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「在日中国人シェフの会」は、日本で活動するガチ中華料理人の交流や支援を目的に2017年に設立され、年に数回のペースで会合が開かれている。ガチ中華という言葉が生まれる前から日本で本格中華を提供してきた有名店のオーナーやシェフも参加する同会の中心メンバーに設立の経緯、ガチ中華の課題や展望を聞いた。
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料理人の会、会員は400人
「会が設立された2017年ごろ、日本で働く中国人料理人は言葉の壁によって日本の情報に十分にアクセスできず、休みが少ないことから同業者が交流する機会もほとんどありませんでした。そういった状況を解消したいと思ったのが設立のきっかけです」(同会副会長、味坊の林社長)

コロナ禍前は隔月で料理人の交流イベントを実施し、口コミや紹介を通して徐々に会員が増えていった。現在の会員数は約400人、イベントによっては50〜100人程度の参加者が集まることもある。
ガチ中華の課題はずばり料理人不足だ。特に四川料理を作れる料理人の需要が高く、争奪戦になっていると聞く。
しかし林さんによると、実際は逆だという。
「オーナー同士が顔見知りになって仲良くなることで仲間意識が生まれ、他の参加者などからの目もあるため不義理な行いは逆に起こりにくくなっていいます」(林さん)
同会には料理人だけでなく、店舗に調味料や飲料を納入する企業も参加している。中華食材の輸入会社「三明物産」と青島ビールを輸入する「池光エンタープライズ」は設立当初からの会員。白酒の輸入を手掛ける「日和商事」も初期メンバーに数えられる。ガチ中華ブームで企業メンバーも増えており、最近では中国のワインを手掛ける会社も加わった。
協賛した食材や飲み物を多くの店の料理人にもお試ししてもらうことで、メーカーや商社側にとっては新たな店への卸先の開拓にも繋がり、料理人にとってはより質の高い食材や調味料を比較して選べるというウィンウィンな場にもなっている。
マイナージャンルの認知拡大に努力
ガチ中華がブームになって5年。ジャンルとしてはすっかり定着した感がある。2025年は麻辣湯(マーラータン)が大ヒットし、日本の食品会社や飲食店での導入も広がった。
しかし、長年日本で本格中華を展開するオーナーたちは課題も感じている。
料理人の会の副会長で、中国南部料理店「南方急行」を経営する牟さんは「日本人のお客さんの知名度の低さが課題」だと話す。ここ数年で「ガチ中華」という単語の認知度は広まり、「麻辣(マーラー)」という単語も理解されるようになった。一方で中国では多様なご当地料理がある。南方急行で提供してるような家庭料理は見た目が地味なためか、日本ではなかなか広がらない。

牟さんはガチ中華はSNSが起点で流行することが多いが、裾野を広げるためにはSNS以外での日本人との接点を増やすことが大事だと考えている。
「2026年は今出店しているそれぞれのお店をさらにバージョンアップして、ひとつひとつの料理の認知度もあげていけるようにしたいです」
東京でガチ中華が増えたいま、競争が激化し中国国内と同様に「内巻(過度の競争を指すスラング)」の状況が発生している。日本に暮らす中国人だけをターゲットにした経営ではビジネスとしては成り立たなくなってきている状況なのだ。
在日中国人シェフの会メンバーで、湖南料理店の「湘遇TOKYO」など複数店舗を経営する劉さんも同様の課題を認識をしている。そんな状況を打破すべく今年はガチ中華ウェブメディアの東京ディープチャイナと連携し、日本人のガチ中華好きに向けた食事会を複数回企画し、日本人のファンを増やす活動を地道に行なっている。

筆者も12月上旬に開催された牟さんと劉さんのコラボイベントで、雲南料理、四川料理、湖南料理の辛さを食べ比べする会に参加したが、一人で参加している日本人も多くびっくりした。中華料理は量が多く、アラカルトメニューとなるとなかなか一人では食べに行けない店も多いためこうした食事会の需要はかなりありそうに感じた。
ガチ中華ブームが始まった頃は、「日本人が入りにくい空気感」も魅力の一つだったが、店舗の経営安定のためには日本人を歓迎する雰囲気づくりが必要なのだろう。日本人向けの中華料理を紹介しながら味わう会によってガチ中華の客層が広がっていくことを期待したい。
(文:阿生)
東京で中華を食べ歩く会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。X:iam_asheng
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