「光るスマホ」Nothingが東京上陸ーー年内に直営店、世界3店舗目
光る透明スマートフォンで知られる英デジタル機器メーカー「Nothing Technology」は、4月15日の新製品発表会で、東京への直営店出店計画を明らかにした。発表を行った日本法人「Nothing Technology Japan」のマネージングディレクターを務める黒住吉郎氏は「今年中の開業を目指して計画を進めている」と明言した。実現すれば、ロンドン、バンガロールに次ぐ世界で3店舗目の直営旗艦店となる。英国や米国、ドイツなどと並び、インドに次ぐ主要市場のグループとして急成長する日本において、オンラインやキャリア流通だけでは届かない製品の体験の場を設けることで、認知度向上の突破口を開く狙いだ。
Nothingを語る上で避けて通れないのが、その複雑なアイデンティティだ。ロンドンに本社を置く英国法人だが、創業者のCEO カール・ペイ氏(Carl Pei、中国名:裴宇)は北京生まれのスウェーデン国籍を持つ中国系企業家である。
ペイ氏は2013年にOPPO傘下のスマートフォンブランド「OnePlus(一加)」を深圳で共同創業し、グローバル展開を主導した人物だ。その後、2020年にOnePlusを離れ、翌2021年にNothingを設立した。Nothingは、光と透明な材料を使うデザインは日本文化からも影響を受けているとしており、日本市場でのフィードバックを重視する姿勢を示している。
販売拠点を超えて——東京店が担う役割

Phone (4a) Pro——(a)シリーズ初のメタルボディ
黒住氏は発表後のブリーフィングで、直営店の意義をこう語った。
「楽天モバイルやKDDIとのパートナーシップによって、流通の基盤は整ってきた。次のステップはブランド認知の拡大で、直営店はその中核になる」
想定されるのは、Nothingのブランド体験をそのまま体感できる独立型の路面店だ。製品を手に取るだけでなく、透明なデザイン哲学、独自のAI体験、コミュニティとの接点を丸ごと体験できる空間を構想している。学生やクリエイターを対象にしたワークショップの開催拠点としても活用する方針で、「東京以外の地方都市への展開も視野に入れている」という。
具体的な開業時期や場所は「変わる可能性もあり、精度が高まってから改めて発表する」として明言を避けたが、黒住氏は「日本のユーザーはNothingのデザイン哲学を深く理解してくれる。直営店はそのコミュニティをさらに育てる場になる」と期待感を示した。
直営店は単なる販売拠点ではなく、ブランドとユーザーが直接向き合う「体験装置」として位置づける方向だ。日本市場を販売チャネルの一つとして扱うのではなく、ロンドン・バンガロールと並ぶブランド構築の主戦場として本格的に投資する姿勢を、今回の発表は鮮明にした。

Phone (4a)は、ホワイト、ブラック、ブルー、ピンクの4色展開
Phone (4a) Pro——(a)シリーズ初のメタルボディ、楽天モバイル独占で登場
新製品の柱となる「Phone (4a) Pro」は、(a)シリーズとして初めてアルミニウム製メタルボディを採用した。航空機グレードのアルミ素材を使用しながら、カメラ周辺部に3D成形の透明パーツを組み合わせることで、メタルとシースルーを両立させた。黒住氏は「シースルーとメタルをどう共存させるかが課題だった。かなり綺麗な仕上がりを実現できた」と語った。
本体の厚さは7.95mm。メタル素材が冷却ユニットとしても機能し、高負荷時の安定性も確保した。光る部分は137本のLEDを備えた「グリフマトリックス」へと進化し、サイズは従来比57%拡大、輝度は2倍となった。防水はIP65対応。
カラーはシルバー、ブラック、ピンクの3色。価格は12GB+256GBで7万9800円(税込)。国内では楽天モバイルが唯一のキャリアとして取り扱い、4月15日から予約、4月22日より販売を開始する。
Phone (4a)——ソニー製センサー搭載の本格カメラ、KDDIで全国展開
「Phone (4a)」はシースルーデザインを継承しながら、カメラを大幅に強化した。ソニー製50メガピクセルメインカメラ(光学手ブレ補正付き)に加え、50メガピクセルペリスコープカメラも搭載し、最大70倍デジタルズームに対応。AIカメラソフトウエア「TrueLens 4.0」によるマルチフレームRAW処理とAI消しゴム機能も備える。
ディスプレイは6.77インチで最大輝度4500ニト。急速充電は30分で1日分をカバーし、3年使用後もバッテリー容量90%以上を維持するとしている。
ホワイト、ブラック、ブルー、ピンクの4色展開。価格は8GB+128GBが5万8800円、8GB+256GBが6万4800円(いずれも税込)。KDDI・沖縄セルラー電話が「au Flex Style」として全国のKDDI直営店・au StyleおよびオンラインSHOPで取り扱い、5月8日午前10時より販売を開始する。
両モデルともFeliCa(おサイフケータイ)およびeSIMに対応し、日本市場を重視する姿勢を示している。
特定プラットフォームに縛られないAI選択肢

マネージングディレクター黒住氏
両機種にはAIプラットフォーム「Essential AI」も搭載された。本体左側の「エッセンシャルキー」でアイデアや音声・写真を即座にキャプチャーし、要約・アクションプラン・リマインダーを自動生成する。自然言語だけでスマートフォンアプリを作成できる「エッセンシャルアプリ」機能も導入しており、Google Geminiをシステム全体に統合しながらも、特定プラットフォームに縛られないオープンなAI選択の姿勢を打ち出している。
サプライチェーンに逆風——メモリ高騰で値上げも排除せず

東京の直営店が実現すれば、ロンドン、バンガロールに次ぐ世界で3店舗目の直営旗艦店となる
発表後のブリーフィングでは厳しい調達環境も率直に語られた。「メモリの調達コストは上昇しており、製品価格全体に影響するレベル」とし、AI需要急拡大による需給逼迫と地政学リスクに伴う輸送コスト上昇が重なる現状を「コロナ禍に近い混乱状態」と表現した。値上げについては「吸収しきれない変化点が出てくれば、あり得る」と述べるにとどめた。
販売・製品ラインアップの拡充と直営店の整備を同時に進めるNothingが、日本市場でどこまでブランドを育てられるか、Nothingが描く次のフェーズが、いよいよ動き出す。
(36Kr Japan編集部)