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サプライチェーンコラボレーション(SCC)プラットフォームを運営する「甄一科技(ZONE)」がシリーズAで7000万元(約14億円)を調達した。出資を主導したのは藍湖資本(BlueLake Capital)で、Redpoint Ventures China(紅点中国)、信公股份(INFAITH GROUP)、執一資本(Yi Capital)も参加し、毅仁資本(YIREN CAPITAL)が単独で財務アドバイザーを務めた。
これまでのサプライチェーンマネジメント(SCM、サプライチェーン管理)は企業間、あるいは企業内の職能組織間の協調を図るものだった。しかし、各社・各部署の性質や目標がそれぞれ異なるうえ、各社でIT環境が異なる、職能組織がそれぞれの業務で使用する専門的なソフトウェアがあるなどの理由でデータが分散したり、権限と責任が分断されたりしてきた。そのため企業間の協業では情報が不透明になったり、プロセスが統一されなかったり、協調性や効率が下がったりなどの問題も生じていた。サプライチェーンマネジメントの世界でもグローバル化が進み、これらの問題が企業の成長の阻害要因の一つになっている。
「サプライチェーンの完全デジタル化が目標とするのは、社内の各部署を効率的に協調させ、サプライチェーンに関わる外部企業とのさまざまなネットワークを協調させることだ。現在、企業で多く利用されているのは、社内の情報システムとサプライヤーリレーションシップマネジメント(SRM、サプライヤー関係管理)システムを組み合わせて部分的なシナリオに対応する方法だ。しかし、社内外にまたがるマネジメントの場合、専門人員を派遣して現場を視察させたり、サプライヤーや製造受託工場の生産現場に常駐させたりして業務の進捗や品質、コストの管理をさせたりするほか、業務上の変更事項に対応したり、トレーサビリティシステムを構築したり、業務システムやWORD・EXCELなどのドキュメント、Eメールやチャットツールなどを使って関係部署に定期報告を上げたりするなど、時間も労力もかかり、多くの人員を必要とする」。甄一科技の鄭翔天CEOはこう述べた。
甄一科技は中国の有名ITコンサル「漢得信息技術(HAND Enterprise Solutions)」の一部署から2020年に独立し、サプライチェーンコラボレーション(SCC、サプライチェーン関連業者の連携)を切り口としてサプライチェーンマネジメントにアプローチする企業だ。同社のコアプロダクトはサプライチェーンコラボレーションのSaaSプラットフォーム「一步雲」で、大手製造企業や大手ブランドなどの需要者、サプライヤーや製造受託工場などの供給者の双方と連携する。さまざまな機能のアプリケーションを提供するほか、甄一科技が独自に開発したコネクター「八爪魚」を使うと、需要者は供給者の業務システムに接続して生産計画の実行状況をリアルタイムで把握したり、納期や品質、コストなどを適時に管理・制御したりでき、需給双方が業務の各プロセスにおいて余分な労力の消耗や矛盾の発生を効率的に抑えられる。
甄一科技はさまざまなシナリオに応じて異なるソリューションを提供している。マスターデータ・複数社からの受注データ・受注工場の製造プロセス・発注企業からの提供材料・在庫・トレーサビリティ・サプライチェーンプランニング(SCP)・物流・帳簿合わせなどの協調管理のほか、チェンジマネジメント(組織変革の効率化)、統計分析、品質管理のフロントローディング(品質管理を設計・開発などの初期段階に前倒して徹底し、不具合修復などのコストを軽減すること)、異常検知・分析など、需給双方がさまざまな場面で共同で対処するソリューションだ。
優れた事業モデルだが、供給者の業務システムに接続するこの方法は、供給者側のデジタル化の度合いや協力姿勢に一層厳しい条件を求めることになり、これが協業の成果に直結する。甄一科技ではこの点を考慮し、供給者のITシステムの整備状況に応じて異なるレベルのソリューションを提供している。
親会社から独立してから2年で、甄一科技の提携企業は設備製造、リチウムイオン電池関連製品、3C製品(パソコン・通信機器・家電)、アパレル、セントラルキッチン(集中調理施設)などを手がける50社以上に上った。供給者側企業は1000社以上と提携している。
中国ではサプライチェーンコラボレーションが誕生して間もない。主なソリューションはサプライチェーンネジメントシステムを介したもので、IBM、SAP、金蝶国際(Kingdee)などの大手企業が提供している。もう一つのソリューションはサプライヤーリレーションシップマネジメントをベースに開発したものか、二次開発で部分的なシナリオに沿わせたもので、Eコマースのシステム構築を手がける「数商雲」、ビジネスインテリジェンスを手がける「簡道雲」、調達管理を支援する「企企通」などがこれに当たる。さらに需要者自身が既存のシステムを自社のニーズに合わせて二次開発するケースもあれば、ミドルウェアやローコード開発企業に依頼して完全カスタマイズで開発するケースもある。
このような競争構図にあって、甄一科技にとっては戦略が重要な鍵となる。
大手のサプライチェーンネジメントシステムには需要計画、生産計画、販売計画、物流計画、企業・サプライチェーン分析などが包括されており、納品までの全過程を網羅している。一方、甄一科技が手がけるサプライチェーンコラボレーションはサプライチェーンネジメントの一部分だ。需要者が供給者に対して社をまたいだ協調管理を行う点により集中し、社内のサプライチェーンシステムを損なわず、一層ピンポイントに機能するソリューションだ。
甄一科技の収益モデルは主にSaaSの定額利用料とサービス実施料で、定額利用料の客単価は10万元(約200万円)から30万元(約600万円)、サービス実施料は需要に応じて別途計算される。
(翻訳・山下にか)
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