電池はコストの3割——ファーウェイEV陣営、「脱CATL」でコスト削減 100万台へ

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が主導する電気自動車(EV)ブランド連合「鴻蒙智行(HIMA)」が、サプライチェーンのコスト高騰を受け、車載電池最大手・寧徳時代(CATL)を軸としてきたこれまでの供給体制の見直しを進めている。

複数の業界関係者によると、HIMAが展開するブランドのうち、超高級車ブランド「尊界(MAEXTRO)」を除く複数ブランドで、第2の車載電池サプライヤーを採用する動きが加速している。なかでも、長期にわたりCATLが独占的に電池を供給してきた「問界(AITO)」は、すでに国軒高科(Gotion High-Tech )や中創新航科技(CALB)をサプライチェーンに取り込み、「智界(LUXEED)」についても、国軒高科と欣旺達電子(Sunwoda、サンオーダ)を新たなパートナーに迎える見通しという。

HIMAに採用されるすべての電池メーカーは、ファーウェイ独自の電池規格・安全プラットフォーム「巨鯨」の規格審査に合格しなければならない。この規格は安全性能への要求が極めて厳しく、例えば、高温環境下での熱暴走試験では、満充電かつ高温下で電池パックが爆発しないことが求められる。

すでに「AITO M6」については、国軒高科の容量81kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池パックを採用することが決まっている。また関係筋によると、ファーウェイは国軒高科の工場に対して量産に向けた審査を開始しており、電池セルの生産ラインに担当チームを派遣しているという。

AITOブランドについては、2022年にCATLと5年間の戦略的提携を締結して以来、すべての車種で同社の電池を採用してきた。25年には、AITOのスーパー工場内にCATLが工場を設けるモデルさえあった。しかし現在のコスト高に直面し、HIMAはサプライチェーンの選択肢を広げようと動いている。

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コスト削減と販売目標100万台

今年に入り、半導体メモリーや炭酸リチウムといった主要原材料の価格高騰で、完成車メーカー各社の利益が圧迫されている。ファーウェイとAITOブランドを共同運営する賽力斯集団(Seres Group)の張興海董事長は以前、サプライチェーンの値上げにより、AITOのコストは1台当たり約1万5000~2万元(約36万~50万円)増加したことを明かしていた。

車両コストのうち車載電池の占める割合は全体の約30%にも達するため、当然ながらコスト削減も重点的に進められる。業界関係者によると、サンオーダの電池パックは同規格のCATL製より10%ほど価格が低いという。50kWhクラスの電池パックで試算すると、車両1台のコスト差は2000元(約5万円)近くになる。競争の激しい20万~30万元(約480万~720万円)クラスの市場で、この価格差は決して小さくない。

HIMAのサプライチェーンに食い込むため、国軒高科やサンオーダなど中堅メーカーは、さらに多くの認証や開発コストを引き受けることもいとわない姿勢を見せ、トップメーカーに比べ一段と協力的だ。

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HIMAが電池サプライヤーの分散化を進めるもうひとつの理由は、自社の販売目標にある。

計画では、2026年に年間納車台数100万台以上という目標を掲げている。ところが今年1-5月の累計納車台数は20万台に届かず、そのうち6割をAITOブランドが占めている。小鵬汽車(Xpeng)や小米汽車(Xiaomi Auto)が中・低価格帯市場で値下げした影響もあり、HIMAとしては早急にサプライチェーンのコストを削減しコストパフォーマンスを高める必要がでてきた。実際、国軒高科の電池を採用したことで、「M6」に81kWhの純電動車モデルが追加され、エントリー価格は22万9800元(約550万円)に引き下げられた。

長期的にみると、HIMAはこれまでファーウェイの技術を生かしたスマート化と高級路線を武器に市場を開拓してきた。しかし5つのブランドでカバーする価格帯が15万~150万元(約360万~3600万円)と広がるなか、経営戦略はブランド価値の追求から規模拡大との両立へと変わりつつある。電池サプライヤーの多様化は、HIMAにとって新たなコスト削減と市場拡大の始まりに過ぎないかもしれない。とはいえ関係者は、新モデルが当局に認可されるまでは、同社の販売計画に不確定要素も残っていると強調する。

HIMAのサプライチェーンの見直しに対し、CATLも手をこまねいているわけではない。関係者によると、CATLはさらなる受注額の拡大を狙い、価格戦略の見直しを積極的に進めているという。

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*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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