製品も社名もないのに評価額3200億円 アリババ「Qwen」元幹部の新AIラボに資金殺到
製品がまだ存在せず、社名すら正式発表されていない中国の人工知能(AI)企業が、すでに総額数億ドル(数百億円超)を調達し、資金調達後の評価額は20億ドル(約3200億円)に達した。
米The Informationの報道によると、アリババグループの大規模言語モデル(LLM)「通義千問(Qwen)」の元責任者・林俊暘氏が設立したAIラボが、初回の資金調達を完了し、評価額は20億ドル(約3200億円)となった。本ラウンドでは、紅杉中国(Hongshan、旧セコイア・チャイナ)と高榕創投(Gaorong Ventures) がそれぞれ1億ドル(約160億円)を出資して主導し、テンセント(騰訊控股)も2000万ドル(約32億円)を出資した。
1993年生まれの林氏は、中国の国際関係学院で文系分野を専攻した後、北京大学外国語学院の修士課程に進み、自然言語処理(NLP)とマルチモーダル表現学習を研究した。2019年に同課程を修了後、アリババ傘下の研究機関「阿里巴巴達摩院(Alibaba DAMO Academy)」で、シニアアルゴリズムエンジニアを務めた後、アリババ史上最年少の「P10」クラス(シニアディレクタークラス)技術責任者となった。林氏は超大規模事前学習モデル「M6」「OFA」の研究開発に深く関わった。アリババが22年末に「通義実験室(Tongyi Lab)」を設立すると、彼はQwenの技術責任者に就任した。
Qwenはその後3年間で急速に拡大した。林氏の主導のもと、アリババはあらゆるパラメータ規模を網羅するオープンソースモデルファミリーを発表した。今年1月時点で、Qwenの世界ダウンロード数は10億回を超え、派生モデルは20万個を突破した。25年のフラッグシップモデルである「Qwen3-Max」のパラメータ数は1兆を超え、GPQAなどのベンチマークで同時期の国際的な主流モデルを上回った。
しかし今年3月4日未明、林氏は突如としてSNS上で「me stepping down. bye my beloved qwen.(辞任します。さようなら愛するQwen)」と辞任を発表した。外部ではすぐに彼が起業するのではないかとの憶測が飛び交ったが、それが現実のものとなった。
林氏のAIラボは、世界モデルとエンボディドAIを主要研究分野としているという。これらの分野は現在、世界中の投資家から熱狂的な注目を集めている。
1ドル=約160円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)