DeepSeekも狙う「安い電力、冷たい外気」 内モンゴルに集まる中国AI企業
中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」が、内モンゴル自治区ウランチャブ市に大規模なデータセンターを整備する計画だ。米ブルームバーグが関係者の話として報じた。自社施設の建設と外部施設の賃借を通じ、電力容量約1ギガワットのデータセンターを整備するという。
少なくとも16万個のファーウェイ(華為技術)製AIチップ「昇騰(Ascend)950DT」を導入し、主にAIモデルの推論に使用する計画で、モデルの学習には引き続き米NVIDIA(エヌビディア)製チップを使用する。ファーウェイの生産能力に制約があるため、注文したチップの納入には1年以上かかる可能性がある。データセンターの一部は、2027年末または28年初めの稼働を開始する計画だ。
ウランチャブ市は13年からデータセンター産業の育成に取り組んできた。ファーウェイ、アリババ、快手(Kuaishou)、優刻得(UCloud)などが相次いで進出し、電力供給や通信網、運用・保守サービスの整備が進んだ。中国東部のデータ処理需要を西部の計算資源で支える国家プロジェクト「東数西算」と、大規模モデルの需要拡大が、現地でのAIコンピューティング分野への展開をさらに促した
26年8月に公表されたデータによると、市内で稼働する計算能力は17万2000ペタフロップスに達し、AI向けが95%超を占める。計算能力(コンピューティングパワー)関連プロジェクトの契約件数は累計109件となった。
企業を引き付ける大きな要因は、電力と冷却のコストだ。風力・太陽光資源が豊富で、再生可能エネルギーの直接供給や蓄電設備の整備が進んでいる。26年8月の電力網企業による代理調達価格を比べると、内モンゴル西部は1キロワット時当たり約0.3234元(約7.8円)で、河北省北部の約0.3857元(約9.3円)より約16%低い。エリア全体の年間平均電力負荷が1ギガワットに達する場合、この調達価格の差だけで年間約5億5000万元(約130億円)の差が生じる計算だ。
ウランチャブは年平均気温が約4.3℃と低く、1年のうち10カ月近くは外気を利用して冷却できるため、運営費の削減にもつながる。北京から高速鉄道で約2時間という立地も強みだ。技術者が往来しやすく、専用回線を通じて北京・天津・河北地域の計算能力の需要にも対応できる。
中国メディアの鉛筆道の不完全な集計によると、26年8月にはウランチャブ市内で、AIコンピューティングに関連する12件のプロジェクトの契約が短期間に相次いで成立し、確認できる計画投資額は合計1300億元(約3兆1000億円)を超えた。このうち規模を公表した5つのAIコンピューティングセンターの計画電力容量は、合計6.3ギガワットに上る。
ゴールドマン・サックスの報告書を引用した報道によると、26年6月時点で、ウランチャブの稼働済みおよび計画中のデータセンターについて確約された電力容量は、合計約12.5ギガワットに達している。
※1元=約24円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)