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人型ロボットを開発する中国ベンチャー企業「星動紀元(Robot Era)」はこのほど、プレシリーズAで約3億元(約64億円)の資金調達を完了した。設立以来して以来3回目の資金調達となる。今回の出資は、清流資本(Crystal Stream Capital)、元璟資本(Vision Plus Capital)、アリババ(Alibaba)が共同で主導し、レノボ・グループ傘下のレノボ・キャピタル(聯想創投)などの既存株主も参加した。 資金は汎用人型ロボットの研究開発と商品化の加速に充てられる。
星動紀元は2023年、清華大学の学際情報学研究所のインキュベートによって設立された。身体性のある汎用知能体(エンボディドAI)の研究開発に重点的に取り組み、ロボットに特化したAIモデルも打ち出した。
このロボット用AIモデルは、AIをもともと組み込んで(AIネイティブ)学習する方式で、汎用性と簡潔性そして十分なスケールアップ(拡張)する能力を備えている。そのアルゴリズムは、視覚、聴覚、触覚などの感覚情報の全てを融合された入力処理に基づいており、ロボットが周囲の世界と相互作用する方法を効果的に再現するとともに、マルチモーダル情報の処理能力を高め、ロボットが環境をより包括的かつ柔軟に理解することを可能にする。
実際の運用では、ロボットはAIモデルにより、自ら探索し学習することができ、真の自律的な進化と多くの場面における幅広い応用を実現している。 また、システムの拡張性を高めるために高度な処理はなるべくシステムの末端(エンドシステム)で行うE2E(エンド・ツー・エンド)アーキテクチャを採用しているため、複雑なプログラミングや人の介入を必要とせずに、ロボットがリアルタイムでタスクや環境に対応することができ、柔軟性と開発の効率が大幅に向上した。現在、このモデルは同社の第6世代人型ロボット「STAR 1」に採用されている。
STAR 1は近ごろ、中国と中央アジアを結ぶ河西回廊(甘粛省の黄河以西)への「旅」から戻ったばかりだ。同社が公開したテスト映像では、スニーカーを履いたSTAR 1は山岳地帯、草原、ゴビ砂漠や砂利道、そして公道といった複雑な地形を素早く走り、移動することができた。
日常の場面では、物を取ってきたり、水を注いだり、花や植物の剪定をしたり、犬の散歩や子猫を撫でたりもできる。
星動紀元は、ソフトウェアとハードウェアを統合した人型ロボットのハードウェアアーキテクチャも打ち出した。 基礎となるモーターから二足歩行システム、ロボットハンドまで、すべての部品はAIとの親和性を前提に設計されており、アルゴリズムをハードウェア上で迅速に検証できるため、Sim2Real(シミュレーションから現実へ)の効率が大幅に向上している。
例えば、STAR 1は自由度が20から55に増加し、より複雑なヒューマノイドの姿勢をサポートできるようになった。また、関節トルクは150Nm(ニュートン・メートル)から400Nmに増加し、関節速度は25rad/s(ラジアン毎秒)に達している。現在、STAR 1は製品テストを多くクリアしており、市場での実用化の基準を満たしている。
人型ロボットのほかにも、星動紀元は卓上ロボットのM1と車輪付きロボットのW1をリリースした。これから、投資機関と協力し、工場、工業団地、物流、港湾など、さまざまな分野における人型ロボットの産業化を模索していくという。
大規模言語モデルなどAI技術の進化により、人型ロボット産業に新たなビジネスチャンスをもたらした。最近では「穹彻智能(Noematrix)」、「加速進化(Booster Robotics)」、「逐際動力(LimX Dynamics)」、「銀河通用機器人(Galbot)」、「宇樹科技(Unitree Robotics)」などの人型ロボットスタートアップも次々と資金調達に成功している。中国テックメディア・智東西の統計によると、2024年6月末までに、今年の中国国内のロボット業界では69の投資案件があり、開示されている投資案件のうち1億元(約21億円)規模のものが12件あり、投資総額は75億元(約1600億円)前後に達している。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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