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アリババやTikTokなどの越境ECプラットフォームが拡大するのに伴って、海外でもライブコマース事業が成長し始め、海外市場に向けた越境ライブ配信事業への参入者が増える中、デジタルヒューマンの姿も見られるようになった。
多くの配信者にとっては、競争が激しい中国国内のライブ配信業界よりも、越境ライブ配信の方が魅力的に映る。「2022年度中国ライブコマース市場データリポート」によると、同年の国内ライブコマース利用者数は4億7300万人で前年比10%増だったが、伸び率は低下している。
一方で市場調査会社・艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、2023年の中国の越境ライブコマースの市場規模は2845億8000万元(約5兆7000億円)で、前年比155%増となる見込みだ。
こうした中、配信者だけでなく、企業も海外市場に目を向け始めた。
デジタルヒューマンがひっそりと配信者に
越境ライブコマース業界は盛り上がりを見せているが、困難にも直面している。
「多くの越境EC企業がまず頭を悩ますのは配信者の言語能力だ」と、デジタルヒューマンを手がける「上海元集之智能数字科技」の陸文斌CEOは話す。
「世界越境ECブランド海外進出状況リポート」によると、海外進出先の40%が欧米、残り60%をアフリカ、インド、東南アジア、南米などのEC新興市場が占めている。ほとんどの市場は英語で対応できるが、東南アジアや欧州などでは依然として言語の壁が存在する。
求人サイトを見ると、英語を話す越境ライブ配信者の初任給は一般的に8000~1万5000元(約16万~30万円)、マレー語などローカル言語を話せる配信者の初任給は1万5000元(約30万円)だ。越境ECを展開しようとする中小企業にとって、配信者にかかるコストが高すぎることは容易に想像がつく。しかし、人工知能(AI)を持つデジタルヒューマン配信者を導入すれば、ブランド独自のライブ配信ルームを作るのに毎月数千元(数万~十数万円)を投じるだけで済む。
元集之は安徽省のテック企業「中新数創網絡科技」と共同開催したデジタル製品発表会で、デジタルヒューマンの女性配信者「久」を発表した。
陸CEOは、両社が発表したデジタルヒューマン配信者を越境ライブ配信に活用する方針を示した。今回の提携を通じて、両社はAI生成コンテンツ(AIGC)、相互にコミュニケーションが可能なデジタルヒューマン、デジタルツインなどの最新デジタル技術を使って、EC企業の海外進出を支援する。両社が開発したAIデジタル配信者のSaaSプラットフォームは、海外で主流のプラットフォームのほとんどに対応しており、すでに事前テストを始めた企業もあるという。
AI技術のおかげで、デジタルヒューマンはすでに400種類以上の言語が使用できる。また、ほとんどのデジタルヒューマンは外見をカスタマイズすることができ、さまざまな地域の文化に合ったサービスを利用できる。
ただEC事業者の中には、現在のデジタルヒューマンはまだ期待していたレベルには達していないと考える人もいる。あるEC事業者は「多くのデジタルヒューマンは、録画した動画を繰り返し再生しているだけだ」と話し、「これではあまり効果がない」と指摘する。配信者の最も重要な役割は、ライブ配信を視聴する消費者と相互にコミュニケーションを取りながら、つながりを構築することだという。
しかし大規模言語モデル(LLM)の発展に伴って、デジタルヒューマン技術も成熟してきた。事前に録画しなくても、さまざまな配信者のコーパスを使って指向的なトレーニングを施せば、デジタルヒューマンに配信者としてのトーク技術をマスターさせることができる。さらに大規模言語モデルを使うことで、ライブ配信中のフィードバックをもとに、どのようなトークが適切かを分析し、リアルタイムに修正できるという。陸CEOは「デジタルヒューマンはまだ人気インフルエンサーのようなレベルには及ばないが、それでも70点以上には達している」と説明した。
作者:IT時報(WeChat公式ID:vittimes)、範昕茹
(翻訳・大谷晶洋)
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