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自然言語のプロンプトで人工知能(AI)にコードを生成させる開発手法「Vibe Coding(バイブコーディング)」は、米OpenAIの共同創業者アンドレイ・カルパシー氏が2025年初めに提唱し、多くのスタートアップが商機をつかもうとこの分野に殺到した。
なかでも、スウェーデンのユニコーン企業Lovable(ラバブル)が年間経常収益(ARR)1億ドル(約160億円)を達成して世界を驚かせたほか、中国では広東省深圳市のスタートアップ「深度賦智(DeepWisdom)」が急速に頭角を現している。
DeepWisdomは2025年2月、バイブコーディングツール「MetaGPT-X(MGX)」を発表し、広告費用を投じることなく初月にARR100万ドル(約1億6000万円)を達成した。同年9月時点でアクセス数は月間120万回、アプリ生成件数は1日当たり1万件を超え、中国で最大のユーザー数を誇るバイブコーディングツールとなった。
2025年前半に2度の資金調達を実施し、アント・グループ(螞蟻集団)やCathay Capital(凱輝基金)、錦秋基金(Jinqiu Capital)、百度風投(Baidu Ventures)などから計2億2000万元(約50億円)ほどを調達した。26年1月には次世代MGXをリリースし、ツールの名称も「Atoms」に変更。
ほとんどのAIコーディングツールは、簡易なウェブサイトしか構築できない「おもちゃ」のようだと揶揄されている。一方のAtomsは、エンジニアの役割にとどまらず、ビジネスの収益化を後押しすることも可能だ。ログインやデータベース、ユーザー認証、決済、検索エンジン最適化(SEO)などの機能を備え、収益につながるウェブサイトを自然言語のプロンプトによって最低5分でも構築できる。
Atomsは、標準作業手順書(SOP)のようなマルチエージェントシステムを搭載し、自動的にタスクを7種類のAIエージェントに割り振り、連携させながら作業を進める。エージェントは、情報を収集する調査担当、仕様書を書くプロダクトマネージャー、技術プランを設計するアーキテクト、ウェブサイトを作るエンジニア、データ収集・分析のクローラー、検索エンジン最適化のSEO担当、米Stripeなどの決済プラットフォームを統合する決済担当の7種類で、ビジネスのアイデアを収益化するまでの全プロセスを網羅している。
さらに、製品開発に関する「ディープリサーチ」を実行する調査エージェント「Iris」も開発した。ユーザーの調査テーマに基づき、サマリー、音声、データ、図表、ソーシャルメディアコンテンツ、アプリなどの形で調査レポートを生成する。その調査能力はGoogleやOpenAIなどのAIモデルを上回っているという。
特に注目すべきは、同社は「DeepSeek」や「Qwen」などオープンソースのAIモデルを組み合わせ、「Lovable」「Replit」といった競合ツールをはるかに上回るコストパフォーマンスを実現。創業者の呉承霖氏によると、Atomsは競合ツールの2割のコストで、1.45倍のパフォーマンスを発揮するという。
AI業界でスタッフが1~10人ほどの少人数スタートアップがもてはやされる中、DeepWisdomのスタッフは100人近くに上る。呉氏は「AIの開発が進めば業界内の競争はさらに激化する」と考えており、効率を高めるにはスタッフを減らすのではなく、コミュニケーションの無駄を省くべきだと強調した。
DeepWisdomはこの考えに基づき、15人に満たないジェネラリストで構成されるチーム「ROOT」を実験的に立ち上げた。各メンバーは特定の職務を持たずにフロントエンドからアルゴリズム、テストまでの開発工程全般をカバーする。
また、グローバル競争に対応するため、米シリコンバレーに海外オフィスを設け、世界中から優秀な人材を呼び込んでいる。呉氏は、今後のAI企業間の競争について、人的リソースの効率的な活用がポイントになるとの見方を示した。
*1元=約22円、1ドル=約155円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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