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ライブコマースのDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)「直播眼(zhiboyan.net)」を運営する「北京維妥科技(v-data.cn、以下「維妥科技」)」が7月にエンジェルラウンドで1000万元(約1億5000万円)の資金調達を完了していたことがわかった。リードインベスターは「梅花創投(Plum Ventures)」。2019年4月の設立時にシードラウンドで数百万元(数千万円)を出資した「英諾天使基金(Innoangel Fund)」も今回、追加出資した。
現在、維妥科技は「直播眼」と「品播匯」の2種類のDMPを運営している。
■直播眼:
データ関連サービスでは、毎日インターネット全体において、16万を超えるライブ配信ルームや1000万近いSKUの商品などからデータを収集し、多次元のデータアルゴリズムモデルを構築することでユーザーグループを詳細に分析する。1ビッグデータによる高度な運営システムを構築し、運営・管理から広告、ライブ配信、受注までを一括管理、ライブコマース事業者の運営最適化をサポートする。
現時点では無料で利用でき、ユーザー数は既に2000を超えている。このうち法人800社以上、200社近くのライブ配信事業者が利用している。
■「品播匯(Brand Live)」:
多次元にわたるライブコマースのデータマイニングを通して顧客がライブコマースのアクセス状況、視聴者とのインタラクティブ状況、コンバージョン率などのデータをモニター及び分析することを助け、商品の価格帯やブランド力、販売傾向の把握をサポートをする。また、ライバー(配信者)と商品のスマートマッチングなどブランド効果を高めるライブコマース関連サービスを提供。顧客企業のROI(費用対効果)が70%改善した実例もあるという。
現状の利用状況については、EC運営企業の「宝尊(Baozun)」「碧橙(BC E-Commerce)」やECサイト向け総合サービス「楽其(Leqee)」、海外企業ではスイスの飲料メーカー「ネスレ」、衣料メーカー「リーバイス」、はちみつ関連商品を販売する日本の「HACCI」、オーストラリアの健康食品ブランド「Healthy Care(ヘルシーケア)」、日本の電気機器メーカー「オムロン」など数十社にサービスを提供しており、2020年には売上高1億元(約15億円)に達する見通し。
ライブコマース産業は、ここ2年のうちに急激な成長が始まった。大手ECモール「タオバオ(淘宝網)」傘下のライブ配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」では、2018年のGMV(流通総額)が1000億元(約1兆5000億円)を突破、今後3年間で5000億元(約7兆7000億円)を目標としているという。
だが急成長の裏で問題点も見えてきた。ライブコマースの情報は一方的で、コミュニケーションの面で効率的とはいえず、業界ルールも整備されていない。最近では、人気ライバーの言動が問題視され、業界の課題が明るみに出た。
「成長ボーナス期は終わりを迎え、求められる品質の水準はますます高くなる」と維妥科技創業者の朱起氏は言う。
そのため同社はデータの分析および管理の可視化を進め、ライブコマース関連事業者に対し、意思決定に必要なデータ情報を提供したいと考える。「データをより簡単に」を目標とし、ライブコマースのデータ化、商品管理の自動化、ビジネスのスマート開拓の実現を目指す。
ここで難しいのは、ECにはアクセス状況やコンバージョン率など数値化できるデータの項目が数多く存在することだ。一方、ライブコマースは、商品の選択やライバーの話術、ひいては照明の明るさが売れ行きに影響するなど、理性では分析できない項目も多数あり、これが可視化をさらに難しくしている。維妥科技は構造化・序列化されていないデータ、画像や言語データなどを処理するアルゴリズムを使ってあらゆる面からライブコマースの最適化をサポートする。
市場には複数のライブデータサービスが存在している。それはこの業界にペインポイントがあることを意味し、運営方針が異なったとしても各社が協力することによって業界の発展を後押しできると朱氏は考えている。今後は引き続き研究開発に資金を投じて直播眼プラットフォームを拡充。品播匯が経済的価値を生みだし、ユーザーの意思決定に必要なデータを蓄積するとともにアルゴリズムを最適化することが同社の強みとなるはずだ。
同社の創業メンバーは留学経験者、復旦大学系のテクニカルチーム、米国のデータ分析チームなどの出身者で構成され、アリババ、バイドゥ、レノボなどで重要な役職を経験している。(翻訳:貴美華)
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