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人工知能(AI)によるデータ分析の「深圳愛莫科技(Shenzhen AiMall Tech)」(以下、AiMall)がこのほど、シリーズA+で数千万元(数億円)調達した。出資者は「漢能投資集団(Hina Group)」と香港の「新世界発展(New World Development)」。
AiMallはメタバース時代の小売業をサポートするため、数百万軒の実店舗をカバーするデータベースエンジンとAIを活用したデータプラットフォーム「Metachain Store」を構築した。また、自社開発した知識駆動型AIプラットフォーム「K.I.S.S.」はシミュレーションシステムを基盤としており、極めて少ない学習サンプルによる高精度のAI識別を可能にした。
創業者の楊恒氏は、ロンドン大学で博士号を取得したAI研究者。2011年には欧州委員会の助成プロジェクト「REVERIE」(現実の没入環境におけるリアルとバーチャルの融合)に参加するなど多くの実績がある。同社幹部には、小売業界でマネージメントの経験を積んだ人物もいる。
同社はAIの新たなパラダイムとしてリアルとバーチャルの連動に注力し、関連する特許を複数取得している。Metachain Storeはすでに、20種類以上の業態の実店舗300万軒以上をカバーし、20万種類以上の商品リストを蓄積している。またMetachain Storeを基盤に、各種商品のメーカーが小売店と直接情報を共有しながらビジュアルマーチャンダイジングや市場調査、販売促進活動を展開できるサービス「MarTech SaaS」を提供している。すでにタバコやアイスクリーム、飲料、調味料などを手掛ける企業数十社が同サービスを導入している。
また、チェーン店を展開する企業には「バーチャル店長」の役割を果たすOaaS(Operation as a Service)サービスを提供している。同サービスは、商品棚の状況や来店客や従業員の様子に関するデータをカメラやマイクで収集し、リアルタイム分析することで店舗運営の最適化をサポートする。店内の音楽やライティングの調整のほか従業員の配置などに適用でき、運営効率と顧客体験の向上が可能になる。現在はバーをチェーン展開する企業などに導入されている。
同社はこのほか、メーカーによる製品の発売時期の決定やチェーン展開する企業による出店先の選定、金融機関による融資先の評価などをサポートするDaaS(Decision as a Service)も提供している。
今回の資金調達を主導した漢能投資集団の担当者は「小売業界ではデジタル化に向けてAIを導入する割合が増え続ける中、店舗から提供されるデータの不足が問題になっている。メーカーの営業担当が店舗を訪問する従来の方法では、コスト・効率・データの質に問題が生じていた。AiMallはAIによる画像認識技術に多くの蓄積がある。自社開発した知識駆動型AIプラットフォームを基盤とするSaaSはすでにタバコ業界をはじめ多くの企業に導入されているほか、OaaSとDaasの導入も着々と進んでいる。同社が引き続き顧客を開拓し、小売業界により多くの力を与えるデータベースエンジンを構築してくれることに期待する」と述べた。
(翻訳・田村広子)
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