中国、規格外部品をオンラインで取引 低価格・短納期で世界の製造業を支援

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中国、規格外部品をオンラインで取引 低価格・短納期で世界の製造業を支援

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製品カタログに記載のない規格外部品に特化したオンライン製造プラットフォームを提供する中国企業「雲工廠(XMAKE)」がこのほど、シリーズB+で1億元(約21億円)近くを調達した。力合数智基金と福州高新区海峡金控が出資を主導し、複数の国有ファンドも参加した。

製造業界ではこれまで、供給側と需要側がそれぞれ分散しており、情報の行き違いが発生しがちだった。取引のプロセスは標準化されておらず、効率も低い。とくに構造部品の製造・販売では、これらが大きな課題となっている。

構造部品は機械などを構成する基本的な部品だ。とくに、3C製品(コンピューター、通信機器、家電)やスマートデバイス、医療機器などの分野では、規格外の構造部品にかかる平均的なコストが全体の3割を占めるという。構造部品の製造は、CNC(コンピューター数値制御)加工や金型加工、射出成形、全加工など、さまざまな方法が用いられ、各種製造方法を手がけるメーカーが分散している。

構造部品を調達するバイヤーは、オフラインでは接触できるメーカーに限りがあるため、ニーズに合うメーカー探しに苦労してきた。製品の品質を見極めるのが難しく、発注までに費用と手間がかかる上、生産の進捗状況をリアルタイムで把握できず、納期が守られる保証もない。一方のメーカー側も、それぞれ異なる規格外部品の発注に対応するため、営業員の力に頼ってきたものの、受注率は低い傾向にある。

これらの問題を解決するため、製造業向けにオンライン製造プラットフォームを立ち上げ、生産体制の整理・再編をサポートする企業が登場している。雲工廠はそのうちの1社だ。

雲工廠は2015年に設立され、本社を福建省福州市の高新区(ハイテク産業開発区)に置く。同社が開発した世界初の規格外部品の取引プラットフォームは、分散している規格外部品の需給双方を取り結び、さまざまなツールとシステムで取引と製造の効率を向上させる。部品製造向けの工業用ソフトウエアをSaaSで提供するクローズド・ループ・システムは、機械加工や金型加工、射出加工、板金加工のほか、サンプルや3Dプリントに関わる取引から受注管理、加工、アフターサービスまでをオンライン化する。

創業者の李欽氏は、先進的な設備・機器を手がける企業にとって、規格外部品の加工が最大のペインポイントになっていると指摘する。同社は各種加工メーカーを取りまとめると同時に、自社でも一部製品の生産体制を構築し、顧客が調達先を容易に確保できるようにした。また、人工知能(AI)を活用した見積価格算定ソフトが、従来は数日かかっていた見積もり時間を数分に短縮する。さらに、生産の全プロセスを専用ソフトで管理し、多くの調整ポイントを設けることで、製品の品質を確保できるという。

各種設備・機器に用いられる構造部品(画像は「雲工廠」提供)

雲工廠の顧客企業は現時点で30万社近くに上り、うち60社余りが米フォーチュン誌の世界企業ランキング「グローバル500」に名を連ねる。提携部品メーカーは1万3000社以上となり、これまでに累計数億個の部品を納品している。また、米国と日本向けに公式サイトを開設し、中国製部品とオンライン製造プラットフォームを海外にも提供している。全世界のテクノロジー企業に、より低価格かつ高品質の構造部品を短い納期で提供していく考えだ。

李欽氏によると、世界の製造業でスマート化のうねりが巻き起こる中、雲工廠は規格外部品の分野に特化して、引き続き工業用ソフトや工業用AI、自動化設備の開発に注力し、業界のスマート化と自動化を後押しする。また、海外市場の開拓を続け、世界的なオンライン製造プラットフォームの構築を目指すという。

*2023年11月22日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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