ビリビリ動画 米国市場上場まで9年の道のり

BiliBili(哔哩哔哩)は9年間で二次元向けの小さなサイトから中国の次世代エンターテインメントプラットホームとなった。

アメリカ現地時間3月2日、BiliBiliは米国証券取引委員会(SEC)へIPO(新規株式上場)申請をし、4億米ドルの資金調達を立案した。株式取引コードは、「BILI」だ。
2017年の総収入は24.68億元、前年同期比372%増加、これはBiliBiliが提出した目論見書のデータである。かつては少数派の二次元界向けだったBiliBiliは、現在、非二次元界をも席巻する、月利用者数7180万人を有する企業へと成長した。

コミュニティ運営の市場価値上昇に伴い、BiliBiliは二次元グループに対し粘り強さをみせている。目論見書のデータによると、ユーザー1日あたりのBiliBili利用時間は、76.3分で、正式会員の12ヶ月までの定着率は79%を超えている。ユーザー全体の81.7%が1990年~2009年に生まれた若者で、目論見書の中では、いわゆる中国の“Generation Z”(次世代)と呼ばれている。
しかし特定グループの他の一面を魅了するのは、BiliBiliのビジネス化を慎重にさせている。現在BiliBiliはまだ利益の実現には至っておらず、non-GAAP(非米国会計基準)に基づくと、2017年の純損失は1.01億元におよぶそうである。

それでも陳叡氏が社長に就任して以来、BiliBiliはゆっくりと変化し始め、絶えずアニメーション産業チェーンの上流から下流までを買収する手はずを整え、“ユーザー提供型”だったものを、自分たちが主導的に議題設定し、オンラインチケットサービス、テーマカフェ等の新事業を誕生させ、かつて垂直コミュニティだったものを徐々に自分たちの現実世界へと結びつけた。

二次元の種の“芽生え”

2009年BiliBili設立前、動画共有サイト「AcFun」が中国の二次元業界の開拓者だった。その頃、以前は少数のオタク仲間の中で二次元の住人は自身を表現する居場所を持っていた。彼らは画面の中を飛び交うコメントを通して、画面上にいる同類の存在を感じていた。

BiliBiliの発祥はAcFunで育成された二次元文化と密接に関わっている。BiliBiliの前身である、動画サイト「Mikufans」は、AcFunの古株ユーザーであった徐逸氏により作られたものである。その時のBiliBiliは、彼の中では“AcFunの裏庭”と読んでいた。

その“裏庭”も盛んに発展していった。BiliBiliの立場からすると、AcFunに付いて発展していく過程で、浮き沈みのあるサイト運営、管理問題は、BiliBiliがAcFunからUP主を引き寄せた重要な原因の一つである。BiliBiliのはじまりは、AcFunがサーバーダウンした際、二次元住人たちが一時的に休息する場所としてだったが、すぐに後者と対等になっていった。

BiliBiliの転換と変化

BiliBiliは発展の一途を辿るが、陳氏は幾度の転換点でまぎれもなく重要な人物だった。
まず初めの転換点は、2011年に、当時Cheetah MoBile Inc(猎豹移动)の副総裁だった陳氏は、BiliBiliへエンジェル投資をした。その資本の助けもあり、BiliBiliは各事業を大きく前進させ、“BiliBili新年祭”は次第に二次元住人のための大晦日の一大イベントとなっていった。2012年に入り、BiliBiliはAlexaのアクセス数ランキングでAcFunを超えた。

その後の数年間、BiliBiliは資本市場で絶好の時期を迎える。2年以上の間、BiliBiliは連続して投資ラウンド(シリーズD)の融資を獲得し、その総額は約5億米ドルだ。そのバックには、多くのIDGの資本、テンセントや上場企業の支えがあった。比較的多くの新興企業がある中で、BiliBiliは早い段階で注目されていた。
2014年には、大のアニメーション愛好家である陳氏が社長として正式にBiliBiliに加入した。これがBiliBiliの歴史で2回目の転換点となる。

BiliBiliはすでに二次元住人が集まるメインサイトなっていたが、この本質は垂直的なコミュニティであり、文化的で規範があるものだった。無制限で、生活を記録する類の「快手」(中国の動画編集・共有アプリ)等のアプリとは根本的に違う。例えば、BiliBiliは画面上に発せられるコメントに規範を設けたり、管理人は内容や協調性の審査要求を厳しくしている。また会員登録でさえ工夫を凝らし、敷居を高くしている。

