アリババ、最上位AIモデル「Qwen3.8-Max」を発表。16日間自律開発でDeepseekら追撃
中国アリババ集団傘下のアリババクラウドは8月3日、同社のAIモデル「Qwen」シリーズで最高性能の旗艦モデル「Qwen3.8-Max」を発表した。
同モデルは、2兆4000億という膨大なパラメーター数と、最大100万トークンのコンテキストウィンドウに対応し、コーディングや長時間の複雑なタスク、マルチモーダル処理において高いパフォーマンスを示している。同社によると、第三者ベンチマークのText Arenaで5位、Vision Arenaで2位にランクインしている。

Qwen3.8-Maxは、スパースMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャとハイブリッド・アテンション・メカニズムを採用。総パラメーター数は2兆4000億に達するものの、推論時に実際に活性化するパラメーターを約950億に抑えることで、計算コストと遅延の削減を両立させた。
高度な自律型エージェント能力を持ち、内部テストでは16日間にわたり自律的にコード生成・テスト・ログ分析を繰り返し、オープンソースのエージェントフレームワークを構築。数百ページの文書や長時間の映像を検索可能な知識ベースへと即座に変換する視覚インテリジェンスも備える。
中国ではAIモデルの開発競争が激化し、アリババのほか、DeepSeek(DeepSeek-V4)、Moonshot AI(Kimi K3)、バイトダンス(豆包)、テンセント、智譜AIらが性能・コスト・特定領域への特化を武器に新モデルを相次ぎリリースしている。
アリババによるQwen3.8-Maxの投入は、自社クラウドやEC基盤との強力なエコシステム連携を背景に、中国AI市場での主導権をさらに確固たるものにする狙いがあるとみられる。
(文:浦上早苗)
経済ジャーナリスト、法政大学IM研究科兼任教員。福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。X: sanadi37