中国、ヘルスケアに大規模言語モデルを導入 自宅で専門医AIがいつでも利用可能に

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

中国、ヘルスケアに大規模言語モデルを導入 自宅で専門医AIがいつでも利用可能に

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

ヘルスケアの人工知能(AI)サービスを手がける「医者信息科技」は今年、中国の名門校・清華大学出身者を中心に設立された企業だ。ヘルスケア分野に焦点を当て、最先端の混合エキスパート(MoE)アーキテクチャをベースにハードウエアとソフトウエアを組み合わせ、ユーザーが家庭で毎日24時間利用できる「ヘルスケアマネージャーAI」や「ヘルスケアエージェント」を提供している。

世界保健機関(WHO)の統計によると、中国人の70%以上に当たる約9億5000万人が「未病(病気ではないものの健康な状態から離れつつある状態)」だという。ヘルスケアの大きな需要に対応できる医療資源が整っていない上、この分野の需要がロングテールでまとまりがないことがヘルスケアを難しくしている。同社は大規模言語モデル(LLM)を搭載したヘルスケアエージェントによって、この大きな需要を満たそうと考えた。

しかし、ファインチューニング型や業界特化型など従来の大規模言語モデルのみでは、虚偽の情報を生成する「ハルシネーション(幻覚)」や長期記憶の欠如、フューショット学習の不足といった問題に直面する。これらを解決するため、同社はMoEアーキテクチャ大規模言語モデルを独自に開発。この大規模言語モデルは混合アーキテクチャを通じて、医療AI、専門医AI、スポーツトレーナーAI、栄養士AIなどと共にユーザーへサービスを提供する。

MoEアーキテクチャの大規模言語モデル

MoEアーキテクチャは複数のニューラルネットワークが組み合わさっており、ゲーティングモデル(Gating Model)とエキスパートモデル(Expert Model)で構成されている。

同社は、700億近いパラメーターを持つMoEアーキテクチャの大規模言語モデルを独自に開発し、糖尿病、高血圧、高血脂、高血糖、肺結節などを管理する10以上のエキスパートモデルをそろえ、病気によって異なるそれぞれの状況に対応している。

一般ヘルスケアAIは問診や各種の機能を持つエキスパートモデルで対応する。例えば糖尿病に対応できる栄養士AIを求められれば、糖尿病や食事療法などのエキスパートモデルが割り振られる。

MoEアーキテクチャは新しい需要に対しても、改めて大規模言語モデルを学習することなく、ブロックを組み立てるように新たなモデルを柔軟に作ることができる。つまり、研究開発コストを大幅に削減し、追加の費用を抑えながら少ないサンプルで新しいヘルスケアエージェントを生成できる。

エキスパートモデル

汎用型大規模言語モデルと比べ、MoEアーキテクチャの大規模言語モデルは特定のシーンにおいて適合性と正確性を60%から97%以上に高められるという。これはヘルスケア分野においては非常に重要だ。

医者信息科技のサービスは現在、健康診断と家庭向け医療で活用されている。健康診断では中国トップクラスの民間健康診断機関と提携。ユーザーは健康診断前に「ヘルスケアアドバイザーAI」に病気のスクリーニング検査について相談し、専門的な健康診断プランを得られるほか、健康診断後には、健康診断レポート解説AIや専門医AIの解説、質問への回答機能を利用できる。

家庭向け医療では中国トップの保険会社と提携している。ユーザーに家庭医AIやスポーツトレーナーAI、栄養士AIなどをヘルスケアエージェント・チームとして提供し、ユーザーが抱えるさまざまなニーズを満たす。

同社のサービスはスマホ、PC、スマートスピーカー、スマートウォッチなどに対応しており、毎日24時間どこでも利用可能なヘルスケアサービスの提供を目指している。

(翻訳・大谷晶洋)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録