一つのAIで複数ロボットを動かす 中国「KinetixAI」、テマセク系から120億円超を調達
中国の人型ロボット(ヒューマノイド)スタートアップ「超維動力(KinetixAI)」はこのほど、エンジェルラウンドの追加ラウンドで5億元(約120億円)超を調達した。シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)傘下の祥峰投資(Vertex Ventures)が主導し、方広資本(F&G Venture)、万石資本(KINGSTONE CAPITAL)などの機関も参加した。
調達した資金は主に、「データ・AIモデル・ロボット本体」を連携させた技術開発や、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)製品の商用化に充てる。
2025年7月に設立された超維動力は、同年9月に研究開発を開始し、現在のチーム規模は200名近くに達している。26年4月、初のフルサイズ人型ロボット「KAI Bot」を発表した。身長173cm、体重70kgで、全身に117の自由度を備えている。
付属のロボットハンド「KAI Hand」は37の自由度を持ち、指先荷重は30N(ニュートン)を超える。また、頭部装着型データ収集デバイス「KAI Halo Lite」は一人称視点でのデータ収集に用いられ、重量は約300g。KAI HandとKAI Halo Liteは現在、世界中の産業顧客向けに販売・納入されている。
AIモデルの開発では、特定のロボット本体に依存せず、同じモデルを異なる機体で利用できる仕組みの構築を目指している。2026年8月に開催された世界人型ロボット競技大会では、香港大学のチームと共同で「SMASH」システムを搭載したロボットを披露。卓球の世界チャンピオン、丁寧選手とのエキシビションマッチで、ボールのすくい上げやカットなどの動作を実演した。
同じアルゴリズムは、「宇樹科技(Unitree Robotics)」の「G1」や「智元機器人(AGIBOT)」の「遠征A3」など、異なるロボット本体にも適用できるという。同社はこれにより、1つのAIモデルを複数のロボット本体で利用できる汎用的な技術基盤の構築を進めている。
商用化について、創業者の喻傑氏は、短期的には中核部品とデータプラットフォームを軸に市場開拓を進め、中期的には医療・介護などの分野で車輪型ロボットの導入を目指す方針を示している。長期的には二足歩行型の汎用ヒューマノイドに注力する。計画では、27年末に汎用ヒューマノイドの小規模生産を開始し、28年から段階的に生産規模を拡大する予定だ。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)