中国・中科融合、MEMSミラー量産拡大 ロボット視覚やAR-HUD向け

微小電気機械システム(MEMS)ミラーを手がける中国企業「中科融合感知智能研究院(Ainstec)」(以下、中科融合)がこのほど、新たに約1億元(約20億円)を調達した。出資には、松禾資本(Green Pine Capital)や長興基金(Changxin Fund)などが参加した。調達資金は主に、MEMSミラー用中核部品の生産能力拡大やマイクロディスプレイの製品化に充てられる。

中科融合は、中国科学院蘇州納米所(SINANO)発の企業で、設立から8年で複数回にわたり資金を調達してきた。MEMSミラーを基盤技術として、光学、ロボット、電気、コンピューティングを網羅する開発体制を確立した。MEMSミラーは小型化と高精度化を両立できる光学制御部品として、ロボットビジョンや拡張現実(AR)ディスプレイなど次世代センシング用途での活用が進んでいる。特に人工知能(AI)の普及が進む中、ロボットやAR機器の性能を左右する中核部品の一つと位置づけられている。

同社は現在、2つの主要事業を展開している。一つは実世界を3Dモデリングするロボットビジョン用チップおよびモジュール、もう一つはヘッドアップディスプレイ(HUD)やARウェアラブルデバイスに使うスマートマイクロディスプレイ向けのモジュールである。

ロボットビジョン向け製品は5年連続で出荷しており、主に溶接や切削、塗布、積み下ろしなどの高精度な作業をこなす産業用ロボットに採用されている。MEMS光スキャン技術により数千万~数億点規模の点群密度とマイクロメートル単位の測定精度を実現し、強い外光や反射光の影響を受けやすい環境でも安定した計測性能を確保できるという。

創業者の王旭光博士は「当社は国産MEMSミラーのメーカーとして初めて、自動車やハイエンド製造分野のティア1サプライヤーとなり、量産化を実現したうえ、大規模に事業を展開している唯一の国産ソリューションサプライヤーでもある」と話した。

産業用途に加え、消費者向け市場にも進出している。2025年10~12月には、3Dプリンターやスキャナーの主要メーカーへ製品の大量出荷を開始しており、なかでも欧米市場への輸出が大きな柱となった。

昨年から、第2の成長事業と位置付けたスマートマイクロディスプレイ分野では、レーザービームスキャン(LBS)方式を採用したモジュールをAR-HUDやARディスプレイ向けに展開している。

第1世代のAR-HUDマイクロディスプレイプラットフォームは、二輪車および四輪車メーカーに製品サンプルが提供されており、電動自転車、電動バイク、自動車のバックミラーやドアへの搭載を通じて、スマート化を後押ししている。小型チップとレーザーイメージングの特性により、どんな距離でも対象物を正確に捉え、サイクリング時のナビゲーションなど屋外の明るい環境にも対応するため、将来的にはフードデリバリーや宅配便といった頻繁な移動を伴う分野での活用も期待されている。

ARグラス用途ではレーザースキャン方式は主流のマイクロLED方式と比べて消費電力が低く、色域が広い特長がある。王氏によると同社のフルカラーレーザー方式では約1万ニト相当の体感輝度を実現でき、晴天下でも視認可能だという。量産化が進めばコストはマイクロLED方式の約5分の1に抑えられる見通しとしている。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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