自動運転向け地図データ、低コスト高精度で提供 中国・柏川数据

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自動運転向けのデータサービスを手がける「柏川数(Baichuan Data)」 がこのほど、追加のエンジェルラウンドで同創偉業(Cowin Capital)と相城金控(Xiangcheng Financial Holding)から数千万元(数億円超)を調達した。資金は技術開発、組織拡充、データプラットフォームの構築に充てられる。

柏川数据の馬東昇・最高経営責任者(CEO)は連続起業家で、ファーウェイの研究拠点「2012ラボ」などに勤務した経験もある。人工知能(AI)や自動運転、コネクテッドカーなどの分野に長く携わり、自動運転業界向けデータの標準仕様策定に複数回参画した。

同社は2021年に設立され、データの収集からクレンジング、ラベリング、シミュレーション、AIモデルの訓練・評価までを取りまとめたワンストップ型のデータサービスを提供している。顧客は、自動車メーカーや自動運転向けアルゴリズム、半導体、センサーを手がける企業など、すでに35社を超える。

中国では2023年、ファーウェイや小鵬汽車(XPeng)、蔚来汽車(NIO)、理想汽車(Li Auto)などの業界大手が続々と高度自動運転の実用化に乗り出し、業界全体が高精度地図への依存度を下げていった。そのため、自動車メーカーは以前よりも多くのデータを収集し、システムを訓練する必要が出てきた。

馬CEOは、高度自動運転が急速に発展しつつある現在、自動運転をレベル2+からレベル3に引き上げるうえで、大量かつ質の高いデータが重要になると指摘する。

高度自動運転に関するアルゴリズムの開発と最適化には、3Dに時間軸を加えた4Dの鳥瞰図「4D BEV」データを用いる。より細かい環境やより複雑な場面のラベリングが必要になっただけでなく、データの処理方法も根本的に変化した。そのため、データサービスを手がける企業には、運転環境に対する理解やコンピュータビジョン、ツールチェーンなどで高い技術水準と実力が求められるようになった。

柏川数据はこれらのニーズを満たすため、4Dの自動ラベリング機能を備えたAIデータ管理プラットフォーム「山海」を開発した。同プラットフォームでは、1億以上の点群データのオンライン編集に対応しており、対象物の位置や大きさ、形、速度、軌跡など多次元的な情報を効果的にラベリングすることができる。

4Dの自動ラベリング機能を備えたAIデータ管理プラットフォーム「山海」

中国の自動車メーカーが海外展開を進めるなか、柏川数据も海外市場に対応する自動運転機能の開発で自動車メーカーをサポートしている。同社の海外向け自動運転データサービスは、すでに欧州連合(EU)に加盟する27カ国や東南アジア、中南米をカバーしており、今後は香港、マカオ、台湾のほか、日本や韓国、ロシア、中東、北アフリカ、南アフリカなどへも広げる方針だという。

馬CEOは「当社はデータを収集し、マスキングを施したうえでデータプラットフォームとすることができる」とし、このプラットフォームを通じて自動車企業が進出先の国の基準を満たせるようサポートしていくと説明した。

同社はデータラベリング事業だけでなく、ラベリングに関わるアルゴリズムの開発も手がける。自動ラベリングや3D再構成、データマスキング向けのアルゴリズムに加え、リアルな場面のデータに基づくシミュレーションアルゴリズムなども展開する。

自動ラベリング向けのAIアルゴリズムに関しては、高品質なデータを大量に収集し、深層学習や強化学習、半教師あり学習、自己教師あり学習など複数の技術を用い、訓練と最適化を繰り返すことで、高精度な自動ラベリングを実現した。4D BEVに対応する自動ラベリングの効率は10倍以上となり、一部のデータのラベリング精度は90%を超えた。

また、同社の「純視覚4D高精度地図生成ソリューション」を活用すれば、自動車メーカーは高価なLiDARへの依存度を低減できる。フロントカメラやRTK(リアルタイムキネマティック)、IMU(慣性計測ユニット)など低コストなセンサーだけで、誤差10センチメートル未満の高密度な点群データを生成し、4D BEVデータのラベリングを完了できるという。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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