中国EV、車載電池でも値下げ競争加速。「2番手グループ」猛追でCATLの独占崩す

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中国の電池大手「欣旺達電子(Sunwoda、サンオーダ)」傘下で車載電池を手掛ける「欣旺達動力科技(Sunwoda EVB)」が、新興EVメーカー理想汽車(Li Auto)のSUV「M8」と「M7」、小米集団(シャオミ)傘下のEVメーカー小米汽車(Xiaomi Auto)の3車種目で車載電池サプライヤーに指定されたという。複数の業界関係者が明らかにした。これについてサンオーダは、機密保持契約に関わるためコメントできないとした。

中国の車載電池業界では現在、CATL(寧徳時代)と比亜迪(BYD)が安定したツートップで、中創新航(CALB)が第3位、それ以下の恵州億緯鋰能(EVEエナジー)、国軒高科(Gotion High-Tech)、Sunwoda EVB、蜂巣能源(SVOLT)などは僅差で、追いつ追われつの接戦を繰り広げている。

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自動車市場では価格競争が2年もの間続いている。完成車メーカーがコスト削減する際に真っ先に手を付けるのが車載電池で、中創新航を筆頭とする2番手グループでは、競争がますます激化している。より多く受注し、市場で生き残るため、下限価格を割っても値下げを繰り返し、名前を売るためなら赤字もいとわない状況まで起きている。

2番手グループも価格の安さによって、もともとCATLが独占していた車種への車載電池供給に食い込んできた。例えば、蔚来汽車(NIO)は中創新航をサプライヤーに加えることにし、理想汽車も一部の車種にSunwoda EVBや蜂巣能源の電池を採用している。

Sunwoda EVBが小米汽車から受注を獲得できた大きな理由として、関係者は3車種目が徹底的なコスト削減にこだわっていることを挙げ、「システムレベルの見積価格は1Wh当たり0.6元(約13円)を下回っていた可能性がある」と話す。さらに「正力新能(ZENERGY)」に至っては、1Wh当たり0.35元(約8円)以下という低価格で、新興メーカー零跑汽車(LEAP MOTOR)の主要サプライヤーとなった。

サンオーダは1997年に設立され、電池パック事業からスタートした。コンシューマ電子機器用として、米アップルや、中国の華為技術(ファーウェイ)、シャオミ、OPPO、vivoなど多くのスマートフォンメーカーに電池パックを供給し、2011年に深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板(ChiNext)」に上場した。

新エネルギー車業界での競争が次第に激しくなると、2014年に「欣旺達電動汽車電池」(現在のSunwoda EVB)を設立、本格的に車載電池事業に乗り出した。その後、資金調達を繰り返し、理想汽車、NIO、小鵬汽車(Xpeng Motors)、上海汽車集団(SAIC)、広州汽車集団(GAC Group)、東風汽車集団(Dongfeng Mortor Group)、美団(Meituan)、IDGキャピタル、深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)、国家緑色発展基金(NGDF)など数々の企業や投資機関から出資を受けた。

Sunwoda EVBは2023年6月に16億5000万元(約360億円)を調達後、評価額が約360億元(約8000億円)に達し、創業板に上場を申請した。しかし既に申請は失効しており、最近では同社が香港証券取引所への上場を検討しているとの情報もある。

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Sunwoda EVBはハイブリッド車(HEV)市場で実績を持つ。韓国の調査会社SNE Researchによると、HEV市場における同社の車載電池搭載量は中国市場で3年連続トップに輝いている。

また、急速充電技術も得意としている。2022年には超急速充電対応の電池「SFC480」が小鵬汽車のSUV「G9」に採用され、量産が始まった。Sunwoda EVBはその後もSFC480の改良を重ね、今年の「北京モーターショー2024(第18回北京国際汽車展覧会)」でVer.3.0を発表した。Ver.3.0にはリン酸鉄リチウムイオン電池と三元系リチウムイオン電池の2タイプがあり、充放電性能を示すCレートは6C、わずか10分で80%の充電が可能だ。

しかし現在販売されているEVで、Sunwoda EVBの超急速充電対応の電池を搭載した量産車は初期の小鵬汽車 G9を除いて他にない。

Sunwoda EVBの顧客構造にはこれといった統一性は無く、さまざまなメーカーの量産車34車種以上に電池を供給している。海外では独フォルクスワーゲン(VW)の海外向けHEV全車種、スウェーデンのボルボの「GPA(Global Product Architecture)」プラットフォームの全車種、中国では東風汽車傘下のハイエンドEVブランド嵐図(VOYAH)や新興EVブランド哪吒汽車(NETA)のハイエンドモデル「EP32」などでサプライヤーに指定されているという。

※1元=約22円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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