一人のテニス練習に「AIコーチ」、中国PongBotが数十億円調達

PongBot

AIを活用したスポーツ練習機器を開発する中国の「龐伯特(PongBot)」がこのほど、シリーズBで数億元(数十億円)を調達した。上海国投先導基金(SSCILF)が主導し、元禾璞華(Oriza Hua)、浦東創投(PDVC)なども参加した。調達した資金はスポーツ向け大規模AIモデルや画像認識、トレーニングの意思決定技術の開発に加え、海外販路の整備や新たな競技向け製品の投入に充てられる。

PongBotは卓球用の球出し機から事業を始め、徐々にその技術をテニスへと展開してきた。同社が狙うのは、スポーツ愛好家が自主練習をする際に不足しがちな、コーチによる観察や修正、指導へのニーズだ。単にボールを送り出すだけでなく、カメラでスイングや打球の速度、落下地点などを捉え、AIが動作を分析して改善点を伝える仕組みを構築している。

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創業者の張海波CEO(最高経営責任者)は、専門コーチの代替ではなく、日常的な自主練習の場面にも専門的な指導を届けたいと述べている。

主力のテニス向け製品「Aura」は、着脱式のデュアルカメラを搭載し、毎秒120フレームで撮影することができる。フォーム、返球速度、打球の落下地点などの情報を収集し、AIがテークバックのタイミングや打点、重視移動などを分析したうえで、簡潔で実行しやすい助言を提示する。今後は、継続的な練習のパフォーマンスから技術面の弱点を特定し、球出し機と連動してボールの軌道やテンポ、難易度を調整する計画だ。

海外市場も重要な成長分野となっている。2024年にクラウドファンディングサイトのKickstarterで資金調達を実施したテニス用球出しロボット「PACE」シリーズは270万ドル(約4億2700万円)超を集めた。今年5月に投入したAuraも累計調達額が400万ドル(約6億3200万円)を超えた。同社によると、世界のユーザー数は30万人を超え、機器による累計球出し回数は20億回以上に達している。

今年9月、オーストラリアテニス協会はPongBotとの複数年にわたる提携を発表した。PongBotは全豪オープンの公式球出し機パートナー、およびナショナル・テニス・アカデミー(NTA)の公式球出し機サプライヤーとなった。

今後はピックルボール、パデル、バドミントン、野球などの競技にも事業を広げる計画だ。同社が技術面で重視しているのは、ユーザーの動作、AIによる助言、機器の調整、その後の練習効果を相互に結び付け、AIモデルの継続的な改善に活用できるデータを蓄積することだ。

*1元=約24円、1ドル=約158円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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