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中国の道路は2023年末時点で総延長が544万キロに達し、全体的にメンテナンス中心の段階を迎えた。従来の道路メンテナンスは、効率が低く実施スピードが遅かったが、急速に発展する次世代IT技術が道路メンテナンスの自動化という新たな可能性をもたらした。
このほど、人工知能(AI)を搭載した自動点検ロボットを開発する「圭目機器人(Guimu Robot)」が、国信中数銅陵科創基金が主導するシリーズA+で資金を調達した。圭目機器人は2016年に設立され、巡回点検ロボットの製造や道路データサービスを手がけている。これまでに1億元(約20億円)近くを調達してきたという。
同社は、道路や滑走路、橋梁、軌道交通、配管網、港湾警備などの分野を対象に、ハードウエアやソフトウエアを開発している。事業エリアは、中国国内と海外の空港80カ所以上、国内で20の省・直轄市にある100本以上の道路に広がり、31を超える省・直轄市に顧客を抱えている。
インフラ向けロボット事業では、路面状態自動点検ロボット、車載型スマート点検システム、橋梁ケーブル点検ロボット、地下鉄トンネル点検ロボットなどを提供している。
例えば、路面状態自動点検ロボットは、対象エリア内の経路計画と軌道生成を自動で行う。1時間当たり1万5000平方メートルの路面のスキャン・点検が可能で、センチメートル単位で異常箇所に関する情報を提供し、道路の表面と地下構造に関する3Dデジタル情報を取得することで、路面だけでなく隠れた危険も正確に分析できる。
2023年末には、石油化学企業の京博石化(Chambroad Petrochemicals)と共同開発した「防爆型巡回点検ロボット」もリリースした。
道路データサービス事業では、AIによる画像認識機能を備えた3D地中レーダーシステム、全方位移動ロボットプラットフォーム、AIアルゴリズムプラットフォーム、道路メンテナンス情報システムなどを独自に開発し、ハードウエアからアルゴリズム、ソフトウエア、データを網羅する製品ラインを構築している。
その中の一つ、DAS路面管理システムは、AI技術と同社の持つ膨大な点検データを生かして損傷や材料などを迅速に特定し、低コストでデジタルツインを作成する。また、マルチソースデータを正確に組み合わせ、異常箇所のわずかな変化をトラッキングして道路メンテナンスの合理的な意思決定をサポートし、道路の安全確保とメンテナンスのコストパフォーマンス向上を後押しする。
担当者によると、同社の空港滑走路自動点検システムは2018年以降、中国民用航空局の「空港新技術リスト」に毎年選ばれており、現在はイタリアのレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港(フィウミチーノ空港)、チェコのヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港、中国の北京大興国際空港などで導入されている。欧州の主要な国際空港との提携は、同社が欧州市場を開拓する大きな足がかりとなり、今年も欧州市場でシェアを拡大する見通しだ。
同社のコアチームには100人近くのメンバーがおり、清華大学や同済大学、米コロンビア大学など国内外の有名大学出身者が多く、修士号と博士号の取得者が30%近くを占めている。最高経営責任者(CEO)の桂仲成氏は、清華大学のロボット技術・応用分野の博士としてロボット技術の研究開発と管理に20年携わり、中国の大手発電設備メーカー・東方電気(Dongfang Electric)やパネル大手の京東方科技(BOE)といった企業でも勤務していた。
圭目機器人はこれまでに、アルゴリズム、AIモデル、ソフトウエア、ハードウエアなどに関して累計428件の特許を出願、うち240件を取得している。また同社のチームは、国際的なジャーナルに論文を10本近く発表し、国家レベルの課題検討や業界基準の制定に関与している。中国では業界団体基準「民用空港滑走路スマート点検およびデジタル管理規範」の制定に携わった。
四川省成都市に研究開発・運営センターを、上海市、北京市、江蘇省、遼寧省などにマーケティング拠点を建設したほか、フィンランドとシンガポールに駐在員事務所をつくり、海外拠点の設立にも着手した。桂CEOによると、同社は引き続き世界のロボット開発企業や大学などと提携を進め、インフラ向け点検・補修ロボットやデータサービスの分野で世界トップクラスの企業を目指す。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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