カスタマーサービスをクラウドで一括代行する「淘金雲客服」、リモート人員はAIで管理

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シェアサイクル、シェアモバイルバッテリーなど一連の「シェア」ブームが沈静化する中、シェアリングエコノミーの今後はどうなるだろうか。36Krは、企業のカスタマーサービスをクラウドで代行するシェアリングサービス「淘金雲客服(itaojin.cn)」を取材した。

従来型のカスタマーサービス企業は「コールセンター+外注オペレーター」で成り立っているが、淘金雲客服は、これらを統合してプラットフォーム上で一括運営する。AIを導入してサービス効率を向上し、クラウド経由で各スタッフがリモートワークを行う。就業場所を設ける必要がないため、運営コストも節減できる。

同社は、親会社「千行集団(QianXingniwo)」が過去にカスタマーサービスで直面してきた多くの問題を出発点として設立された。2015年にカスタマーサービスシステムの開発をスタートし、2016年に正式ローンチ。主要業務は音声サービス、オンラインサービス、アノテーションサービスの3つだ。

■音声サービス:電話の問い合わせ対応。
■オンラインサービス:微信(WeChat)などのインスタントメッセンジャー(IM)を活用したテキストでの問い合わせ対応。
■アノテーションサービス:企業が持つ膨大なデータを人間が識別し、特定の箇所に注釈をつけて、顧客のデータ分析をよりスムーズにする。

クラウドを活用したカスタマーサービス

同社のカスタマーサービス業務は9割がクラウド経由で行われている。そのため、就業場所も就業時間も固定する必要がなくなり、副業も在宅ワークも可能だ。クラウドはカスタマーサービス業界を活性化させ、社会に眠る労働力も掘り起こすだろう。淘金雲客服創業者の向業鋒氏によると、同社に登録しているカスタマーサービス対応スタッフは学生、会社員、主婦、障がい者などさまざまで、カスタマーサービス専門スタッフが42%、主婦が31%を占めるという。

■出張サービス
クラウドサービスの利用を不安視する顧客に対しては、提携企業がリースするオフィスへスタッフを派遣して現場でサービスを提供する。この場合は、スタッフ1人当たりの人件費は、クラウドサービスに比べて月額500元(約8000円)程度高くなる。

■AI技術の活用
AI技術の活用も、同社の特色の一つだ。AIを導入することで人件費を大幅に削減できる。AI対応によるサービスは月額1200元(約2万円)が相場で、スタッフによるサービスでは1人あたり月額4000~5000元(約6万5000~8万円)に跳ね上がる。AIの場合は初期開発費用がかかるが、その後はほとんどコストがかからないため、利益率はスタッフによるサービスよりはるかに高くなる。

コスト削減以外にも、AIの導入はサービスの質向上にも寄与する。以下の3例はその典型的なものだ。

1)人とチャットボットの二重体制:チャットボットの自動対応とスタッフの個別対応を併用する形式はよく見られる。チャットボットでは対応しきれない複雑な案件をスタッフが引き継ぐが、淘金雲客服ではチャットボットとスタッフの間の引き継ぎがスムーズに行えるよう、AIが会話記録の中からキーワードになる単語を自動的に抽出して共有する。

2)高度な品質維持体制:従来型のカスタマーサービスでは、サービスの質を維持するために、通話やチャット記録から1割をランダムに抜き出して検査していた。淘金雲客服ではアノテーション技術を用いて、会話記録の中から問題がありそうな箇所をピンポイントで抽出する。

3)従業員の就業管理体制:AIアシスタントがマウスの操作履歴やキーボードの打鍵数から、スタッフの就業状況を遠隔監視する。また、サービスの過程で不適切な語彙を使用した場合もリアルタイムで感知する。

現段階の顧客は通信キャリア、金融、Eコマース、オンライン教育などの企業で、チャイナモバイル(中国移動)やテンセント(騰訊)、子ども向けオンライン英会話教室「VIPKID」などが名を連ねる。

淘金雲客服は2015年、2016年、2018年にそれぞれ「盈創興科創業投資基金(WinPower)」「容聯雲通信(Cloopen)」「摯信資本(TrustBridge Partners)」から出資を受け、総額1億元(約16億円)を調達している。従業員は約250人で、うち4割を開発担当者が占める。研究開発投資は、事業者側システム、IM通信プラットフォーム、品質検査システム及びAI技術などに集中している。
(翻訳・愛玉)

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