陳氏が加入してBiliBiliの体勢はさらに主導的なものなったが、主導的な中には依然と慎重な面もあった。
2014年より、BiliBiliはゲーム運営と代理販売業務を開始した。後にゲームの確かな成長がBiliBiliのビジネス化の柱石であることを証明する。目論見書によると、ゲームはBiliBiliの2017年の総収入の83.4%を占めており、すなわち20.6億元だ。2016年の5.24億元、2015年の1億元と比べると、3倍を超える増幅であり、本業である動画配信業務が利益に結びつかない情況下で、非常に構想力のある成長分野である。

しかし、たとえゲームでも、BiliBiliが運営している種類を見ると、例えば「Fate/Grand Order」、「夢100」等のゲームは、すべて自身のプラットホームの内容と密接に関わっている。ユーザーにとってBiliBiliが提供しているのは、すなわち“ワンパッケージ”サービスだ。アニメを見たり、ゲームをしたり、その中に似たような興味を持った愛好家とのインターラクティブな体験を織り交ぜている。

以前に陳氏はテンセントの取材に対し、BiliBiliはゲームを“自身のコンテンツ内容に合わせたものにする”としている。これは運営戦略のひとつであり、また同様に、BiliBiliは自身のコミュニティを維持していくために可視化しているということである。連動した内容の出来具合に期待しつつ、これまでの限界を開拓できないか探りを入れている。

目論見書には示されていないが、BiliBiliがゲームを自社開発するにしても、ゲームの代理販売業務は、ゲーム開発メーカーと良好な関係が必要だ。リスクもあるが、資本を獲得したBiliBiliは、もしかしたら将来得意分野を生かしてゲーム開発に足を踏み入れるかもしれない。

陳氏が運営を始めて以降、BiliBiliはアニメーション産業チェーンの上流から下流まで、すでに多くを囲っている。公開された情報によると、BiliBiliは、エンターテイメント業界で投資した企業の数は38社を超えており、陳氏の加入後の取引は、約35件である。

陳氏はかつて36Krの取材に対し、BiliBiliのビジネス化をあくまでもユーザーが主体となって推し進めていくものとし、会社経営を維持するにはビジネス拡大の道を歩いていかざるを得ないと言っている。もしユーザーが視聴に貢献し続け、BiliBiliの内容をアニメーションから多元化、個性的な内容に派生し、それがユーザーから支持されるなら、「絵梦アニメーション」、「サンフラワーズ」、「海岸線文学」等のアニメーション製作会社に投資し、国産アニメーション製作の分野へ参入するだろう。そして、中国共産主義青年団をUP主としてBiliBiliに迎え、BiliBiliが主導的に議題設定を試みていくだろう。

BiliBiliのIPO申請後、陳氏は21.5%の株を保有する筆頭株主となり、株主総会での議決権は80%を超えている。これはたとえ多方面で融資を受けたにせよ、BiliBiliグループの独立した決定権は今もなお握っていることを意味する。ある意味で、この株主権の構造は、BiliBiliにバランスのとれたビジネス化をもたらし、ユーザー主体であるという初心を維持させているのである。

ビジネス化の探索

サブカルチャーコミュニティのビジネス化において、まず直面する問題は、ユーザーの大きな反発によるリスクだ。以前AcFunがビジネス化へ進んだときも幾度の波乱があり、多くのユーザーが離れていった。

ゲーム代理運営業務以外に、生配信はBiliBiliに利益をもたらす第二の業務となった。去年、生配信業務はBiliBiliの総収入の7.1%を占めている。全商品を生配信している「映客」とは違い、BliBiliの生放送はただのビジネスシーンの一部にすぎないが、利害がBiliBiliの豊かな文化圏の中に溶け込むことによって、BiliBiliはビジネス経路にいる「快手」や「陌陌一样」などの同じ生配信コンテンツと差別化を果たし、主要な生配信コンテンツへと躍進した。

2016年、無料配信、動画内広告なしを続けて7年、BiliBiliは版権者に「Re:ゼロから始める異世界生活」等5つの新アニメーションの前に15秒の特別広告を入れるように要求した。これはかつて陳氏が発言していた“永久に動画内広告を入れない”と食い違いが生じ、ユーザーの批判を受ける形となった。

