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脳と機械を連動させる埋込型ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を開発する「階梯医療(StairMed)」がこのほど、シリーズBで3億5000万元(約70億円)を調達した。啓明創投(Qiming Venture Partners)、奥博資本(OrbiMed)、礼来亜洲基金(Lilly Asia Ventures)などが共同で出資を主導した。今回の資金調達額は、中国における埋込型BMI分野で過去最高額となる。
階梯医療は2021年8月の設立以来、低侵襲の埋込型BMIの開発と実用化に注力しており、特に超フレキシブル電極などの技術を得意としている。同社が開発したハイスループットの埋込型BMIシステムは、麻痺障害が残る患者の動作を補助するものとして、すでに医療機器登録のための型式試験を完了している。
臨床研究の分野では、50例以上の医師主導型臨床試験を実施し、フレキシブル電極の使用に関わる大規模なヒト細胞のデータセットを構築した。2025年には、侵襲型BMIを長期にわたって脳内に埋め込む前向き臨床試験を実施し、26年には大規模な臨床試験を計画している。
創業者の趙鄭拓氏によると、短期的には医療用の埋込型BMIに重点を置いて開発を進め、言語機能の再建や人工内耳のほか、顔面神経麻痺や脊髄損傷の修復などに応用していくという。長期的な計画としては、より高性能の次世代型BMIシステムの開発を進めており、特に大規模言語モデル(LLM)やエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)などを手がけるリーディングカンパニーとの提携を強化し、さらなる技術革新を目指す方針だという。
埋込型BMIは、脳の電気信号を取得するための超フレキシブル電極や、脳内に埋め込む小型デバイスの設計、低侵襲の埋め込み手術など複数の専門技術を含むシステム工学だ。
階梯医療の超フレキシブル電極は、マイクロナノ加工技術を活用し、髪の毛の100分の1という細さを実現した。BMI開発ではイーロン・マスク氏が設立した米Neuralink(ニューラリンク)が大きな注目を集めたが、階梯医療はNeuralinkが使用する電極の5分の1の細さを達成し、電極の柔軟性を大幅に向上させた。しかも、細胞と同レベルの柔軟性を持たせたことで、周囲の細胞が神経電極の存在を察知しにくくなり、生体防御反応を引き起こすことなく安定した計測が可能になった。
脳内に埋め込むデバイスのサイズも、Neuralinkのほぼ半分を実現した。これにより侵襲性の低い手術が可能になり、臨床現場での利用可能性も高まる。埋め込み手術では頭蓋骨に3~5mmの穴を開けるだけですみ、患者への負担やリスクを減らせるという。
階梯医療は、医療用BMI電極の量産実現のため、半導体の微細加工プロセスを導入し、適正製造規範(GMP)に適合した2000平方メートルの生産施設を建設した。2025年には医療用BMIに使用するMEMS(微小電気機械システム)の生産基地が稼働を始める予定。
BMIの開発にはさまざまな専門分野が含まれるため、多方面にわたる人材が必要となる。階梯医療では現在、神経科学やマイクロエレクトロニクス、人工知能(AI)、臨床医学などを専門とする優秀な人材を広く募集している。また、産業界のパートナー企業と連携し、技術開発・資金調達・政策支援を受けながら事業拡大を図る。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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