手のひら認証やスマートカーにも、活用広がる中国ベンチャーの3Dセンシング技術

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手のひら認証やスマートカーにも、活用広がる中国ベンチャーの3Dセンシング技術

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3Dセンシング(立体画像認識)技術を開発する中国スタートアップ企業の「光鑑科技(Deptrum)」がこのほど、シリーズBで中金資本(CICC Capital)などから2億元(約40億円)を調達した。

光鑑科技は2018年に設立され、一貫して「光学・センシング・コンピューティング」を組み合わせた手法で、さまざまな業界にソフト・ハード一体型のセンシングソリューションを提供してきた。すでに、最初の消費者向けナノフォトニックチップのテープアウト(設計完了)や、画面下3D構造化照明技術を搭載したスマートフォンの共同開発に成功している。

「光鑑科技」の製品(画像は企業提供)

生体認証やヒューマンマシンインターフェース(HMI)、マシンビジョンなど既存事業の方向性を生かし、モバイル決済や電子機器、スマートコックピット、モバイルロボットなどの分野で成果を上げてきた。過去2年間で売上高は数倍になり、すでに黒字化を果たしている。

ここ数年は、特に生体認証決済での進展が目覚ましい。光鑑科技はテンセントのモバイル決済サービス「微信支付(WeChat Pay)」と提携しており、2021年に発表した小型の顔認証決済モジュールは真っ先にWeChat Payの顔認証決済に導入された。23年にはWeChat Payの「手のひら認証決済」にセンシングソリューションを提供、この認証方法は交通機関や小売業などさまざまな分野で活用が進んでいる。

中国・北京、地下鉄も「手のひら」認証で乗車可能に。テンセント、「WeChat Pay」に掌紋決済を正式導入

「要となるのは(手のひら認証)決済サービスのユーザー体験であり、認証をスムーズに行えるかどうかだ」と光鑑科技の創業者・朱力氏は話す。同社では光学イメージングや画像情報処理など分野における強みを生かし、手のひらと認証端末との距離に応じて赤外線の強さを素早く調整することで、皮下血管などの鮮明な画像情報をミリ秒単位で取得できるようにした。

生体認証のほかに、モバイルロボットの分野にも力を入れている。参入企業が多く、技術も成熟しているこの市場で、光鑑科技は特定の分野に特化した新たなソリューション開発に力を注ぐことにした。すでに商用ロボットやロボット掃除機を手がける中国大手メーカーとの提携に至っている。

ロボット掃除機は通常、ナビゲーションや測位を行う長距離用と、障害物回避のための近距離用という2種類のセンシングシステムが必要で、いくつものセンサーを搭載しなければならない。光鑑科技は3D構造化照明とToF(レーザーを利用した測距法)を組み合わせた独自技術を開発し、対応するアルゴリズムを重ねることで、近距離から中長距離までの高精度3Dイメージングをモジュール1つで実現できるようにした。

さらに、スマートカーや消費者向け電子機器の分野でも技術の応用を進めている。スマートカーの分野では、業界をリードする複数の自動車メーカーと戦略提携を結び、車載規格のToFカメラをリリースしたほか、スマートコックピット向け3Dビジョンソリューションの研究も共同で手がけている。消費者向け電子機器の分野では、大手スマホメーカーと協力して研究開発を行い、既存の技術と組み合わせて画面下3D構造化照明技術を搭載した機種などを発表した。

光鑑科技の創業メンバーは、光エレクトロニクスや3Dビジョン、チップなどの分野で豊富な開発経験を有している。開発スタッフが全体の8割以上を占め、保有する特許は数百件に上る。創業者の3人は、それぞれカリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、清華大学の出身で、卒業後はアップルやオラクルなど著名なグローバル企業に在籍し、光エレクトロニクスやアルゴリズムの分野で経験を積んだ。

2024年1月8日のレート(1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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