中国「Zhipu AI」、API価格10%引き上げも株価上昇 狙うは米アンソロピックの背中 

中国の大規模言語モデル(LLM)開発企業、智譜(Zhipu AI)は4月8日、最新フラッグシップモデル「GLM-5.1」を発表すると同時に、顧客企業が自社のアプリやシステムに組み込めるAPIの価格を10%引き上げた。今回の値上げにより、同社モデルのコーディング用途における価格帯は、米Anthropic(アンソロピック)の高性能モデル「Claude Sonnet 4.6」に匹敵する水準となった。市場はこのニュースを好感し、株価は3日連続で上昇し、4月10日時点の終値ベースで時価総額は約4173億香港ドル(約8兆4767億円円)に達した。

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今回の値上げは、戦略転換を象徴する動きとして受け止められている。これまで多くの中国国産AIモデルは「低価格」を武器としてきた。智譜の張鵬CEO自身も、かつて「AnthropicのClaudeが200ドル(約3万20000円)で売れるなら、我々は200人民元(約4600円)で売る」と語るなど、低価格戦略を前面に打ち出してきた。

しかし現在は、世界トップクラスの基盤モデルを中核に据え、企業向けAPIを主な収益源とするビジネスモデルへと軸足を移しつつある。これは、アンソロピックに近いポジショニングへの転換を示唆するものだ。

張氏は先日の決算説明会で、AnthropicのARR(年間経常収益)が2024年の10億ドル(約1590億円)から2025年には90億ドル(1兆4000億円)へと急拡大したことに言及し、同様の成長軌道が智譜にも生まれつつあるとの認識を示した。4月6日、アンソロピックは自社ARRが300億ドル(4兆8000億円)を超えたと発表している。

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API事業急伸で増収、一方で巨額損失続く

智譜は3月31日、上場後初となる通期決算を公表した。2025年の売上高は前年比131.9%増の7億2400万元(約170億円)となり、3年連続で倍増を達成した。なかでもAPI事業は前年比292.6%増と急拡大し、成長の主軸となっている。MaaS(Model as a Service)プラットフォームのARRは約17億元(約400億円)に達し、前年比約60倍に拡大した。登録企業ユーザーと開発者は合計400万人規模に達した。

一方で赤字も拡大の一途をたどる。2025年の純損失は前年比59.5%拡大し、47億1800万元(約1100億円)となった。粗利益率も前年の56.3%から41.0%へと低下し、研究開発費は31億8000万元(740億円)に上った。売上高の伸びが研究開発投資の膨張に追いつかない構図が続いている。

世界水準の性能維持も、激化する国内勢との開発競争

張CEOは、GLM-4.5からGLM-5に至る矢継ぎ早のモデル更新により、国際的な主要評価指標において同社モデルが世界トップクラスの水準を維持していると強調する。

しかし競争環境は依然として厳しい。中国国内では有力企業のバイトダンス(ByteDance)、アリババ(Alibaba)、ディープシーク(DeepSeek)などが相次いで新型モデルの開発を加速しているほか、コンシューマー市場では米国に比べAIに対する課金意欲が弱い傾向も指摘されている。

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こうした状況に対し、智譜は強みを持つコーディングのほか自律的にタスクを修正、実行するAgentic AI(エージェンティックAI)に集中投資してモデルの優位性を維持し、400万の既存ユーザー基盤を活かして参入障壁を高める方針を示した。

継続的な研究開発投資を維持しながら、いつ黒字化を実現できるか。智譜にとって今後の最大の焦点は、成長戦略と収益モデルの両立にあると言えそうだ。

*1元=約23円、1ドル=約159円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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