しかし、今のところBiliBiliは依然として動画内広告は差し控えており、広告は基本的に、スプラッシュスクリーン、または、その他に影響を及ぼさないところに置いている。同様にしてアメリカでまもなく上場しようとしている「爱奇艺(iQIYI.COM)」は、広告収入が81億元あり、46.6%を占めている。BiliBiliは多くの層に応えるため、ビジネス化路線とユーザーのニーズとのバランスを維持していかなくてはいけない。これが他の動画配信サイトとの差別化を促している。

2016年、今までずっとビジネス化についてひた隠しにしてきたBiliBiliは、大胆にも旅行業へと進出した。傘下の旅行事業会社を分割して独立させる他、新会社に“银河漫游指南”の名前を用い、独立融資した。
続いて10月には、BiliBiliは月額25元でVIP会員制度を始めた。しかし「爱奇艺(iQIYI.COM)」や「优酷(YOUKU)」等の動画配信サイトにみられるVIP会員限定で特典内容を視聴できるものとは類似しておらず、少し“的を得ていない”ようなものだったので、逆に野次馬ユーザーの苛立ちを煽る形となった。彼らは陳氏の「微博(Weibo)」ページに跳んでいき、BiliBiliのビジネス化について献策し、会員の料金制度のガイドラインで、独立したコメントエリアやコメントをキーワードでスクリーニングできる機能を設定する等の提案をした。

BiliBiliは映画業界でも利益を得ようとし、上海尚世影业有限公司(SMG Pictures)等の会社と共同で、ビリビリ映画業有限公司(BiliBili Pictures)を設立させた。その後200万元で後者の45%の株主権を回収している。
ビリビリ映画業有限公司(BiliBili Pictures)の後期プランに関しては、BiliBiliの副社長兼COOの李旎氏は昨年末、将来はアニメーション映画への投資と製品化に焦点をあて、脚本からリリース、製品化、流通等の方面で、優秀な国産アニメーションを支援するとしている。これと上述した内容及びBiliBiliが主導的に国産アニメ業界を開拓する取り組みもまた関連している。

オフラインでのBiliBiliの探索も試みている。
2013年より、BiliBiliは二次元住人に交流の機会を提供するため、彼らの好きなUP主に会える等のオフラインでのLive活動を開催し始めた。第一回のBML(BILIBILI MACRO LINK)の来場者は800人程度だったが、昨年は10万人に達した。来場者は事前購入したチケットで入場し、会場ではBiliBiliの関連グッズの販売もあった。

昨年、BiliBiliは二次元の世界からオフラインでの活動を始め、オンラインでのチケット販売業務をしている。ユーザーは会員購入ページに進み、漫画展、ゲーム展、同人誌展、コンサート等の各種イベントを含め、各都市でまもなく開催される二次元オフラインイベントの情報を調べることができ、また同時にチケットを購入することもできる。さらにBiliBiliはCOSTA珈琲とも協賛し、BiliBiliをテーマとしたカフェもオープンした。店内の装飾から店員まですべてBiliBiliのイメージになっている。

陳氏がBiliBiliに設定したビジネス化の原則は、ユーザー体験に影響を及ぼさないことだ。しかし、ユーザーが日に日に増加するにつれて、本家二次元グループと非二次元グループとの融合、特定のユーザーグループとビジネス化のバランス、これらすべてがBiliBiliの課題として残った。
他社も二次元界への開拓や新会社創業へ奮起しており、そのプレッシャーも大きくなっている。

「Toutiao(今日头条)」は、最近コアユーザーをコスプレやイラスト投稿の総合コミュニティとなっている「半次元」を買収、「爱奇艺(iQIYI.COM)」は、引き続き非二次元界へ注力、漫画プラットホームである「快看」は、投資ラウンド(シリーズD)で1.77億米ドルの調達に成功した。ビジネス化は、課金による先行視聴、広告、ゲーム、eコマース等の方向へ進展している。これらはすべてBiliBiliの潜在的な競争相手である。
BiliBiliが資本市場へ参入するにあたり、BiliBiliにとっても、また二次元業界にとっても、これは前例のない未知の地への冒険となるだろう。

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