ビジネスの創出を可能にするのである。
創新工場(SINOVATION VENTURES)の汪華氏は、ウィチャットの考え方は、決して全てのアクセスとカスタマーリレーションシップを自らのエコシステム内で循環させたいと思っているわけではなく、「腾讯・テンセント」と共に新しいビジネスシーン、ビジネスモデルを開拓していきたいと願っているとの見解を示した。
今年の10月末時点で、「忆年・イーニェン」の累計訪問者数はすでに3000万人を突破した。このアプリは運営開始当初、学生のインフルエンサーが多くの支持者を引き寄せてくれたことが現在の好調に一役買っているのだが、創業者の黄衍博认氏は、このように考えている。「アクセスが急増するボーナス期日に多くのユーザーを引き寄せることができましたが、本当の難題はまだ残っています。大事なのは迅速にアクセスを捕まえることではなく、迅速に本当に我々と結びつきが強いユーザーを見つけ出すことであり、そうしてこそボーナスの波が去った時、ユーザー数の急激な下落という危機に直面しなくて済むのです」
初期段階小程序のユーザー、商品、ビジネス空間とのつながりについての方法論
アラジンのデータによると、最初に小程序という金鉱を採掘したのは、小売り、生活サービス、ツール、ゲーム及び動画配信などの業種だった。
9.6億人のアクティブユーザーを持つウィチャットはオフラインアクセスの掘り起こしに熱い希望を与え、eコマースに関わる小程序開発者の熱狂的歓迎を呼び起こしたが、同時にまた、別の事実を世間に示したのだ。「阿里巴巴・アリババ」との競争を経て「腾讯・テンセント」は自社によるeコマースサイトの運営を放棄したが、eコマースエコシステムを放棄するつもりはなかったのである。
eコマースサイトの先駆けとなった「拼多多・Bing duo duo」(共同購入)、「蘑菇街(モグジェ)」、「每日优鲜・Ms.fresh」(生鮮食品デリバリー)の株主リストを見れば、全てに「腾讯・テンセント」の息がかかっていることが見て取れる。これらの会社はウィチャットから優遇政策の助けを受けて、迅速に小程序の模範アプリへと成長し、最前線でウィチャットのマーケットシェアを拡大し、SNSのウィチャットからeコマースインフラのウィチャットへ、そしてついには既存のPCネットワークとモバイルネットワークを超える存在としてのウィチャットネットワークへと押し上げたのである。
現在、「蘑菇街(モグジェ)」の小程序ランキングは、アラジンTop200の第4位につけている。「蘑菇街(モグジェ)」は今年5月ウィチャットのオフィスに駆けつけ、小程序アプリの開発に取り組んだのですが、完成後すぐに、エントランスがトップページに配置される優遇措置を受けた。その結果、6か月後には、ユーザー数6000万人突破を達成できた。
しかし、「蘑菇街(モグジェ)」の小程序担当者の王飛氏は、トップページの件は売上アップの最重要要素ではないと考えている。なぜなら、新規ユーザーの70%は、いきなりトップページ入ってくるわけではなく、共同購入や顧客グループの情報共有といった、顧客が顧客を連れてくるという販売方法で獲得しているからだ。「蘑菇街(モグジェ)」は、サイト内で生放送をしながらプロモーションや販売を行う手法のパイオニアだ。まさにウィチャットエコシステムの構成要素である公式アカウントの一環としてぴったりなのだが、小程序ではアプリがソーシャルeコマースのロジックに完全に従って作動するわけではない。
なぜなら、小程序ではアーキテクチャー上の制限が販売に当たっての障壁になっているからだ。そこで、アプリからショートムービーコンテンツを削除し、シンプルで効率の良い商品棚だけを配置して、スピーディーに買い物が出来るようなシステムを作った。
ネット小売販売のような実体がある商品取引の他に、小程序には科学や語学の知識を使ったビジネス、ノベルやゲーム、さらにはオンライン保険など、様々な要素で構成される、更に大きな創造的想像空間が存在する。
オンライン保険会社の衆安保険は、創立初期から細かいシナリオ分析による少額保険を商品化してきた。例えば、ユーザーが旅行予約サイト「携程・シートリップ」で航空券を購入する際にかけるフライトの遅延保険、携帯電話のディスプレイ破損保険などだ。衆安保険ソーシャルネットワーク事業部のトップである向雷氏は、テクノロジーメディア「36氪・36kr」の取材に対し、次のように述べた。
「衆安は、ウィチャットのネットワーク上に、BtoBtoCの新しいモデルを見つけ出しました。」
「9億人のユーザーが毎日ウィチャットで衣食住について探求しています。我々はウィチャットから汲み上げた情報で必要に応じた商品を作り、小程序を通じてユーザーに送り届けます。以前は面倒だった保険料の受取り手続きについても、ユーザーはアプリのアイコンをタップするだけで気軽に手続きができるのです。」
「我社は、20万人のボランティアが参加している公益組織のための傷害保険を開発しました。組織内の連絡はウィチャットによって行われているため、小程序を利用することで簡単に保険商品の送付と受領が完了しました。」
小程序は、新しいビジネスゲームの誕生を後押しした。誰が未来の勝者の座を占めるのかについて、アラジン創始者の史文禄氏が予測を試みた。
1)2018年末時点で、小程序アプリ数は300万を突破するだろう。この速度は、中国国内で260万突破まで10年かかったアップルと比べると非常に速い。
2)分散型システムである小程序は、閉塞しつつあったeコマース市場に風穴を開け、多数の利益が上がらず、自らのブランド力の確立ができない企業に 新しいチャンスをもたらした。
3)AI技術の発展により、ユーザーインターフェイスから得られる情報はより精密で正確なものとなり、現在よりも更に多くのビジネス上のパワーを与えてくれるだろう。
4)ライバルのアリババが運用する「支付宝・アリペイ」が小程序に加入し、小程序エコシステムはより素晴らしい環境になるだろう。
2016年後半に小程序がテスト運用を行うと発表した時、参加したアプリ開発者の大部分は、有名ブランド企業がまずは試しに社内のエンジニアを数人寄せ集めて作った少人数のチームと、フリーの開発者だった。この時点では、世間の誰もが小程序運用実験の重要性をまだ理解できていなかった。ところが、正式運営が始まって11カ月を経て、小程序の立場は以前に比べ大きく変わった。人々は、小程序が「今日头条・Toutiao」、「滴滴・ディディ」、「饿了吗・Ele.me」(出前サービス)に続く、次のスターを生み出してくれないかと大きな期待を抱くようになっていたのである。