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腫瘍治療薬を専門に行う二社、「德琪医薬科技(Antengene Corporation)」 と米「カリオファーム(Karyopharm Therapeutics Inc.)」が戦略提携を拡大した。
「画期的新薬」とも呼ばれるファースト・イン・クラス医薬品が最近注目されている中、創薬ハイテク企業、德琪医薬は全世界の患者を対象に腫瘍治療の新薬開発を行っている。中国は国を挙げて新薬の自主開発に力を入れている。技術革新の奨励政策、海外のバイオテクノロジー人材の呼び戻し、香港証券取引所による売上計上前のバイオテクノロジー企業の上場許可、上海証券取引所によるハイテクスタートアップ企業向けの証券市場(「科創板」)の設立などにそれが如実に現れている。
腫瘍治療の画期的新薬
2018年から、ファースト・イン・クラス(画期的新薬)技術に着目する投資家が増えてきた。
德琪医薬はまさにそのファースト・イン・クラスの腫瘍治療新薬の開発を行っている。設立から3年で、開発中の新薬が6種、中国での臨床承認案件が7件、アジア太平洋地域で進行中の臨床試験が10件、臨床・臨床試験前の新薬候補が12種類という成果を出しており、世界の各地でも臨床研究を行っている。
6種類ある開発中の新薬のうち、最も有望なのがATG-010とATG-008だ。ATG-010(Selinexor,XPOVIO®)は世界初の新メカニズムを利用した経口核外搬出タンパク質選択的阻害剤だ。米国FDAは2019年7月に再発・難治性多発性骨髄腫という適応症に対するATG-010と低投与量デキサメタゾンを用いた併用療法を承認した。また、ATG-010をボルテゾミブと低投与量デキサメタゾンと併用した治療(SVd)と、ボルテゾミブと低投与量デキサメタゾンの併用(Vd)を対比した、レベル2以上の再発・難治性多発性骨髄腫のステージ3臨床研究(試験コード「BOSTON」)が行われ、そのプライマリーエンドポイントが発表された。
中国ではATG-010を使用した再発性難治多発性骨髄腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の臨床研究が行われ、腫瘍と血腫の臨床試験も実用に向けて進行中だ。前臨床研究ではあるが、核外搬出タンパク質阻害剤がKRAS突然変異性の腫瘍に効果的であることも明らかになっている。さらに末期非小細胞肺がんの臨床試験も始まろうとしている。
ATG-008は第二世代のmTORC1/2阻害剤で、肝臓がんなどの臨床研究により、高い安全性、耐性、効果性を持つことが知られている。現在、末期の肝臓がんや肺がんを含む多種の腫瘍に対する臨床研究が行われている。これには抗PD-1抗体との併用試験も含まれている。
米上場企業カリオファームとの戦略提携を拡大
德琪医薬はカリオファームと提携拡大契約を締結し、XPOVIO®など4製品のアジア太平洋地域における開発と商品化の権利を得た。
4製品とは、新メカニズムによる核外搬出タンパク質選択的阻害剤薬品XPOVIO® (Selinexor,ATG-010)、第二世代核外搬出タンパク質選択的阻害剤化合物Eltanexor(ATG-016)、PAK4/NAMPT二重標的経口阻害剤KPT-9274(ATG-019)、抗ウィルスおよび非腫瘍疾患の治療に用いる化合物Verdinexor(ATG-527)だ。
德琪医薬の創始者であり代表取締役社長でもある梅建明博士が語るとおり、同社は近年、中国とアジア市場での登記や臨床研究を積極的に進めてきたが、今回の提携を通し、アジア太平洋地域での臨床試験と商品化に一層注力することになる。これはさらに次の世界全体に向けた商品化の足がかりともなる。
同社は2017年に新薬の巨頭、セルジーン(Celgene Corporation)とも長期戦略提携関係を結んでおり、その投資も受けている。セルジーンはその後、米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)に買収され、合併して世界トップ10に入る製薬会社となった。
德琪医薬は2017年から現在までに1億4100万ドル(約150億円)の資金を調達している。出資者には、セルジーン(現在のBMS)のほか、中国の医薬品開発業務受託機関(CRO)であり上場企業でもある「薬明康徳風険投資基金(WuXi AppTec)」ならびに「泰格医薬科技(Tigermed)」、さらに「啓明創投(Qiming Venture Partners)」「博裕資本(Boyu Capital Advisory)」「方源資本(Fountainvest Partners)」「華蓋資本(Huagai Capital)」「泰福資本(Taifu Capital)」「泰康保険集団(Taikang Life Insurance)」などが居並ぶ。
(翻訳・近藤)
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