人型ロボット向け6軸力覚センサー、市場シェア7割 中国新興、半年で3回目の資金調達
中国では人型ロボット(ヒューマノイド)の量産段階が直前に迫る中、コア部品メーカーに投資マネーが集中している。
ロボット向け6軸力覚センサーで中国トップシェアを誇るスタートアップ企業「藍点触控(Link-touch)」はこのほど、シリーズC++で数億元(数十億円)を調達したと発表した。上海汽車集団(SAIC Motor)傘下の上汽金控と尚頎資本が主導し、半導体大手・中芯国際(SMIC)系の中芯聚源、タイの複合企業チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下の正大機器人(CP Robotics))、厚為資本も出資に加わった。調達資金は新製品の研究開発、生産のスマート化・デジタル化、グローバル市場開拓に充てられるという。
藍点触控はこの半年で数億元(数十億円)規模の資金調達を3回完了しており、今回は前回のシリーズC+からわずか1カ月後の実施となった。注目すべきは投資家陣が多岐にわたる産業分野を網羅している点だ。上海汽車系のベンチャーキャピタルは自動車製造の現場を、中芯聚源は半導体のハイエンド製造の視点を導入し、厚為資本は幅広い消費・メディア分野のリソースを持ち込む。前回のラウンドで出資した中国電池大手の寧徳時代(CATL)や、人型ロボット大手の智元機器人(AgiBot)、銀河通用(Galbot)と合わせ、コア部品から最終応用まで産業やサプライチェーン全体をカバーする株主構成が出来上がった。
藍点触控が目指すのは、ロボットにより精緻な「神経系」を実装することだ。主力製品は6軸力覚センサーと関節トルクセンサーで、測定誤差は定格の0.1%以内(0.1%FS)、応答周波数10kHz以上、過負荷耐性500%(5倍)というグローバルでトップ水準の性能を実現し、海外メーカーによる数十年来の技術独占を打ち破った。
同社の力覚センサーはまず自動車や新エネルギー電池を使った自動化生産ラインなどに導入され、将来の人型ロボット量産に向けた布石も打たれているという。

藍点触控の6軸力覚センサーの主力製品
人型ロボットは1台あたり6軸力覚センサー4個と関節トルクセンサー28個を搭載する必要がある。6軸力覚センサーは手首と足首に配置され、それぞれ精密な力制御と動的バランスを担う。関節トルクセンサーは全身に分散配置され、人や環境との接触に応じて柔らかく力を逃がしながら制御する柔軟な力制御(コンプライアンス制御)を実現する。それと同時 とともに、関節の機構的な隙間(バックラッシュ)による誤差を補正する。先ごろハーフマラソンで人類の記録を塗り替えたロボットにも藍点触控の力覚センサーが搭載されており、ミリ秒単位の姿勢フィードバックによって、超長距離を転倒せずに走り切ることを可能にした。
人型ロボット分野での市場優位も拡大し続けている。調査会社・MIR Databankの「2025年中国人型ロボット向け6軸力覚センサー市場調査報告書」によると、藍点触控の2024年の市場シェアは約62%だった。また、高工機器人(GGII)の「2025年中国人型ロボット向け6軸力覚センサー市場分析報告書」では、25年のシェアは72.6%に達し、業界首位の座を固めている。加えて、関節力覚センサーの出荷量は国内の95%以上を占め、売上高は3年連続で倍増、黒字化も達成しているという。

藍点触控の主力製品群
生産能力の面では、広東省に1万平方メートル超の自社生産拠点を構え、現在は関節力覚センサー年産100万セット、手首や足首に搭載されるエンドエフェクター用6軸力覚センサー年産20万セットの供給体制を確立している。これは、2026年以降に見込まれるロボットの大口受注の本格化を見据えたもので、川下の完成機メーカーによる大規模量産に向け、基幹部品のサプライチェーンを支える狙いがある。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)