WaytoAGI東京サミット開催、BytePlus・MiniMax・Rokidらが示したAI実装の現在地
世界で約900万人のメンバーを擁するアジア最大級のAIコミュニティ「WaytoAGI」は4月8日、東京都内でグローバルAIカンファレンス「AGI HORIZON: Tokyo 2026」を開催した。
会場には、日本と中国をはじめ世界各地からAI開発の最前線で活躍するスタートアップの創業者や投資家、クリエイターらが集結。生成AIが研究段階から社会実装のフェーズへと急速に移行するなか、AGI(人工汎用知能)時代とどのように向き合うべきかをテーマに議論が交わされた。
WaytoAGIは2025年に桜美林大学で初開催し、1000人を超える来場者を集め大きな反響を呼んだ。2026年は会場を歴史的名園・八芳園へと移し、登壇企業や展示内容、ネットワーキング機会のいずれも拡充された形での開催となった。

人型ロボット(ヒューマノイド)「Galbot」が会場で来場者を出迎えた
BytePlus——画像・動画生成AIの日本展開を加速
ByteDanceグループの法人向け技術ソリューション事業を担う「BytePlus」が登壇した。同社はグループの先端テクノロジーをSaaS・PaaS・SDKの形で外部企業に提供している。今回は世界的ベンチマークでトップクラスの評価を受ける画像生成AI「Seedream」や動画生成AI「Seedance」などのAIプロダクトについて、日本市場への展開を加速していることを紹介した。
SNSマーケティングの普及により、企業は大量のビジュアルコンテンツを短期間で制作する必要に迫られている。一方で制作コストの上昇やクリエイター人材不足は深刻な課題となっている。こうした背景のもと、SeedreamおよびSeedanceは、日本企業のクリエイティブ生産性と競争力の向上に貢献するソリューションとして注目を集めた。

BytePlus Japan事業責任者、竹内彰氏
PixVerse——日本はすでに上位5カ国入り
世界最大級の動画生成プラットフォームの一つである「PixVerse」も出展した。大規模なローカライズやマーケティング展開を行っていないにもかかわらず、日本はすでにユーザー数上位5カ国に入っているという。同社は今後、個人利用にとどまらず法人需要の拡大という観点からも、日本を重要な戦略市場の一つと位置づけている。

世界最大級の動画生成プラットフォーム「PixVerse」
米OpenAIが動画生成AI「Sora」の提供終了を発表し業界に衝撃が広がるなか、PixVerseをはじめとする中国発プラットフォームの存在感が一段と高まっている。データ安全性への関心が高まる日本市場に対応すべく、BytePlusとPixVerseはいずれもシンガポールを拠点にグローバル展開を進めながら、日本法人の設立や現地パートナーとの連携を強化させている点も注目される。
MiniMax——日本語音声生成技術でも存在感

テキスト・音声・動画を横断するマルチモーダルAIの旗手として注目を集めるMiniMax。圧倒的なコストパフォーマンスを誇る最新モデル「MiniMax M2.5」や、AIキャラクターとのチャットアプリ「Talkie(トーキー)」などを相次いでリリースした。日本市場でも同社サービスの利用が広がり始めている。

MiniMax グローバル事業責任者、Cherie Shi氏
なかでも、音声生成分野における高品質な合成技術「MiniMax Audio」の存在感が特に高い。自然な日本語テキスト読み上げ(TTS)や、短時間の音声データから本人そっくりの声を再現するボイスクローニング技術に定評があり、ゲームのキャラクターボイス制作、eラーニング教材、動画の吹き替え、マーケティング用途の動画制作など幅広い分野での活用が期待されている。
MeDo——ノーコードでアプリ開発を民主化
百度(Baidu)の大規模言語モデル「ERNIE」をベースに開発されたノーコード型アプリ生成プラットフォーム「MeDo」は、生成AIによる「開発の民主化」を象徴する事例として来場者の関心を集めた。

ノーコード型アプリ生成プラットフォーム「MeDo」
同プラットフォームは、文章入力やドラッグ&ドロップ操作だけでフルスタックのアプリやWebサイトを生成できるのが特徴だ。専門的なプログラミング知識を必要とせず、スモールビジネスや個人開発者でも低コストでサービス開発を実現できる可能性を示した。
Rokid——AIグラスがクラファンで3億円超
今回の出展企業の中でも特に脚光を浴びたのが、AIグラスを展開する「Rokid」だ。

「Rokid AI Glasses」で日本上陸
同社は日本では現地代理店と連携し、主力製品「Rokid AI Glasses」の販売を進めている。クラウドファンディングサイト「Makuake」では2月26日に支援募集を開始し、4月8日時点で支援額はすでに3億2500万円を突破した。
Rokid AI Glassesは議事録作成・翻訳・メモの効率化といったビジネス用途に加え、AI対話やスケジュール確認、ハンズフリー撮影など日常利用にも対応。エンターテインメント用途が中心だった従来のスマートグラスとの差別化を図り、「常時装着できる生産性向上ツール」として訴求している。
生成AIの普及が社会や企業組織にもたらす変化

生成AI技術でエンタメの革新に取り組む「AiHUB」が登壇し、日本発AI活用の可能性を紹介した
今回の共催者の一社であるAsu Capital Partnersの共同創業者・李路程(Luke)氏は、生成AIの普及が社会や企業組織にもたらす変化について、次のように述べている。
「生成AIの導入は、ワークフローの効率と質を飛躍的に向上させる。この普及の波は、今後さらに加速していくことは間違いない」

Asu Capital Partners代表、李路成氏
また、技術動向にとどまらず、組織のあり方についても「これまで3~4階層に分かれていた従来の組織構造は、AIの活用によって、よりシンプルでフラットな形態へと再編されていくはずだ」と、その構造的な変化を指摘しました。
同社は「Japan to Global」を掲げ、プレシード・シード期のスタートアップを中心に、日本発の起業家がグローバル市場へ挑戦するための資金、ネットワーク、人材、戦略支援を提供している。2023年の設立以来、日本と米国のスタートアップを中心に18社へ投資している。
さらなる波及効果を目指す

大規模言語モデル(LLM)の登場を契機に、AI開発の現場ではオープンソース化の流れが一段と加速している。そうした潮流の中で、WaytoAGIは創設当初から一貫して、知識や研究成果、実践知の共有を軸としたコミュニティ形成に取り組んできた。
WaytoAGI創設者のAJ氏は、オープンソースの価値について次のように話した。
「オープンソースは単なるデータ公開に留まらない。国境を越えて人々が学び合い、アイデアを出し合い、課題をともに解決していく。そのプロセスこそが本質だ。開発者にとっても、自らの成果を発信し評価される重要な場になるだろう」
さらにAJ氏は、日本がアジアの技術・文化両面で大きな影響力を持っている点に触れ、「東京を起点として、アジア全体にポジティブな連鎖反応が広がることを期待している」と述べた。今回の東京開催を通じて、世界各国のAI開発者・企業・クリエイターの交流をさらに活性化し、グローバルなAIコミュニティとしての存在感を一段と高めていく考えだ。
(36Kr Japan編集部)