「家事をしない」 80センチのふわふわ人型ロボット、Amooが狙うAIコンパニオン市場

高さ80センチにも満たない、ぬいぐるみのようなロボットにいったい何ができるのだろうか。

上海発のエンボディドAI企業「青心意創」が出した答えは、料理・洗濯でも、荷物の運搬でもなく、「寄り添うこと」だ。同社は2026年3月に、初の消費者向けスマートロボット「Amoo」を発表した。AIをスマートフォンやパソコンの画面から現実の生活空間へと引き込み、人に寄り添う「AIコンパニオン」とするのが狙いだ。

家庭で利用する場合、あまりに大きなロボットだとユーザーに圧迫感を与えることから、Amooは80センチ足らずの小ぶりな人型ロボットとして設計された。大きな目とふわふわのボディを持ち、二本足で歩く小さなドラゴンのような愛くるしい見た目だ。小さいとはいえ、ただ動いておしゃべりするだけではない。視覚、音声、触覚などに対応したマルチモーダルセンサーを搭載しており、ユーザーの言葉や表情、動作を認識し、視線や音声、体の動きなどで素早く反応する。

2026年世界人工知能大会(WAIC)では、Amooの展示エリアが大人気だった。近くに人がいないときは周囲を見回したり、体を動かしたり、軽く伸びをしたりする。来場者が近づいて声をかけてくると、すぐに振り向いて視線をあわせ、手を差し出して握手する。会話中は楽しそうに体を揺らして喜びを表現し、誘われればダンスを披露することもできる。

家庭での利用を想定し、同社は小型・低騒音の関節モジュールを独自開発し、柔軟性を持たせた制御方式を採用した。ユーザーがロボットの手足を引っ張ると、関節が外力に合わせて動くことで衝撃や抵抗を逃がし、人が接触する際の安全性を高めた。また、自動充電にも対応。超小型の脚部構造と静音性の高い足裏設計によって、家の中を歩き回っても音が気にならない。

同社は今後、長期記憶や個性を育てる機能も搭載する計画だ。家族とのやり取りを重ねることで、それぞれ異なる「性格」が形成されていくという。

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こうした発想が生まれるのも、消費者向けロボットと産業用ロボットでは競争のルールが異なっているからだ。

青心意創の曾俊CTOは、かつて米ゼネラル・モーターズ傘下の自動運転企業CruiseでAIモデルの開発に従事していた。同氏は、ロボット開発では、自動車以上にソフトウェアとハードウェアを緊密に連携させる必要があると指摘する。自動運転車両で制御するのは主にステアリングと加減速だが、ロボットは言語や視覚、動作、姿勢制御、周囲の環境とのインタラクションなど、さまざまな要素を同時に処理しなければならない。しかも、計算能力やバッテリー容量、放熱性能にも制約がある。

消費者向けロボットの開発で特に難しいのは、新たな機能を追加することよりも、機能を増やし続けながら、システム全体の安定性を維持することだ。

こうした課題を踏まえ、青心意創は7月、エンボディドAI向けの基盤モデル「Dino OS」を発表し、まずAmooに搭載した。システムはInfra(基盤)層、Brain(知能)層、Module(機能モジュール)層の3層構造で、ハードウェアや運動制御、安全システムといった下層から、知覚、意思決定、行動を統合的に制御する上層までをつないでいる。

Brain層では、「速い脳」と「遅い脳」を使い分ける仕組みを採用している。「遅い脳」はシーンの理解やタスクの分解を担い、「速い脳」は方向転換や視線の動き、即時的な対人反応など複雑な推論を要しない対応を処理する。加えて、小脳が運動制御やバランスの維持、安全性の確保を担当する。

例えば、ユーザーがロボットに「リビングに行って音楽をかけ、一緒に運動しよう」と指示した場合、ロボットは全てのタスクを理解してから動きだすのではなく、まずリビングに向かって歩き始め、その間にタスク計画やスマート家電の操作を進める。こうした設計により、AI推論によって生じる待ち時間を減らし、ロボットがより人間らしく、自然にやり取りできるようにしている。

Dino OSには、新機能や新たなキャラクターの開発コストを抑える狙いもある。Module層では、知覚、行動、実行の一連の処理を再利用できる形にパッケージ化しているため、開発者は新たな用途ごとにシステムを一から構築する必要がなく、既存の機能を組み合わせるだけでよい。これにより、Amoo以外の異なる形態のロボットやキャラクターへの展開も可能になる。

青心意創はすでに、商用化に向けた検証を始めている。WAIC2026期間中、Amooを上海の高級ホテル西岸美高梅ホテル(MGM Shanghai West Bund)に導入し、朝食会場やロビーなどで、情報発信や顧客とのコミュニケーションに活用する試みを行った。また、ホテルや小売企業との試験的導入も進めており、IPや法人向けカスタマイズ、利用シーンに応じた協業も展開している。

消費者向けロボットをめぐる開発競争の前半戦は、本体や基盤モデルがメインだったが、後半戦では人との自然なやり取りが勝敗を分けるようになる。Amooはまさに、この理念を家庭という環境で実践したわけだが、それは「ロボットをより人間らしくする」という同社の長期目標に向けた一つの通過点に過ぎない。

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(翻訳・HU XIN)

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