越境ビジネスのマーケティングを行う「Real Hype」が、TikTokを運営するバイトダンスなどからシリーズAで数百万ドル（数億円）を調達したことがわかった。調達した資金はコンテンツ開発と人員拡充に充てられる。

Real Hypeは2020年にシリコンバレーの有名投資会社「UpHonest Capital」がインキュベートした企業であり、創業者でCEOのErica Yang氏はもともと投資銀行の高級管理職だったが、その後KOLマーケティングを行う企業を創設し、最高時には数百のKOL、約3億のフォロワーを持つに至った。共同創業者のTaylor Tang氏はコンテンツ産業の連続起業家であり、教育コンテンツやショート動画コンテンツの制作企業を起業したことがある。

Real Hypeはコンテンツ制作において北米の専門会社と提携し、ハリウッド流の制作体制で企画、撮影、発信を行う。現在の業務の中心は中国語圏のショート動画プラットフォームでハリウッドスターを起用し、様々なマーケティングを行うことである。

ショート動画プラットフォームでのライブコマースは一般的な手法になったが、Real Hypeのようにハリウッドスターを起用し、しかも宣伝するブランドとスター間のつながりを見つけ、ストーリー性のあるマーケティングを展開できる企業は少なく、ブルーオーシャンの市場が広がっているといえる。またハリウッドスター関連のコンテンツは、「抖音（Douyin、海外版は「TikTok」）」やビリビリ動画が強化しようとしているコンテンツでもある。

Real Hypeにはすでに複数の成功事例がある。同社がマネジメントするハリウッドスターの一人に、「ミッション・インポッシブル」シリーズの出演歴もあるアジア系の女優マギー・Q氏がおり、同氏はヨガウェアブランドの「Qeep Up」を運営している。Real Hypeのマネジメントのもと、ソーシャルECの「小紅書（RED）」で同氏の公式アカウントを開設したところ、初日に人気ランキングのトップ7に食い込み、数週間で50万人のフォロワーを集めた。

また、Real Hypeは米国のシンガー・ソングライター、音楽プロデューサーのエイコン氏の中国でのマネジメントも手掛けている。エイコン氏はグラミー賞に5回ノミネートされ、作品の再生回数が100億近い人気アーティストだ。Real Hypeのマネジメントによって、同氏主催のラップ大会を抖音で開催する運びとなり、大会関連動画の再生回数は1.9億回に上った。

中国国内でのマーケティングのほか、Real Hypeは海外に進出する中国ブランドのマーケティング支援にも意欲的だ。

バイトダンスは今回、初めてMCN（マルチチャンネルネットワーク）のスタートアップに投資したことになる。傘下の抖音のコンテンツをハリウッドスターによってさらに充実させる狙いがあるためだろう。投資後の抖音は、Real Hypeがマネジメントするスターのコンテンツにトラフィックを誘導し、中国市場の特徴に沿ったコンテンツ制作のアドバイスを行う予定だ。

収益化については、Real Hypeでは広告料、ライブコマース、ブランドのインキュベーション、オフラインのアーティストイベントの開催など、多種多様な方法を検討している。

（翻訳・小六）

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