飲食店の無人化が加速、中国「KEENON 」の配膳ロボットが日本でも採用

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2010年に設立した配膳ロボット開発メーカー「KEENON ROBOTICS(擎朗智能科技)」が昨年末に資金を調達していたことがわかった。本シリーズでは「ソースコードキャピタル(Source Code Capital)」がリード・インベスター、「華登資本(Walden International)」と「上海科創基金(SIG)」がコ・インベスターをつとめ、既存株主「雲啓資本(Yunqi Partners)」なども追加で出資。今回調達した資金は国内の飲食市場での普及や海外市場の開拓及び医療分野など新規事業に利用する。同社によると昨年行った2度の資金調達で合わせて2億元(約30億円)を調達した。

 

同社は配膳ロボット以外、案内ロボットや医療用ロボットなどの開発を手掛けている

同社の役員も務めるソースコードキャピタルの郝毅文氏は「生産年齢人口が減少しロボット技術が成熟している状況で、サービスロボットはすでに事業者に対して投資のリターンを十分にもたらしており、我々はこの業界を有望視している」と語った。

KEENONは屋内配送ロボットの開発と製造に特化しており、主力商品は飲食店の配膳やホテルのサービス、医療機関内の配送等のシーンで利用されているが、現時点では火鍋を代表とする飲食店での利用に照準を合わせている。

データによると中国には1039万を超える飲食店があり、国内の飲食市場は大きく、配膳のニーズも大きい。同社の配膳ロボットは飲食企業の人件費削減をセールスポイントとしている。

KEENONは現在1000を超える企業と提携しており、中国国内400以上の都市と多数の海外市場に進出しているという。同社は「中国飲食企業100強」のうち65%のブランドをカバーしており、火鍋専門の人気店「海底撈(Haidilao)」や杭州料理の「外婆家(Grandma’s Home)」などに配膳ロボットのソリューションを提供している。

CEOの李通氏によると、ロボット1台あたり1日100回以上の配膳が可能で、1~2人の労働力に相当するという。同社の製品は主にリース方式だ。1台の配膳ロボットの料金は月額3000元(約4万5000円)、契約期間は1~2年だ。

李CEOは「業界全体が最終的にはリース方式に落ち着くだろう。販売は短期的で臨時のアクションにすぎない」と語る。顧客は製品そのものよりも確かな技術サービスのサポートと高効率の運営管理をより必要とするからだ。現在リース契約の継続率は良好であり、将来的にはさらに向上していくはずだという。

現在同社は全国14の都市に直営支店があり、顧客獲得やメンテナンスを行っている。直営支店がある都市の大半ですでに黒字化を実現しているという。李CEOによると今年はサービスを提供する都市を25~30にまで拡大したいとしており、新型肺炎の流行に関わらず目標は変更しないという。2019年、同社の従業員は前年より5倍増え、現時点では300人近い。

同社は飲食市場以外にも積極的に利用シーンを開拓している。新型肺炎の流行を受けて、同社は正式に医療市場での実用化を開始。感染流行地域の医療機関において医療物資や食事を無人配送することで、接触によるウイルス感染防止の役割を果たした。

医療ロボットを手掛けている企業は多いが、従来の医療ロボットは出荷数が非常に少なく、製造期間も長く、在庫も少ないため新型肺炎の流行で急速に高まった医療機関のニーズに応えるすべがなかった。これらの企業に比べ飲食業界でビジネスモデルを確立し実用化の経験もあるKEENONはロボットの量産がすでに可能だったため、納期の短縮と既存製品をスピーディーに医療市場に投入・利用することができるという強みを発揮した。

グローバル化も同社の事業拡大方針の一つだ。2019年の売上高は前年比6倍の1億元(約15億円)近くとなった。2019年第3四半期時点で同社の海外顧客は米国、カナダ、欧州など世界20の国と地域を含む。去年12月、KEENONは株式会社日本システムプロジェクトとパートナーシップ契約を締結した。飲食店様のさらなる省人化、スマート化を進める一手として、同社製のAI搭載配膳ロボット「PEANUT」を日本市場へ販売することになった。

今年、同社はより多くの海外顧客を開拓するという。

(翻訳・山口幸子)

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