中国車「460万円で売って利益7万円」の現実、次に試される「合弁ブランド」

中国は世界最大の自動車市場の地位を維持しているが、自動車メーカーの収益環境は一段と厳しさを増している。

中国乗用車協会(CPCA)によると、2026年1〜5月の中国自動車業界の利益は総額1440億元(約3兆3000億円)で、利益率はわずか3.4%にとどまり、完成車メーカーに限ると1.5%まで低下した。販売台数の伸びが鈍化し価格競争が長期化するのに加え、電動化・スマート化に伴う投資負担が増すなかで、多くの上場自動車メーカーが26年4〜6月期に黒字から赤字へ転落した。

「20万元(約460万円)の車を1台販売しても、メーカーに残る利益はたった3000元(約7万円)だ」。乗聯会の崔東樹事務局長が中国の経済紙「毎日経済新聞」に語ったこの一言が、中国自動車産業の現状を端的に表している。

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利益はなぜ急落したのか?

2026年1〜6月(上半期)に自動車メーカーの利益が大幅に減少したことについて崔氏は、サプライチェーン上流のコスト上昇、価格競争の長期化、新エネルギー化に伴う多額の投資という3つの要因が重なった結果だと分析している。その中でも、最も大きな要因はコスト上昇だと指摘した。

年初は、それまでに獲得した受注に支えられて利益を確保していた企業もあったが、4〜6月期に入ると在庫が増加し、各ブランドは販促を一段と強化した。一方で、上昇を続けるサプライチェーンコストを販売価格に転嫁できず、利益は急速に減少した。

足元で繰り広げられている価格競争にも明確な二極化が見られる。

在庫過剰と需要低迷を背景に、ガソリン車の値下げ競争が最も激しくなっている。2026年上半期には、ガソリン車の値下げ幅は平均14.9%に達した。一部の海外メーカーとの合弁ブランドでは、旧モデルで20%を超える値引きも実施された。それに対し、新エネルギー車の値下げ幅は約12%だった。低価格帯の純電気自動車(BEV)で価格競争が激化する一方、製品力やスマート性能の高い中高価格帯モデルは価格水準を維持できている。

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同氏は、上半期の業界では「ほぼ勝者のない価格競争」が繰り広げられ、こうした競争のあり方はもはや長続きしないと指摘する。

業界の利益率がすでに適正水準を下回っていることに加え、過当競争につながる過剰な価格戦への規制も強化されているため、企業も際限のない値下げを続けるのは難しくなっている。

価格競争の終焉が近づく

業界の利益率低下と、過当競争の是正に向けた政策により、下半期には価格競争が大幅に沈静化すると崔氏は予測する。

ただし、価格競争が落ち着いたからといって、自動車の価格が全面的に回復するわけではない。旧モデルの在庫や低価格モデルでは、値引きによる在庫処分が続く見通しだ。一方で、競争の軸は「値下げ幅の大きさ」から「コスト管理や技術力」へと徐々に移っていくとみられる。

自動車メーカーが利益を回復させる鍵は、値上げではなく継続的なコスト削減にある。

崔氏は、今後、自動車メーカーは製品ラインアップをさらに絞り込み、似通った車種を整理するとともに、部品の自社開発やプラットフォームの共通化、サプライチェーンの統合を進めていくとみている。大手メーカーでは、規模の拡大と共通プラットフォームの開発によって、車両1台当たりのコストを8000元〜1万2000元(約18万〜28万円)削減できる可能性があり、収益改善に向けた最も現実的な道筋になるという。

そのため、中国の自動車市場では下半期も厳しい競争が続くものの、これまでの「低価格でシェア拡大」の戦い方から、技術革新や製品そのものの価値、サプライチェーン効率で競う方向へと徐々に移っていくとみられる。

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海外メーカーとの合弁ブランドが最大の試練へ

価格競争以上に深刻なのが、中国自動車業界で進む市場構造の再編だ。

2026年6月時点で、中国では新エネルギー車の普及率が62.8%に達した一方、ガソリン車の販売台数は前年同期比で約40%減少した。市場の主役が新エネルギー車へ移るなか、ガソリン車を収益の柱としてきた海外メーカーとの合弁ブランドは、一段と厳しい局面を迎えている。

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現在、合弁ブランドの新エネルギー車の普及率は11.9%にとどまり、市場シェアも25%を下回っている。崔氏は、合弁ブランドが巻き返しを図るには、3つの改革が必要だと指摘する。

第一に、スマート化を加速させ、スマートコックピットや運転支援システムで中国メーカーとの差を縮めること。

第二に、競争力の高いプラグインハイブリッド車(PHEV)やBEVの投入を進め、新エネルギー車のラインアップを強化すること。

第三に、MPVや大型SUVなど合弁ブランドが強みを持つ分野に特化し、ボリュームゾーンの10万〜20万元(約230万〜460万円)クラスで中国メーカーとの正面対決を避けることだ。

合弁ブランドがあくまでガソリン車にこだわるなら、中国メーカーからさらにシェアを奪われる可能性があるという。

海外展開は必須だが、「逃げ道」ではない

国内市場での競争が激化するなか、中国の自動車メーカーは海外展開を本格化させている。ただし崔氏は、海外進出は中国メーカーにとって「避けて通れない選択」ではあるものの、国内の競争から逃れる「唯一の道」ではないと指摘する。

海外市場は新たな販売機会を生み出し、収益拡大にもつながる一方、企業の長期的な競争力を左右するのは、国内で培ってきた開発スキルや製品力だ。国内の価格競争を回避するためだけに海外進出するなら、本当の競争力は身につかない。

また海外事業の軸足が完成車の輸出から現地生産・現地販売へと移行しつつあるのに伴い、競争のあり方も変わり始めている。今後は製品価格だけでなく、現地のサプライチェーンや開発スキル、ブランド力、アフターサービス体制といった総合力が問われるようになる。

崔氏は、中国メーカーは国内の過度な価格競争を海外市場に持ち込むのではなく、現地での生産や研究開発、ブランド運営を通じて付加価値を高め、長期的な収益確保を目指すべきだと指摘した。

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*1元=23円で計算しています。

(翻訳・HU XIN、編集・畠中裕子)

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