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山手線池袋駅の隣にある大塚駅周辺にミャンマー料理店が増えている。ガチ中華からの業態転換も複数あり、中国人とミャンマー人が共同経営するミャンマー料理店も現れた。ミャンマーの国軍クーデター以降、母国を脱出し豊島区に移住するミャンマー人が増えていることが背景にあるようだ。現場を取材した。
塗り替わる勢力図
大塚駅北口周辺の景色が変わっている。コロナ禍の時期はガチ中華の店が目立っていたが、いつの間にかミャンマー料理レストランや物産店が増えている。
数年前に営業していた火鍋店「東華火鍋」と上海料理店「小確幸」はいずれも「アジア料理」の看板を掲げる店に置き換わっていた。店頭のメニューは日本語とビルマ語の併記で、ミャンマー人が経営するレストランのようだ。以前は見かけなかったミャンマー系の輸入品を扱う物産店も数店舗出店していた。

一方、大塚駅周辺に2020年以降次々にオープンしたガチ中華は減少傾向にある。前述の2店舗に加えて2024年にオープンしたラム肉が食べられる「成吉思汗」という店も既に閉店。
都内では珍しい貴州料理やハラール中華が営業しているし、出店が止まったわけではない。しかしミャンマー料理の勢いが上回っている。

豊島区の在住ミャンマー人、3年で1.8倍
大塚でミャンマー料理店「ヤナン」を経営するミンさんは、ミャンマー料理店が増えている背景を「2021年の軍事クーデター以降、海外に脱出するミャンマー人が増えています。特に若い人は留学という形で日本や韓国を選ぶ人が多いです」と説明する。
以前からミャンマー人が多く住んでいる高田馬場や大塚には、同胞を頼ってミャンマー人の流入が一層加速している。最も流入しているのは日本語の語学学校が多く立地する高田馬場だが、そこへのアクセスがよい大塚も人気が高く、ミャンマー人のための店が増えているという。

大塚がある豊島区に在住するミャンマー人は、2021年に約2000人だったのが2024年1月には3500人超と約1.8倍に増えた。
外国人在住者を国籍別にみると2021年は中国人、ベトナム人、ネパール人、韓国人に次いで5番目だったが、2024年は中国人に次いで2番目となった。
ミャンマー料理店や物産店の出店の勢いをみると、現在の在住者はさらに増加していると想像できる。ミャンマースタイルのカラオケ店も登場し、ミャンマー文化圏は大塚の隣駅である駒込駅周辺まで広がっている。
ちなみに高田馬場がある新宿区は豊島区以上にミャンマー人在住者が増えており、2025年10月時点で約3500人が暮らしている。2021年10月時は約1600人だったので、倍以上の数字だ。
ガチ中華との二刀流
そしてミャンマー料理店を経営するのは、必ずしもミャンマー人とは限らない。
前述したヤナンは、中国人の劉さんとミャンマー人のミンさんによる共同経営だ。以前は別のミャンマー人が経営していたが家庭の事情で続けられなくなり、2025年10月に2人に経営を承継した。
劉さんは大塚で複数の中国系飲食店を経営しており、顔が広かったことから、経営を引き継がないかと話がきたという。

ヤナンの厨房で腕を振るうのはミャンマー人の料理人たちで、ミャンマーの代表料理である魚介スープにライスヌードルを合わせたモヒンガーや、ココナッツミルク麺などに加えて、八角が効いた紅焼牛肉麺や麻辣干鍋海老などの中華料理も提供している。

飲み物は青島ビールや雪花ビール、甘い漢方茶の王老吉や梨ジュースなどほぼ中国系。
ホールスタッフは中国人で、中国人客には中国語で、ミャンマー人と日本人客には日本語で接客する。中国人店員とミャンマー人料理人とは日本語でやり取りしている。
筆者が同店で食事をしているときに来店した客の半分は留学生と思われる20代前後の若いミャンマー人で、残りは同じく留学生らしき若い中国人だった。
劉さんはRednote(小紅書)やWeChat(微信)など中国のSNSで店を宣伝する。ミャンマー人向けの宣伝は行っていないが、店の前を通りかかったお客さんが入ってくれるという。
「大塚に長く住んでいますが、最近はミャンマー人が増えています。日本人、中国人、ミャンマー人のお客さんを呼び込めるようなレストランにしたい」と意気込んでいる。
在日ミャンマー人が増えているとはいえ、ミャンマー料理だけだと客入りが不安なのか、タイ料理など東南アジアの料理をプラスして提供するレストランもちらほらある。
ガチ中華とミャンマー料理を一緒に出すヤナンは、劉さんの狙い通り3カ国の客を引き付けることができるのか注目したい。
(文:阿生)
東京で中華を食べ歩く会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。X:iam_asheng
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