中国生鮮EC、主戦場上海の勝者は天下取り

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中国では、上海が生鮮食品ECにとって最良のマーケットであり、同分野の起業にも最高の都市かもしれない。生鮮食品大手の上海市場における勝敗は今後全国市場でのシェアに影響を及ぼすだろう。

上海は生鮮食品ECの主戦場

2019年1月、生活関連プラットフォーム大手の「美団(MEITUAN)」が上海でアプリ「美団買菜(maicai.meituan.com)」をローンチ。また、同年3月、アリババ傘下の最初の青果専門店「盒馬菜市(Hema Caishi)」の1号店が上海でオープンした。4月には、家電大手EC「蘇寧易購集団(Suning.com)」傘下の生鮮品事業「蘇寧菜場(Suning Food Market)」が上海進出を公表。5月、北京を本拠地とする生鮮ECの「毎日優鮮(missfresh)」は上海進出を始めると公表した。多くの競合相手がある中で、特に好調なのは生鮮食品EC「叮咚買菜(dingdongmaicai)」だ。アリババが展開する次世代スーパーの「盒馬鮮生(Hema Fresh)」の創業者兼CEOの侯毅氏も、叮咚買菜を脅威に感じていると話すほどだ。2019年7月、叮咚買菜は日当たり注文数が40万回を超えたと発表した。

上海での激戦について、毎日優鮮もプレッシャーを感じているという。同社は既にオフィスを上海に移し、上海で10億元(約160億円)の投資を行った上で、新たに倉庫を500か所オープンする予定だという。

現状では、上海での生鮮業界の激戦は、北京や広州などの大都市よりも激しいと見られる。その背景にはどんなビジネスロジックがあるのか。

上海が生鮮事業に向いているわけ

生鮮ECが上海に集中している理由としては、上海の生鮮サプライチェーンが成熟していることと、消費者の消費習慣と消費水準の高さを挙げることができる。

地理的な理由により、中国では上海のような南方都市の方がより豊富な生鮮商品を生産することができる。叮咚買菜のサイトにアクセスすると、魚介類や海鮮類のSKUだけで86種類があり、新鮮な野菜のSKUが180もある。

それから、消費者の消費水準が高く、2019年上半期の一人あたりの消費ランキングでは、上海が2万2513元(約36万円)という金額でトップになっている。上海では、グローバルな小売業者の集中度が55.3%で、世界2位となっている。更に、国際的な有名ブランドの9割が上海で店舗をオープンしている。

上海の好景気と住民の消費水準の高さは、他の中国1級都市に比べても優位性があり、これは生鮮各社が上海進出に注力している前提および基盤となる。

それだけでなく、生鮮事業に関するインフラとサプライチェーンも成熟していることが、生鮮ECの発展に大きく貢献している。

上海には全国の農産物が集中し、郊外で生産された野菜が通年で安定した価格で供給されている。市場、スーパーなどでは農産物の種類も豊富である。このような成熟した生鮮商品の流通システムが、生鮮事業のスタートアップ企業にとって好都合であり、自社サプライチェーンが構築されていなくても、市場でのシェアの拡大が実現できるようになっている。

現在、上海では、生鮮事業の前線倉庫というビジネスモデルが人気であり、アリババ、京東(JD.com)、蘇寧などのEC大手が皆この分野に参入している。上海市場を獲得すれば全国で勝負できるため、今後も生鮮業界の激戦がまだしばらく続きそうだ。

作者:「零售老板参考」(Wechat ID:lslb168)、王彦麗

(翻訳:小六)

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