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「サービス型プラットフォーム」化は大手企業にとっても重要な課題だ。テンセント(騰訊)の資産運用プラットフォーム「理財通(Licaitong)」は、ローンチから6年が経過し、「取引型プラットフォーム」から「サービス型プラットフォーム」へ転換しつつある。そこで、同社は今後の方向性について2つの分野に焦点を絞った。1つ目は投資家のトレーニングと育成、2つ目はアセットアロケーションと投資顧問サービスだ。
このような方向転換は、先ごろテンセントが取得した基金投資顧問許可証に関係している。
2019年10月、中国証券監督管理委員会(証監会、CRSC)は「証券投資基金投資顧問業の公開募集の試験実施に関する通知」を公示し、基金による投資顧問業務が試行されることとなった。「華夏基金(China Asset Management)」の子会社「華夏財富(China Wealth Management)」、「嘉実基金(Harvest Fund)」の子会社「嘉実財富(Harvest Wealth)」、「南方基金(Southern Asset Management)」など5つの基金が第1弾の対象機関となった。12月には第2弾の対象機関が公開され、その中にはテンセントグループの「騰安基金」、アリババ傘下の「アントファンド(螞蟻基金)」および「珠海盈米基金(Yingmi)」が含まれる。騰安基金はテンセントグループの100%出資子会社で、前述の理財通でファンドの販売を行っている。
理財通によると、投資者のトレーニングと育成については、資産運用に特化したナレッジデータベースやライブ配信などの投資に関するコンテンツを提供し、投資プラットフォームの機能、投資手法、市場分析などに焦点を当てた投資方針をユーザーが決定できるようにサポートする。同時にテンセント大学資産運用セミナー「理財通大講堂」など系統立てた投資家トレーニングプランも展開していく。アセットアロケーションと投資顧問サービスについては、ビックデータ、AIなどのフィンテックやそれらを利用したリスクマネジメント技術を活用し、顧客のために優良なファンド製品を選択してアセットアロケーションを行い、ポートフォリオのモニタリング、自動調整などのサービスを提供し、顧客の長期的な収益増をサポートし、買い手側の仲介者としての高付加価値を生み出していく。
理財通がモデルチェンジを行うためには基金投資顧問許可証取得は必要な条件ではあったが、それ以上に、膨大なユーザー数と管理する資金規模がモデルチェンジを可能にするベースとなった。
理財通は2014年1月、WeChat Pay(微信支付)がローンチした金融サービスだ。紅包(ラッキーマネー)などの目新しい機能とコミュニケーションプラットフォームとしての優位性によって、WeChatはオンライン決済市場でのシェアを急速に拡大し、パソコン時代には決済業務の圧倒的勝者であったアリペイ(支付宝)に初めて競争のプレッシャーをかける存在になった。決済能力の拡大に伴い、アリペイと同様にWeChatユーザーにも資産運用のニーズが生まれ、それによって理財通も急速にユーザー数と保有資産を増加させたのである。
3月19日に発表されたばかりの2019年のテンセントの決算報告によると、理財通を含むフィンテックおよび企業向けサービスの売上高の伸びは、各業務の中で最も速く、前年比39%増の1014億元(約1兆5000億円)となった。また、理財通の資金保有額は前年比150%を超え、ユーザー数は前年比2倍を超えたことが明らかになっている。
2018年の決算報告の際、理財通の資金保有額は6000億元(約9兆2000億円)、ユーザー数は1億人を突破していた。さらに2019年第3四半期には資金保有額が8000億元(約12兆円)に達し、これによって現在の資金保有額はすでに1兆元(約15兆円)規模となり、ユーザー数は2億人を超えたと推測される。
しかし依然として、アリババ系の「アント・フィナンシャル」とは差が開いている。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、2018年5月当時のアントフィナンシャルの保有資金額は、すでに2兆2000億元(約33兆円)に達していた。先日、アントフィナンシャルの胡暁明CEOが、アリペイは「デジタルライフサービスプラットフォーム」にアップグレードすると発表したばかりだが、金融サービスもその一部に含まれる。
現在の形勢から見ると、テンセントグループで決済業務と資産管理業務の売上シェアが増加するにつれ、テンセントクラウド(騰訊雲)の売上が企業向けサービスとして個別に集計されているように、フィンテックも同様の扱いになる可能性が高い。その時にはフィンテックにおけるアリババとテンセントの対決がより鮮明になるだろう。
(翻訳・普洱)
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