中国ではスポーツ観戦を目的にした旅行が多くの人の選択肢になっている。旅行サイトのデータでもパリ五輪にけん引されたスポーツ観光熱が高まり続けていることが分かる。
　
オンライン旅行大手、携程集団（トリップドットコム）では、パリ五輪期間（7月26日～8月11日）の中国内地観光客のパリ旅行予約が前年同期の2.1倍となり、パリのホテル予約が2.9倍、レンタカー予約も2.3倍となった。
　
同じくオンライン旅行大手の同程旅行によると、中国主要都市から7月にパリに向かう航空券予約は前年同月比70％以上増加し、パリのホテル予約は2.5倍、五輪開催中のフランスツアーの予約は3.3倍だった。
　
電子商取引（EC）大手アリババグループ傘下のオンライン旅行サービス「飛猪（フリギー）」では、7月のフランス行き航空券の予約が70％以上増え、ホテル予約も2.5倍を超えた。
　
欧州旅行も活況を呈し、携程集団によると、中国内地観光客による五輪開催中の欧州のホテル予約は2.4倍となり、車をチャーターした旅行の予約も68％増え、フランスでの予約が最も多かった。フランス－スイス－イタリア、オランダ－ベルギー－ルクセンブルク－ドイツ－フランスなど周遊旅行も人気を集めた。
　
国内では、五輪やスポーツと文化観光の融合が消費の新たな注目点になっている。上海では蘇州河沿いで夢清園、西康路の二つの乗船場と新たな遊覧船6隻が運営を開始したのに伴い、運営会社の上海久事旅游が中国サッカー・スーパーリーグの上海申花とのコラボによる船舶模型やテーマ遊覧船を発表。サポーターと旅行愛好者の両方を呼び込んだ。嘉定区の商業エリアでは上海市体育局などが主催する3人制バスケトーナメント「MAGIC3」の嘉定地区大会が大きな盛り上がりを示した。
　
夏のうちにウインタースポーツ関連の旅行を予約する人も少なくない。上海春秋国際旅行社のオンラインサイト「春秋旅游網」が5日に受け付けを始めた長白山万達国際リゾート（吉林省）の冬季予約は、開始2時間で販売額が1千万元（1元＝約20円）を超えた。
　
同社の周衛紅副総経理は「スポーツ旅行の入門としての試合観戦から、より積極的にスポーツに参加する『コアファン』になる人が増えている」とし、スポーツ旅行への情熱が地元スポーツ施設の掘り起こしなど、旅行会社のより積極的で多角的な資源開発、より多くのイノベーションを後押ししていると語った。
　
中国文化・観光部直属の研究機関、中国旅游研究院は報告の中で、国民の疾病予防や健康増進を図る「健康中国」行動の持続的な推進に伴い、スポーツと旅行の融合発展が新たなトレンドとなり、スポーツ旅行が中国観光業の質の高い発展の新たな戦略的支点になったと分析している。

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（新華社北京）