炭鉱の「脇役作業」をロボットに 中国新興、危険工程を自動化

中国の鉱業向け作業ロボットメーカー「随擎機器人(Suiqing Robotics)」はこのほど、エンジェルラウンドで連雲港金橋基金から1000万元(約2億円)規模の資金を調達した。資金は主に、炭鉱坑内作業ロボットの開発・改良やサプライチェーンの構築、人材採用に充てられる。

同社は2025年初めに設立されたが、チームはその2年近く前から技術開発や坑内での実証実験を進めてきた。創業者の王龍氏は同済大学でロボット工学を学んだ後、香港科技大学の上級研究員を務めた経歴を持つ、中国の建設ロボット分野のパイオニアだ。

鉱山業界では、「部分的な自動化」から「全工程の無人化」への転換が進む。多くの企業が採掘や輸送など中核工程の自動化を目指す一方、随擎機器人は資材運搬や高所作業、坑道の築壁、炭塵除去といった周辺作業に照準を定めた。

こうした周辺作業に従事する作業員は坑内労働者全体の6割以上を占める。中国には約1000カ所の大・中規模炭鉱があり、対象となる作業員は約100万人に達することから、省人化や安全性向上を進める中国政府の重点分野となっている。一方で、大手鉱山機械メーカーは参入が限定的で、安全基準の高さや坑内環境の特殊性から新規参入も容易ではなかった。

坑内は狭く、高温多湿で暗いうえ、ガスや粉塵が多い過酷な環境にある。このため、ロボットには高い耐環境性能が求められる。加えて、防爆認証を取得したサーボモーターや関節モジュール、センサーなどの中核部品が不足しており、製品開発の制約となっている。

そこで同社は、ハードウエアとソフトウエアを並行して手がけることにした。独自開発した防爆モジュールによって認証済み部品の不足を補うほか、狭く暗く粉塵が多い坑内環境に対応できるよう、センサーや制御アルゴリズムも独自に設計した。

チームは、技術そのものよりも、現場での継続的な検証こそが参入障壁になると考えている。炭鉱で実際にテスト、分析、最適化を繰り返すことで、坑内でどのパラメータが変動しやすいか、どの構造が粉塵環境に弱いか、ロボットが傾斜路でスリップした際の対処法などを検証して製品を改良した経験を積み重ねてきた。こうした知見は部品やアルゴリズムだけでは再現しにくいという。

現在は6種類のロボットを開発中で、このうち「坑内運搬ロボット」と「高所作業ロボット」は安全認証取得の最終段階にあり、小ロット受注も始まった。

随擎機器人のロボット製品ラインアップ(画像は企業提供)

また、「築壁ロボット」と「鉱山トラックタイヤ安全処置ロボット」は、中国初となる製品を目指す。前者は事故が多発しやすい坑道内での築壁作業を行い、後者は露天掘り炭鉱でのトラックタイヤの交換といった危険度の高い作業を担う。王氏によると、両製品ともにパイロット試験を終えており、今年後半に順次、安全認証を取得する見通しだという。

顧客にはエネルギー・鉱山分野の中国国有企業が名を連ね、受注残高は1000万元(約2億円)を超えた。

今後は3段階で事業を拡大する方針だ。まず向こう2年間で6製品の安全認証を順次取得し、量産・納入を進めることで、炭鉱坑内の周辺作業向けロボット市場で先行優位を確立する。3~5年後には非石炭鉱山にも横展開し、炭鉱と非石炭鉱山、坑内掘りと露天掘りの双方を網羅する事業体制を構築する。5~7年後には、炭鉱坑内で培った防爆技術や過酷環境での作業能力を生かし、石油化学施設の防爆作業や、共同溝・地下物流など都市の地下空間にも事業領域を広げていく。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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