36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
触覚センサーや人型ロボットなどの開発を手がける中国スタートアップ「帕西尼感知科技(PaXini Tech)」がこのほど、電気自動車大手の比亜迪(BYD)から1億元(約20億円)以上の出資を受けた。BYDは、人型ロボットユニコーンの智元機器人(AGIBOT)にも投資しており、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)への投資を強化している。
2021年6月に設立されたPaXiniは、精度の高い多軸触覚センサーを独自開発した中国屈指のテック企業で、創業メンバーには早稲田大学創造理工学部総合機械工学科・菅野研究室の出身者もいる。同社が開発した革新的な6軸ホールアレイ触覚センサーは、ロボットに人間並みの繊細な触覚を持たせることができる。
PaXiniは、ハードウエアパッケージからデータ収集、アルゴリズム統合、独自開発のVTLA(Vision-Tactile-Language-Action、視覚・触覚・言語・動作)AIモデルに至る幅広い技術体系を確立した。また、多軸触覚センサーやそれを搭載したロボットハンド、人型ロボットを製品として展開し、触覚センサー分野の技術的なパイオニアとして世界をリードするサプライヤーになった。
触覚センサーは、ロボットの検出能力を大きく向上させるカギになると言われており、中国では“克服すべき35コア技術”の1つに数えられている。
同社がコア技術とする6軸ホールアレイ触覚センサーは、複数の異なるアレイを検出に使う独自開発のアーキテクチャ(HAPTA、Hetero-Array Probing Tactile Architecture)を採用し、多軸触覚センサーや独自開発の触覚アルゴリズムを統合している。1秒当たり100万回という超高速で触覚情報をサンプリングし、6軸の力や材質、温度、反発力など15種類の情報を同時に捉えながら、0.01ニュートン(N)の微細な力まで検出する。この高い検出技術は、従来の触覚センサーが抱えていた多くの弱点を補うだけでなく、力や材質、温度、質感などの物理的特性を解析できる。
すでに寿命が300万回を超える産業用製品の量産化を実現し、出荷台数は現時点で世界最多を誇る。また、国内外の人型ロボットのトップメーカーに6軸ホールアレイ触覚センサーを供給しており、人型ロボット分野で触覚センサーの大規模導入を実現している唯一のサプライヤーとなっている。
代表的な製品の一つであるロボットハンド「DexH13」は、多軸触覚センサーとAIビジョンを組み合わせた世界初のエンドエフェクタ―で、4本の指が16(能動13、受動3)という高い自由度を有する。1台に1140個の多軸触覚センサーと800万画素のAIカメラが搭載され、多軸センサーによる力の検出とAIカメラを通じて細かく正確な動きを実現した。
両手に2000個を超える多軸触覚センサーを搭載した人型ロボット「TORA-ONE」は、全身の自由度が53で、身長を1.46~1.86メートルに調節でき、セキュリティや物流、スーパーマーケット、介護、精密機器組立などさまざまなシーンで、細かく複雑な作業のニーズに応える高い汎用性を持つ。
BYDは新エネルギー車分野におけるグローバルリーダーとして、自社事業のスマート化を進めており、PaXiniへの出資は、将来的な人型ロボットやエンボディドAIの活用を見据えた戦略的提携の一環とみられる。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録