1カ月で130億円─中国の人型ロボットが受注ラッシュ、熱狂の先に供給制約

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2025年、人型ロボット(ヒューマノイド)業界は空前の受注ラッシュに突入した。なかでも「優必選科技(UBTECH Robotics)」の勢いは他を圧倒している。

UBTECHは2025年11月以降、億単位のプロジェクトを続けざまに3件落札した。江西省九江市の人型ロボットデータ収集・トレーニングセンタープロジェクトが1億4300万元(約33億円)、広西チワン族自治区防城港市の人型ロボットデータ収集・トレーニングセンターおよびイノベーション教育モデルプロジェクトが2億6400万元(約60億円)、四川省自貢市の人型ロボットデータ収集センタープロジェクトが1億5900万元(約37億円)と、わずか1カ月ほどで受注額は計5億6600万元(約130億円)に上った。

これに9月から10月にかけて獲得した複数の大口注文を加えると、2025年の人型ロボット受注額は約13億元(約300億円)に達する。

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13億元分のロボットの行き先

受注の中心はUBTECHの産業用人型ロボット「Walker」シリーズだ。そのほとんどが法人と公共分野向けに集中している。

法人客は自動車分野のサプライチェーン企業が多い。2025年4月下旬以降、多くの自動車メーカーがUBTECHの人型ロボットの実地訓練を開始、製造現場や顧客対応で活用するようになった。中国の吉利汽車(Geely)やBYD(比亜迪)、中国第一汽車集団と独フォルクスワーゲン(VW)との合弁会社・一汽大衆(FAW-VW)、アウディと中国第一汽車集団との合弁会社・奥迪一汽新能源汽車、北京汽車集団(BAIC)傘下の北汽新能源汽車(BJEV)のほか、電子機器受託製造(EMS)大手・富士康科技集団(フォックスコン)なども顧客として名を連ねる。

人型ロボットの導入先としてまず自動車工場が選ばれるのは、生産工程の標準化が進み、作業手順が明確で反復作業が多いことに加え、工場空間そのものが「人」が働くことを前提に設計されているためだ。従来の産業用ロボットに比べ、人型ロボットはこのような環境への適応力が高く、汎用能力の検証もしやすい。ドイツのBMWやメルセデス・ベンツ、米テスラなど、海外の自動車メーカーが人型ロボットを導入するのも、こうした理由による。

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公共分野も主要な受注ルートだ。UBTECHが2025年に受けた大口注文の多くは地方自治体や公共プラットフォームからのもので、データ収集、トレーニング・テストセンターの整備、さらに港湾でのオペレーション、設備点検、物流、公共サービスといった用途が中心となっている。

中国では人型ロボットが国家の戦略的新興産業に組み込まれたことを受け、各地で積極的な取り組みが進められ、人型ロボットをめぐるイノベーションセンターやプラットフォーム企業が立ち上げられた。大都市ほど条件に恵まれていない地級市(省レベルの下に位置する行政単位)にとっては、完成度の高い製品を直接調達することが、産業を迅速に定着させるための現実的な選択肢となっている。

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受注増加の裏で供給能力には課題も

資本市場も人型ロボットブームを後押しする重要な役割を担っている。

UBTECHは業界に先駆けて上場を果たしており、2025年11月にはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の中国指数に採用され、時価総額は約533億香港ドル(約1兆700億円)に達している。さらに宇樹科技(Unitree)や智元機器人(AgiBot)、楽聚智能(Leju Robotics)といった企業も、IPOやプレIPOでの資金調達を進めている。

スタートアップデータベースのIT桔子によると、中国のロボット分野における資金調達額は2025年8月末までに、24年通年の約1.8倍に当たる386億元(約8900億円)に達した。資本市場が「人型ロボット」に寄せる期待は、明らかに実際の生産能力を上回っている。

当局はすでに過熱を抑えるためのシグナルを送り始めている。国家発展改革委員会は2025年11月、人型ロボット開発企業の数が 150社を超えたことで、製品の同質化やリソースのひっ迫といったリスクに警戒が必要と指摘し、業界への参入・撤退のメカニズムを段階的に整備していくとした。

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さらに深刻なのは、受注激増の一方で、供給能力が追いついていないことだ。

UBTECHは2025年に人型ロボットを500台以上納品する見通しで、生産能力は年間約1000台、現状は1カ月に約300台であることを公表、26年に約5000台、27年には1万台規模の納品を実現させるとした。

しかし状況を見ると、受注の伸びは明らかに生産能力を上回っている。受注の一部はすでに年末、さらには26年へと納品予定がずれ込み、業界全体がフル回転で受注をこなしている状態だ。

業界の課題:消費者向けの難しさ

2025年は「人型ロボット量産元年」と呼ばれるものの、活用範囲は依然として限定されている。

短期的には、人型ロボットが個人向け消費市場に参入するのは難しい。一般消費者にとっては、価格の高さ、機能の限界、用途の不明確さが壁になる。業界では、人型ロボットが本格的に一般家庭に普及するには、さらに5年から8年程度かかるとの見方が広がっている。

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このため今後の2、3年は、引き続き法人や公共分野の顧客に大きく依存することになるだろう。そして自動車工場だけでなく、家電やコンシューマーエレクトロニクス、物流、設備製造など、さらに幅広い産業の現場にも対応し、より完成度の高いトータルソリューションを提供することが求められる。

熱狂が去った後に残るものこそが、人型ロボット産業の本当の出発点となる。

*1元=約23円、1香港ドル=約20円で計算しています

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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