全固体電池はまだ「実証段階」、それでも材料市場は急拡大 日中韓が供給網構築

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全固体電池を巡る競争の焦点が、材料性能の向上から量産を見据えた技術検証へと移り始めている。

台湾の調査会社TrendForceが発表した「2026年第2四半期 世界の固体電池業界動向四半期レポート」によると、世界の全固体電池開発の重点は、材料性能の向上から、歩留まりの改善や製造プロセスの確立、車載用途での検証へとシフトしつつあるという。トヨタ自動車や本田技研工業、日産自動車など日本の自動車メーカーはいずれもパイロットラインを立ち上げており、日本では2030年頃の商用化が計画されている。

このうち日産自動車は、車載用全固体電池のセルとモジュールの検証を進めており、2028年度に自社開発した全固体電池を搭載する電気自動車(EV)の発売を計画している。韓国の車載電池大手・サムスンSDIなど韓国企業も同様にパイロット試験や検証を進めているほか、中国企業の実用化ロードマップも徐々に明確になっている。日本、中国、韓国の3カ国は、世界的に見て全固体電池の産業化競争が最も激しいエリアになっている。

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自動車だけでなくロボットやeVTOLも

また同レポートは、全固体電池の初期の用途はEVに限定されていないと指摘している。現在は依然としてコストが高いものの、エネルギー密度の高さや優れた安全性といった強みを生かし、ドローンや電動垂直離着陸機(eVTOL)、ロボット、小型電子機器など、コストより性能が重視される高付加価値分野で、実用化に向けた実証が進んでいる。

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サムスンSDIや日本のマクセル、英Ilika、台湾の輝能科技(ProLogium Technology)、米Factorial Energyなどはそれぞれ異なる用途で製品の検証を進めている。EVでの本格採用に先行して、性能が重視される高付加価値分野から実用化が進む可能性がある。

硫化物系への注目度上昇、上流で材料の製造拡大

全固体電池が実証段階に移るのに伴い、上流のサプライチェーンへの投資が活発化している。イオン伝導率が高い硫化物系固体電解質は主要技術のひとつとされ、その原料の硫化リチウムの生産拡大に日中韓企業が注力している。

特に日本では国内サプライチェーンの構築が加速している。TrendForceによると、日本の経済産業省は2023年から蓄電池の安定供給確保に取り組んでおり、2026年6月までに全固体電池サプライチェーンに関連する5事業を認定している。助成総額は1000億円を超え、そのうち約18%が固体電解質と硫化リチウム生産技術の開発・改良に充てられている。

産業化の兆しは、上流材料の動きにも表れている。硫化物系電解質の原料となる硫化リチウムは、研究開発段階ではキロ単位だった需要がトン単位へと拡大。TrendForceによると、世界の生産能力は2026年上半期までに600トンを超え、27年には1000トン規模に達する見通しだ。一部企業では月間出荷量もキロ単位からトン単位へ増加し、価格はこの半年で50%あまり下落した。

TrendForceによると、全固体電池の現段階での需要は、依然として研究開発用途と小規模な試験生産が大部分を占めている。今後2、3年のうちに車載規格の検証が順調に進めば、硫化リチウムや固体電解質など上流の材料に対する需要が一足先に急拡大する可能性がある。

中国勢、相次ぎ実証・小規模量産へ

中国車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、2027年までに全固体電池の小規模量産を実現するとの方針を掲げているものの、大規模な商用化については依然として慎重な態度をとっている。同社の曽毓群(ロビン・ゼン)会長は今年6月、技術成熟度を1から9で評価するなら、全固体電池の現状はレベル4にとどまっているとし、本格的な量産の実現にはレベル9に到達することが必要と指摘。30年までに全固体電池を車両100万台に搭載できる可能性はかなり低いとの見方を示した。

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また曽会長は、現在市場で「固体電池」と称されている一部の製品が、実際には一定割合の液体電解質を含む半固体電池もしくは準固体電池であると指摘し、本物の全固体電池と同列に扱うことはできないと注意を促した。

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CATLが大規模量産に慎重な見方を示す一方、中国の自動車・電池各社は2027年前後を一つの節目として、実証搭載や小規模生産の準備を進めている。

EV最大手の比亜迪(BYD)は、2027年に高級モデル約1000台への実証搭載を開始する計画で、30年に約4万台、33年にはさらに12万台に増やすことに加え、他社への電池供給も視野に入れている。自動車大手の広州汽車集団(GAC)は25年に全固体電池のパイロット試験ラインを完成させた。容量60Ah以上の車載電池セルを製造でき、26年には小ロットの実装試験を実施し、27年から30年にかけて段階的に量産を進める。

車載電池大手の国軒高科(Gotion High-Tech)や恵州億緯鋰能(EVEエナジー)、自動車メーカーの上海汽車集団(SAIC)、重慶長安汽車(Changan Automobile)なども相次いでパイロット生産や車両への搭載、量産に向けたロードマップを公表している。2026〜27年は、中国の全固体電池にとって「研究室の性能」を競う段階から、「実際につくり、車に載せられるか」を競う段階へ移る転換点となりそうだ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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