CATLのナトリウムイオン電池、提携する蓄電プロジェクトは計70GWh規模に

蓄電分野でナトリウムイオン電池の採用が加速している。ドイツの蓄電システムインテグレーター・Intilionはこのほど、中国電池大手「寧徳時代(CATL)」との提携を強化すると発表した。向こう5年間にドイツ、オーストリア、スイスでナトリウムイオン電池を使った蓄電プロジェクトを進めるとし、規模は容量にして最大3ギガワット時(GWh)を目指す。これを含め、CATLが2026年に入って提携を公表したナトリウムイオン電池蓄電プロジェクト4件の規模は、合わせて最大70GWhに上る。

華西証券(Huaxia Securities)は、2025年の世界のナトリウムイオン電池出荷量が約9GWhだったとの試算を示した。CATLが公表した提携プロジェクトの規模はこの7倍以上になる。ただし、提携プロジェクトは枠組み協定や目標規模を設定した段階のものが多く、すべての受注が決まったわけではない。

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中国国内の大量受注をベースに、欧州で提携企業と市場開拓

70GWhの大部分は、中国国内での提携プロジェクトが占めている。2026年4月には、蓄電ソリューションの海博思創(Hyper Strong)と、3年間で容量60GWh相当のナトリウムイオン電池を受注する戦略的提携を結んだと発表した。両社は共同で技術開発や製品の活用、プロジェクトなどを進める。

一方、欧州市場では複数の企業と提携して事業を展開している。2026年7月に、エネルギーインフラを手がけるオランダのAlfenと規模5GWhに上るナトリウムイオン電池蓄電システムの構築で提携すると発表した。さらに、再生可能エネルギーのSolarproとは東欧市場向け2GWh蓄電ソリューションの開発をめぐり契約を結んだ。Intilionと目指す最大3GWhを加えると、欧州市場での提携プロジェクトの規模は合わせて最大10GWhに達する。

現地でのプロジェクト開発やシステム統合、運用・保守の実績がある企業との提携は、CATLにとって欧州でのノウハウ蓄積や、現地仕様の製品改良、新技術の導入につながる。

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価格以外にもメリット

まず、ナトリウムイオン電池には原材料を調達しやすいというメリットがある。ナトリウムは広範囲に存在する豊富な資源で、採用すればリチウム資源への依存やリチウム価格の変動による影響を抑えられる。Alfenはナトリウムイオン電池を扱うことで、電池材料の拡充や蓄電向け製品のコスト削減に加え、欧州市場のプロジェクト入札での競争力向上につながるとしている。

しかし、原材料が豊富だからといって、現時点ではナトリウムイオン電池が必ずしもリチウムイオン電池より安価になるとは限らない。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が2025年11月に発表したリポートでは、リチウム価格が下落しているため、長期的に見てナトリウムイオン電池が、リチウムイオン電池よりもさらに安価になるかは不透明との見方が示されている。一方で一部のメーカーは、生産量が増えればナトリウムイオン電池セルの生産コストが1キロワット時(kWh)あたり40ドル(約6300円)前後にまで下がると予測している。もっとも、実際のコストは材料やエネルギー密度、製造技術、生産量、リチウム価格により変わってくる。

また、ナトリウムイオン電池は一般的にエネルギー密度が低いため、同じ量を蓄電するには他の電池よりも重く大型になる。電気自動車(EV)には軽さと航続距離が求められるが、定置型蓄電システムは重さをそれほど気にする必要が無いため、ナトリウムイオン電池の用途を広げる大きな突破口となりそうだ。ただし、蓄電所についても敷地面積や設備、建設コストを計算に含め、最終的なシステム全体の収益性で比較する必要がある。

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重視されるのはライフサイクルコスト

運営が長期にわたる蓄電プロジェクトでは、電池の調達価格はコストの一部に過ぎない。サイクル寿命や充放電効率、熱管理に伴うエネルギー消費量、メンテナンスの頻度も実際のコストに影響を及ぼす。Intilionによると、同社が採用しているナトリウムイオン電池の充放電効率は96.5%を超え、低温環境での容量維持率は90%以上だという。

CATLが2026年6月にリリースしたナトリウムイオン電池蓄電システム「天恒」は、幅広い温度範囲に対応し、サイクル寿命に優れていることがセールスポイントだ。同社によると、このシステムはサイクル寿命が摂氏25度で1万5000回以上、45度の高温下でも1万回超で、容量維持率はマイナス20度の環境で92%を超える。また、モジュール設計の採用によりさまざまな容量に対応できるうえ、故障したモジュールの切り離しや交換も可能だ。

こうした特長は、寒冷地や高頻度の充放電を伴う用途にナトリウムイオン電池を導入するうえで、大きな足がかりとなる。しかし、提携の段階から本格的な実用化を実現するには、具体的なプロジェクトや継続的な製品開発、長期間の使用データによる検証がなお必要だろう。

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*1ドル=約157円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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